第153話、メリル「校長よりも怖いモノ!それがあの場所だったんデス!だからもう行きたくないんデス!なので校長!監視任務を私に出すのはやめてくだサイ!」
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ゲームイベントが終わった日の夜。
メリルが広樹にメールを送る前の時間である。
「メ〜リ〜ル〜ゥゥ!!」
「反省はしてます、でも後悔はしてません」
「何そのやってやった〜みたいな口ぶりは!」
「だって日本支部の十位と九位と多重能力者ですよ。その場にいなければ分からない恐怖だってあります。あえてもう一度言います!怖くて電源を切ってました!でも後悔はしてません!」
メリルは小型カメラ付きの通信機を差し出して、堂々と校長に言い放った。
「くっ!…アナタって娘はっ……」
メリルの職務放棄を咎める校長……だったが、少女の言い分には一理ある。
姫路詩織の突如の乱入も聞かされれば、その場にいたメリルの恐怖がどれ程までに高まったかは、聞くまでもなく想像出来た。
それらを考えれば、彼女の言葉には大きな重みがある。
「……そ、そうね、まぁ、無事に帰ってくれただけでも……ねぇ……ところで」
「そうです、と言う事で私は部屋に戻ります。お休みなさい良い夜を〜」
「ちょっ!待ちなさい!」
早歩きで立ち去ろうとするメリルに、校長は静止の声と共に服を引っ張り上げる。
「まだアナタに用事があるわ!聞いていきなさい!」
「嫌です!悪い予感しかないです!どうせ変な仕事を押し付ける気ですよね!」
「変な仕事じゃないわ!ちゃんとした仕事よ!ただ監視するだけの仕事なのよ!」
「監視対象によりますよ!どうせ詩織達ですよね!そんな危険は追いたくないです!」
ぐいぐい歩き出そうとするメリルだが、校長も負けて劣らず、本気で踏ん張り合う。
ギチギチとメリルの服から悲鳴が聞こえるまで、二人の攻防は続いた。
「私以外じゃ駄目なんですか?」
「あの三人に対抗出来る人員がいないのよ……アナタはそこそこ知り合いになれている訳だし、抑止力くらいには」
「抑止力になりませんでしたよ…」
「ん?それはどう言う事?」
「…………」
詩織達はバスケで戦闘力を使っていた。
オーストラリア支部の一員がいるのにも関わらず、禁止された戦闘力の無許可使用。
メリルはそれを報告せずにいた。
「何でもないです…」
もし報告して日本支部の不利益になれば、その原因がメリルの報告だと伝わり、詩織達に知られる可能性がある。
そしてその先に起こるのは……
(まだ五体満足でいたいです…!)
自分の身が何よりも大切だと、メリルは校長に嘘をついた。
「じゃあせめて人員補充を願えませんか?出来れば序列者を希望です」
「それは……ちょっと待ってね…」
校長は静かな端末を操作して、情報を確認する。
「……やっぱり少し難しいわね。ほとんど出払っているから」
「そんなぁ〜」
「元々アナタは予備人員だったのよ。でも……」
唇を噛んで校長は、
「ちょっと先方に交渉してみるわ。頑張れば、こっちに来させる事が叶うかもしれない」
「本当ですか!期待しても良いんですか!」
「ええ、でも許可が貰えたらだけどね…」
「誰ですか!出来れば私以上!序列五位以上を希望したいです!」
「ん〜…………ねぇ、アナタの希望に添えたら、任務に集中してくれるのよね?本気でやってくれるのよね?」
「えっ……まぁ…しますよ」
校長の真剣な声音に、メリルは一歩下がる。
「分かったわ。じゃあ頼んでみましょう。だから本気で任務を遂行しなさい、逃げる事は許しません」
「うっ……ほ、本当に私の希望に添える人を補充してくれるんですか?」
メリルは思った。
校長が今からもたらす言葉によって、自分は逃げ道を失うと。
たぶん私は、校長の口車に乗せられたのかもしれない、そう思った。
「もし逃げたいと考えた時には連絡しなさい。その時に人員補充の目処が立っていなかったら、私は拒否も文句も言わないわ」
乗せられてた。
その言い方だと、人員補充の目処が立っていれば、私は任務から逃げられないと言う事だ。
「私も頑張ります。本気で交渉してくるわ」
「あ、あの〜、そんなに無理しなくても……それに序列何位を呼ぶんですか?」
任務に当たっている序列者を呼び戻すのは難しい。それが上位である程、色々と厳しく大変だろう。
大丈夫。まだ希望はある……!
「序列第一位!彼女を呼び戻します!」
あ、駄目です。逃げられる口実を完全に失いました。
────。
────。
(うぅ〜〜失敗しました……)
部屋で後悔に打ちしがれるメリルがいた。
枕に顔を埋め、冷や汗で枕を湿らせる。それぐらい明日が怖いのだ。
(今の詩織と内守谷さんには近づきたくないんですよ〜)
最後に別れ際まで、彼女達の距離は近かった。肩や腕など、必ず身体の何処かを擦り合わせ、ずっと満面の笑みである。
あの二人の笑顔の中には、友達以上の何かが込められていたと感じ、メリルは途中で考えるのをやめていた。
それ程までに耐え難い光景だったのである。
(はぁ〜……とにかく明日の計画を立てなければ…)
ベッドから立ち上がり、明日の装備を確認する。
(端末、ライト、ワイヤー、手錠、薬品、小型ナイフ…………非殺傷銃は…………)
友達に向ける自分を考えたくない。
だが持っていかなければいけないと、決まりが自分を縛り付けている。
(うぅ〜、詩織、私に撃たせないで下さいよ……)
迷った手つきで、メリルは装備の準備を終わらせた。
そして次にしなければいけないのは…
(詩織に明日の予定を…………でも)
鈴子と急接近している今の詩織に連絡するのは、かなりの抵抗感があった。
いつもは気軽に連絡が出来るのに、今回だけは遠慮したい気持ちでいっぱいである。
(…………はぁ〜、理解者だから、大丈夫ですよね)
詩織と鈴子の光景に、自分と同じく苦笑いをしていた彼を思い浮かべる。
(とりあえず、広樹と行動を共にすれば…)
今の詩織よりも、広樹の方が連絡しやすいと考えて、メールを一文考える。
『広樹へ
連絡先を貰って、初めてのメールをしてみました。今日はとても楽しかったです──
(日本語これで合ってましたっけ?翻訳アプリに頼り過ぎると、たまにとんでもない誤文字が出てきて、怖いですし)
──詩織と内守谷さんが突然と仲良くなり過ぎて、とても驚きました。どうしてあんなに──
(世間話を混ぜ込みながら、自分のお願いを…)
──それで、明日また皆んなで遊びたいと考えています。そして出来る事ならば、詩織と内守谷さんが急接近した不可解について、広樹と語り合いたいと思っています。──
(これで送ってみますか)
──お休みなさい。メリルより──』
送信。
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