第132話、エリス「ゲームの中では歴戦の戦士でも、本物の戦場だったら」
ちょっと時間が早いですが、書きあがりましたので投稿します!
どうかよろしくお願いします!
『ハロォォ!!レディィィス!エンドォォ!ジェントルメェ〜ン!』
紐で吊るされた金髪サングラスの外人。
グルグル飛び回りながら、彼はマイク片手に声を張り上げる。
『これより第一回、だけど既に三回目になった!『○○撲滅フェスタ』を開催するよぉおお!!』
第一回だけど三回目?
言っている意味が分からず、鈴子に視線を向けてしまう。
「私にも分からないよ」
そうなのか?
ちなみに、
「もうどんなイベントか教えてくれてもいいんじゃないか?」
「分かった」
もうすぐ分かる事なのだからと、鈴子はようやく教えてくれた。
つまり……
・このイベントは世界中のゲーム好きが集まるお祭り。
・ゲームで競い合って、優秀な成績を収めた選手には豪華景品。
・豪華景品の中身は、今回のイベントに出資、協力してくれたゲーム会社からの特別待遇。
・限定キャラ、限定アイテム、優先アカウント登録権、その他諸々…
うん。つまりゲームで競い合って、ゲームに関係する景品が貰える。そういうイベントなのか〜
……じゃあ、
「俺帰るわー」
「させない」
「うん、分かってた」
服をガッシリ掴まれて、逃げる事は叶わなかった。
「でも、周りを見てみろよ」
周りには脂肪と脂肪と脂肪と眼鏡が集まったちょっとアレなオンパレード。
「あんな強者達を相手に勝てると思うのか?」
「この場所のみの強者だけどね」
「歴戦で手に入れた身体と肌つきだ。脂肪の塊を背負いし勇者達に勝てる見込みはあるのか?」
「まぁ全体的に脂肪が多い人間が多いが、他にもいるぞ」
「モジャ痩せした根暗眼鏡もいる戦場で、本当に生き残れると思うのか?」
「おお、反応してくれて嬉しいよ。ちなみに本物の戦場であれば即死だけどね」
エリスが横から何か言うが、それよりも鈴子の説得だ。
「脂肪だらけの無謀な戦いに、俺達が「違う」」
鈴子が言葉を被せ、そしてはっきり言う。
「戦いに来たんじゃない。勝ちに来たんじゃない」
「ん?」
「ぉぉ?」
「楽しみに来た」
「っ!」
「おお!」
すっごい正論が飛んできた。
ゲームに真剣な鈴子が、勝つことよりも、楽しむことが大切だと唱えたのだ。
「負ける気はないけど、楽しむことが優先」
「鈴子が…楽しむ?」
「ゲームは…遊びなんだよ」
「…………俺の中の鈴子イメージが崩壊し始めてるんだが」
「いいじゃないか!鈴子ちゃんの気持ちは正論だ!ゲームは楽しんで遊ぶもの!それが正しい!私もゲームは大好きだ!」
背中を叩きながら、エリスは鈴子の言葉に賛同を示す。
「このお祭りを楽しもうじゃないか!」
その言葉に、反対できる言葉は思い浮かばない。
(このイベントで、広樹を洗脳──)
「ん?何か言ったか?」
「何も言ってないよ」
気のせいか、鈴子から不穏な空気を感じた。
でも、正直もう疑いたくない。
下心なく、ただ純粋に遊びに来たのだと言うのなら、それに付き合いたいと思う。
以前に家電量販店で『良いパソコンを買えば、ゲームが好きになる』とか言って、無理矢理買わせようとしていたが、
次はお祭りに参加させて、ゲーム好きにさせる魂胆だと思っていたが、
疑い過ぎていたようだ。最低だな俺…
純粋な気持ちを蔑ろにしようとしていた自分が、今になって恥ずかしい。
だったら付き合おう。
俺への洗脳計画でなければ純粋に付き合える。
よし!本気でゲームをやってやろう!
『では!君達に競い合ってもらうゲームだが──』
・テニス『実技』
・マラソン『実技』
・ダンス『実技』
・サッカー(PK)『実技』
・水泳(100m)『実技』
・その他『実技』『実技』『実技』『実技』
『この中の実技から選んでもらうよ!!』
「「「「「「「ふざけるなァアアアア!!」」」」」」」
ドーム内にいるゲーマー達の心が一つになった瞬間だった。
いつも読んでくれてありがとうございます!