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さすがに武器を持ってお店に突っ込めば退学にしてくれるよね!ねえ!!  作者: こまこま
第10章、オーストラリア編(ゲームイベント編)
131/221

第131話、統括長「何故だぁ!?何故なんだぁあああああああ!?」

書きあがりましたので投稿します!

どうかよろしくお願いします!

これは数時間前の出来事だった…



「これは沼だ。底なし沼だ……」


「何が沼ですか。そんなゲームに熱中して」


絶望心が宿った声音を吐く少女に、スーツを着た女性は、ミラー越しに冷めた視線を向けていた。


「君には分からないさ。この電子版に映る幼女を見て、財布の紐をゆるめてしまう私の気持ちが」


「その気持ちで衣装まで買うのは、イき過ぎていると思いますが」


「そこに愛があれば何も問題ない」


「仮にも組織のトップがそんな事を」


オーストラリア支部に向かう一台の車。

その車内には運転席に座って苦い顔をする調査官と、後部座席でタブレット端末と睨めっこをする統括長がいた。


「もう200連なのに…何故出ないっ!私の幼女ヒロイン!確率1.5%アップは嘘だったのか!こうなったら組織の圧力でっ!」


「冗談抜きで言いますが本当にやめて下さいよ。バレたら洒落になりませんから」


「はは冗談だよ。仮にも組織のトップが、組織を危機に晒す様な真似をする筈ないじゃないか」


「本当に冗談だったら問題ないですよ。『本当に』だったら」


「信用ないんだね。私」


「当たり前です」


調査官の言葉に嘘偽りは無く、背後に座る統括長の人間性を知っている部下としての本音が出る。


「今回の件もです。暇だったからと此処まで来て…。貴女の正体は重要機密なんですから、こんな場所に現れていい人間ではないんですよ」


「だって…アイリちゃんが『さわらないで』って言ってきたんだよ。私の傷ついた硝子ガラス精神ハートは崩壊寸前。何かで気をまぎらわせないと私は死んでしまう」


「だったら大人しく部屋に閉じ籠っていてください。そしてアイリちゃんに迷惑をかけた貴女は、大いに反省を知ってください」


「冷たいな〜…」


言葉越しに感じる部下からの冷たい視線。

それを感じながら、統括長は210連目のガチャを回して外に瞳を向けた。


「コッチも冷たいな」


ガチャ220連目開始…


「それでどうするのですか?さすがに支部に素顔を見せる訳にはいかないでしょう」


「まあね」


ガチャ230連目開始…


「では」


「ああ、気分転換さ。オーストラリアには色々と観光スポットがあるからね」


ガチャ250連目開始…


「色々と溜まっているから。本当に」


ガチャ300連目開始…


「前の合同任務の件でしょうか。子供達に頼ってしまった事でしたら…」


「それもあるが」


ガチャ350連目開始…


「そもそもの原因は、過去の大規模合同作戦で失敗し、優秀な人員を根こそぎ『喰われた』事だ。しかも選り好みまでされ、食べ残ったのは戦闘力の低い者達のみ……頭が本当に痛い」


