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さすがに武器を持ってお店に突っ込めば退学にしてくれるよね!ねえ!!  作者: こまこま
第10章、オーストラリア編(ゲームイベント編)
140/221

第140話、詩織「動けばいい。意識を失っていても、非人道的手段だったとしても……勝たなきゃ広樹に会えないから」

書きあがりましたので投稿します!

よろしくお願いします!

「支配人!緊急事態です!」


金髪サングラスの司会者が慌てた様子で部屋に入室する。

その視線の先には大量の資料が乗せられた机と向き合う、膨よか体型の男性が座っていた。


「騒がしいな。どうしたのだ?」


「実はこれを!」


司会者が差し出したのは写真付きの束ねられた資料。

そこには今回のイベントの途中状況が記されている。


「これはっ…まさか勝ち上がる者がいるとは……」


「はい、本来は有り得ない筈なのですが」


「高い資金で雇ったのだが、まさか彼等が負けるとはね」


参加者にまぎれさせていた運営側の刺客が敗れた。それは今回の予定にない予想外の出来事である。


「1チームになるまで終わらない『勝ち残り戦』にしていたが、この参加者達は彼等を敗退に追い込んだ後から無敗してきたのか?」


「は……はい、その通りです」


があったが、何か気がかりな事でもあるのか?」


「いえ、少し不可解な事があり」


資料の中から一枚抜き取り、それを机に置く。


「『姫路詩織』と言う女の子と組んだ男なのですが、初戦の終了直後に倒れたのです」


「倒れた?」


「ボールが頭に直撃し、意識を失った様に倒れました」


「であれば、そのチームは連戦の続行は不可能だろう」


二名でチームを組む事が試合ゲームに参加する上での必須条件。

初戦で仲間が倒れたのであれば、次の試合は出られず敗退は免れない。


医療班スタッフを向かわせようとしたのですが、その前に参加者は立ち上がりまして……その姿が何とも……」


「何とも?」


「モニター越しで見ましたが、まるで操り人形の様なカクカクした動きで、彼女の下に向かって行きました。そして連戦を続行。そして」


司会者は震えた口で事実を語る。


「その男がプロ並みの運動神経を発揮して、バレーボールの部で一位を獲得。そのあとで男は再び倒れました」


「まさか、初戦目での怪我が原因か?」


「ただいま調査中です。しかし変わった情報が医務室から届きました」


「どんな情報だ?」


「ジャージの下から太いロープで『しばられたあと』が身体全体に見つかったらしく」


その単語に支配人は『うわぁ』と何とも言えない表情を作り出す。

ジャージは運営側が用意した長袖長ズボン型であり、汗を大量に流させる目的があった。

だがそのジャージの下にあったのは、誰もが顔を歪ませる男の変態思考の姿である。


「まさか、日常生活で『そういう趣味』を持っていて、今回の強い運動で縛り傷から異常を起こしたという事か?」


「まだ分かりません。しかし、試合を間近で見ていた者達によれば彼は『白目を向き、鼻血を垂れ流しながら』戦っていたみたいです。私にはこの事がとても不可解に感じられ」


「いや、不可解どころの事じゃないだろう。その状態でプロ並みの運動神経を発揮?ヤバイだろソレ。その情報は確かなのか?」


「はい。その場にいた複数の参加者と運営スタッフから聞き取りましたので、確かな情報です」


「そうか…とりあえず、誰も彼に声を掛けなかった事が問題だったと言わせてほしいね」


普通に考えて『白目を向き、鼻血を垂れ流しながら』は異常アウトである。もしその場にいたのなら、その男に一声掛けるべきだった。

だがもう遅い。試合ゲームは終わり、その場で得られる答えはもう無いのだから。


「彼がコスプレで、縛られた痕が残る衣装を着ていた可能性は調べたか?」


「調べましたが彼が着ていた衣装では、その確認は叶わなかったとの事です。どうも軍服だったらしく」


「そうか……」


支配人は首を捻る。


「分かった。彼の事は今はいい。それよりも」


資料に記載された五名の子供達。

その事に眉頭を抑えながら、


「彼女達をどうするかだね。女の子四名、男の子一名か……」


「賞品を渡すのはどうでしょうか?既に高い運動能力があると実証されています」


「そうだが……ね。私の勘が言っているのだよ」


支配人は資料に載せられた写真を指差して、悟った顔で言う。


「この少女から『引きこもり』の雰囲気がする。心理学教授兼カウンセラーをやってきた経験が叫んでいるんだ。『この娘は長年にかけて部屋に引きこもってゲームをしていた』とね」


その職で働いてきたプロの経験。そこでつちかった知識と直感が、内守谷鈴子の生活態度を底を見抜いていた。


「彼女の瞳は『ゲーム依存者の瞳』だ。確実にそう言える」


「可愛い瞳だと思いますが」


「過去に大勢のゲーム依存者を見てきたが、似ている部分がたくさんあるんだよ」


確認し終えた資料を机に置いて、支配人は端末を取り出して連絡を取る。


『支配人ですか?まさか』


「ああ、君達の力が必要になった。いきなりだが準備をしてくれ。予備試練セカンド・ゲームを始める」


予備試練セカンド・ゲーム』の言葉を聞いて、司会者の瞳が大きく開く。


「まさか、彼女達を本気で蹴落とす気ですか?」


「これは最後の試練だ。この試練に打ち勝てれば、私は真の意味で認めるだろう」


支配人は本気味ほんきみを帯びた姿勢で、次に行われる試練を呟く。


「この試練を乗り越えるには、高い運動能力を持っているだけでは絶対に駄目だ」


「まさに本気の試練。そこまでやりますか?」


「ああやる。鬼や悪魔と言われても、私は一人でも多くの依存者を矯正する。それが─」


鈴子以外の写真に視線を伸ばしてソレを言う。


「他の四人を巻き添えにしてでもね」

読んでくれてありがとうございます!


『縛られた痕』…ちょっとしたホラーな事実が明らかになりました!


次話も楽しみにしていてください!

頑張って書きます!

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― 新着の感想 ―
[一言] こんなんでゲーマーが矯正されたら苦労しないんだよなぁ……
[気になる点] なんか、ここら辺ちょっと話が脱線しすぎてて読む気が薄れる... まぁ、読むんですけどねぇ。
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