第148話、詩織「当然の結果ね」鈴子「同じフィールドに立たされたら、普通こうなる」メリル「常人のフィールドデスネ…」エリス「コッソリやりたかったが、運営側チームを相手にするとね……もう無茶は出来ない」
書きあがりましたので投稿します!
今回は短めです。
昨日も投稿しましたので、確認お願いします!
四つん這いになった彼等がいた。
汗を落とし、唾を散らせ、全身から熱々しい蒸気を浮かばせていた。
「なんだコレぇ!?なんで俺達がひれ伏してるんだぁよぉ!?」
「死ぬぅ!全身が沸騰するぅ!」
「喉から何か出そうだっ…目眩もするっ…」
「生殺しだっ、サンドバックかよ俺達っ」
「…………」(気絶中)
意識を失っているルーカス以外が、終幕した試合に悔しさを吐いていた。
そのコートで起こった事は、プロである彼等にとって悪夢に近いソレだったのだ。
そんな地獄を作り出した張本人達は、既にコートから消え去っている。
その場に残るのは、『勝者』である彼等だけだった。
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荻野広樹、姫路詩織、内守谷鈴子、メリル・キャンデロロ、エリス。
彼、彼女等は──試合に負けた。
仲間割れもなく、万全の状態で望んだ後半戦。
だが、五人は運営側に敗北したのだ。
負けた理由は多々ある。
・前半戦での得点差が大きく開いていた事。
・人体強化のスペックを、他者に訴えられない範囲にしなければいけなかった事。
・熟練の外人男性五人に対して、挑むのは無熟練の少年少女達、故に身長差とテクニック差、チームワーク差が大きく開いていた事。
・etc…
では何故、試合に勝利した運営側チームが泣いているのか、四つん這いで息切れを見せているのか。
それはプロである彼等に挑む、少女達の姿が異常だったからだ。
汗を流し、息を切らして、必死な顔で走る彼等とは違って、少女達は平然な呼吸で走っていたのだ。
それもそうだ。
少女達は全力を出していなかった。
いや、戦闘力を大きく表面に出せなかったのだ。
少女達がしていたのは、超が付く程の手加減&縛りプレイ。
身体能力を強化した上での、戦闘力だと他者に指摘されない範囲内のバスケットボール。
三メートルジャンプなんかした日には、確実に中断を余儀なくされただろう。
せいぜい出来たのは、鈴子による長距離シュートや、詩織によるダンク、これでも危険範囲である。
故に息切れをする事もなく、試合は続いたのだ。
彼等の嘆きの根源。
それは少女達の軽過ぎる呼吸。
手加減してますよ〜と言わんばかりに、少女達は息を乱さなかった。
その上で点数差を縮めて来たのだ。ぎりぎりの人体強化で。
それが彼等のプロ魂に火をつけ、是が非にでも少女達の呼吸を崩そうと全力を出した。本気の顔にさせようと頑張った。
だが、結果は勝利と敗北の両方。
『試合には勝ったが、プロとしての精神をズタボロにされたのだ』
それが彼等を四つん這いにさせ、男泣きさせている原因なのだった。
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会場外に設けられた仮設型飲食店。
そこの円形テーブル席に五人が座っていた。
しかし…
「ねぇ鈴子、このタルト一緒に注文してみない?」
「別々のタルトを頼んで、詩織とシェアしてみたい」
「いいわね!」
「うん」
あの仲が悪かった二人が、あの詩織と鈴子が、
笑顔を向け合いながら、一つのメニュー表を二人で見ていた。
(((どうしてこうなった…)))
それを見つめる他三人が、同じ事を思った。
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