「心中を察します」


「ありがとう。でも…本当に辛いな」


ガチャ400連目開始…


「今出せる大人よりも、序列に位置付けられた子供達の方が能力が高い。人員不足もあいまって、本当にギリギリ過ぎる。近いうちに対策を考案しないとね」


アレの捜索を優先するのはどうでしょうか?予測が正しければ、アレをどうにかすれば、喰われてしまった人員が再起可能になります」


「その件で以前に私の部下がやられたんだ。隠密性が高く、偵察のみで向かった筈の彼でも喰われたとなると、選ぶ人員も限られてくる」


ガチャ450連目開始…


「これ以上に優秀な人材が食われれば……いや、もし序列者の戦闘力まで喰われてしまったら、もう止められなくなるだろう」


「……考えが足りませんでした。確かに、もしその様な結果になれば、もう手がつけられない」


「だから機会を伺うしかないんだ。居場所を突き止められれば、再び大規模作戦を発令し、ヤツに奇襲をかける。その際には私も出るかもしれないね」


ガチャ500連目開始…


「しかし、それで失敗でもすれば」


「何もかもが終わるだろう。だが、やるしかないんだ」


ガチャ600連目開始…


「やめてしまったら。これまでの行動が全て無駄になってしまう」


ガチャ700連目開始…


「だから私は動くよ。次で終わらせる為に」


ガチャ800連目開始…


「ッッ!……ッ……」


「おいおい、何を泣いているんだい?」


「ッッいえっ、久しぶりにっ、貴女からの、心に響く言葉を聞けてっ」


「そうか……不甲斐ないが、改めて私の決意を聞いてくれないか」


「はいっ」


ガチャ900連目開始…


「これまでの犠牲どりょくの為に、私は最後まで止まらないから。だから君達も─」


ガチャ1000連目開始…


「止まるんじゃないぞ」


「はい!」


ガチャ合計1000回……終了


「…………」


「……統括長?…どうしたんですか、いきなり黙って…?」


「…………止まっておけば良かった」


「へ?何か言いましたか?」


「いや何でもない。それよりもそろそろ私は降りた方が良いのかな?」


タブレット端末を鞄にしまい、統括長は何食わぬ顔で調査官に問いを投げた。


「え、ええ、そうですね」


オーストラリア支部までの残りの距離がさほど無い事に気づき、調査官は周囲を確認して速度を緩めた。


「次の信号の先で降りてもらっても宜しいでしょうか」


「ああ、そうしよう」


赤信号で停車し、歩行者が横断歩道を渡っていく。

その最中に統括長は、


「…………ん?」


タブレット端末をしまい、見るモノを失って彷徨さまよわせていた視線。

その瞳が、隣の車線で停車しているタクシーに固定されていた。


──鈴子、せめて行き先くらい教えてくれてもいいんじゃないか?

──まだ駄目


「……んん??」


何処かで見た事がある顔だった。

だが有り得ない。有り得る筈がない。

もしあの二人が本人であるならば、自分が育て上げた教え子を問い詰めなければならないだろう。


「……此処で降ろしてくれ」


「え?」


「そこの屋台のクレープが食べたくなったんだ。いいだろ?」


「は、はい。それなら」


カチャと、調査官の操作によって扉が開く。


「じゃあ、抜かりのない調査を頼んだよ」


「分かりました!」


「うむ」


外に踏み出し、扉を閉める。

そして目の前に止まっているタクシーにさり気なく触れて、歩道に入った。


「最近だと、本部内で葉月ちゃんと鬼ごっこをした時が真新まあたらしいかな」


建物の影に入って、脚の関節を軽くストレッチし、筋肉を曲げほぐす。


「本気で逃走する葉月ちゃんのあの表情。あれに勝るロリの顔は滅多に見れないね。あぁ〜また見たい」


軽くジャンプし、最後に小型端末を鞄から手に取り、


「発信機は正常だね。それじゃあ」


赤信号が青に変わり、車が動き出す。

そして知っている二台の車が視界から消えたのを確かめてから、


「面白い事になる場所に行こうかな!」



────。

────。



そして現在…



「これはゲームに登場するヒロインの衣装なんだ。これが証拠だ」


「は、はい、確かに」


スマホに映っているヒロイン。そのワンピースは少女が今着ている物と同じだった。


勘違いだったと謝罪するスタッフに、少女は微笑みを向ける。


「確認を取らせてしまい申し訳ありませんでした。それでは失礼致します」


スタッフが立ち去る。

その姿を見送った少女は、黒いワンピースを揺らして背後に向き直った。


「いや〜、話しかけて早々に声がかかるとは」


広樹のへその高さほどの低身長。

ルビー色の瞳で見上げる少女の言葉は、どこか年長者の風格がある。


「それで隣に並んでも良いだろうか?周りの身長がとても高過ぎてね、圧迫感が辛かったんだ」


「え……ああ…どうぞ」


場違い感がある少女の登場に、思考と返事が出遅れる。

だが出てきた言葉によって、少女は広樹の隣に立ち並んだ。


「ありがとう。いやー今日は暑いね。それに人口密度も高い。身長の低い私が、彼等に取り囲まれたら蒸されて死にそうなくらいだ」


容姿年齢と噛み合わない会話力。

100%外国人に見えるが、流暢に日本語を喋っている。


「そして偶然君達を見つけてね。少しの間だが、親しく話してもいいかい?」


「あ…はい。大丈夫です」


何故か敬語が出てしまった。

少女の表情と声音に感じる謎の違和感が、自然とそうさせてしまった。


「ありがとう」


少女は微笑みながら、小さく頭を下げる。


「それで、え〜と、なんと呼べばいいのかな?」


「あ、荻野広樹です。それと」


「…………」


じ〜〜と、鈴子は広樹を盾にしながら少女を睨んでいた。


「おい鈴子。自己紹介」


「…………内守谷鈴子」


数秒経って、鈴子の口はボソボソと声を発する。

そんな鈴子に少女は笑みを絶やさず、


「荻野広樹と内守谷鈴子か。じゃあ次は私だね。私は…エリスだ。短い間だがよろしく」


────。

────。


「失礼致しますが、その衣装はどこの物語の衣装でしょうか?」


「いえ、友達から借りた普通の私服ですが…」


「それは…申し訳ありません。このイベントではコスプレが必須となっており、私服での参加はご遠慮させて頂いています」


「っ!?…」


「ご協力をよろしくお願いします」


一瞥してスタッフは立ち去る。

そして詩織は榛名から借りた服を握りしめて、メリルが着る服に目を向けた。


「ねぇメリル…」


「そんなに見つめても脱ぎませんカラネ」


メリルが着ているのは、人気アニメに登場するマフィア系黒スーツ。


偶然にもメリルは、イベントに参加する条件を満たして、任務に参加していたのだ。


「ねぇメリル。ちょっとトイレに行ってくるから、並んで待ってて」


「は、はい。分かりマシタ」


メリルに背を向けて、トイレの方向に歩き出す詩織。


何をしに行ったんだろう?と考えながら、メリルは再び小型通信機インカムの電源ボタンに指をかけた。


『どうしてまた通信を切ったの!?』


「バッテリーが勿体無いからです。あの二人が動いていない時だけは、節約した方が良いと考えました」


メリルは正論を唱える。


「追跡中に何が起こるか分かりません。最大限の注意を払って任務を遂行します」


『それなら……ええ、分かったわ』


「じゃあまた電源を」


チョンチョン…


「ん?」


背後から肩を突かれ、もしかしたら詩織だと考えて小型通信機インカムのカメラを手で塞ぐ。

そしてゆっくり背後に振り向くと、


「GLULULULULUッッ…」


「…………Wow」


「GLULULULULU…」


クイクイ……


目の前にいるソレは、片耳を指差して何かを伝えていた。

そのジェスチャーにメリルは、自然と小型通信機インカムの電源ボタンに指をかけた。


「…………」


「…………何か言いなさいよ」


「ヴェッ!?し、し、しし詩織デスカ!?」


毛も無く、服も無く、高身長筋肉質な全身タイツの造形フォルム


今の詩織は、黒一色の醜悪なモンスターの姿へと変身していた。


「これで問題ないわね」


「イヤイヤッ!?何デスカソレ!?どこから持ってきたんデスカ!!」


「トイレに落ちていたわ」

読んでくれてありがとうございます!


今回の話では、ちょっとだけストーリーの向かう方向を書いてみました!

宝くじを交換してハッピーエンドか、やつと向き合ってバッドエンドか。

その他のエンドルートもあるかもしれません!どうかよろしくお願いします!


そして詩織が最後に変身した姿ですが、具体的なイメージ像としては、映画『ヴェ○ム』に出てくるヴェ○ムです!スパイ○ーマンに似ていますが、黒くて、大きくて、筋肉質で、伸びたりと、詩織の姿は今、そのイメージです!

どうかよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] この物語性でバッドエンドはエグくない? みんな救われる話をお願いします
[気になる点] 一瞥の使い方が間違っている気がする
[気になる点] ガチャに天井が無いソシャゲってクソゲーじゃねぇか…
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