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さすがに武器を持ってお店に突っ込めば退学にしてくれるよね!ねえ!!  作者: こまこま
第10章、オーストラリア編(ゲームイベント編)
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第130話、メリル「なんとか目的地に着きマシタ。でも……」詩織「任務の遂行には仕方がない犠牲だったわ」メリル「詩織が驚かせたからデスヨ!バイクがほとんど大破してるじゃないデスカ!」

書きあがりましたので投稿します!

どうかよろしくお願いします!

「一ヶ月分の体力を運転中に使った気がしマス…」


駐車場にバイクを停め、メリルは疲れ果てた顔で白いドームに向かって進む。


「詩織の話を聞いて色々と予想できマシタ。今回の任務は『広樹と序列九位』に関わる何かデスネ」


「それしかないわ。私もそう思ってオーストラリア支部に向かいながらアナタに連絡を取ったもの」


「納得デス」


隣で歩く詩織の言葉に同調する。


情報が無い状態で最初に当てにするのは、戦闘学関係の情報が集まりやすいオーストラリア支部。


そして支部の序列者と連絡が可能であれば、やり方次第で情報が手に入る。


まんまとメリルは詩織に情報を引き出された状況だ。


「もう深く考えるのはやめときマス。これ以上考え過ぎると頭がおかしくなりそうデス」


深掘りすれば底が見えない話題だ。

それを知る為の体力は、今のメリルには残っていない。


「そして詩織……これは何ナンデスカネ?」


「アナタ現地人でしょ。アナタが知らないのに、私が知っている筈ないじゃない」


「そうデスヨネ。でも、これは……」


目の前に広がるのは、汗を身体中に流す長蛇の列。

見ているだけで暑さを感じさせる光景に、メリルと詩織は顔を歪ませていた。


「何かのイベントでしょうカ。たぶん初めての開催だと思いマスヨ。こんなイベント見た事ないデスカラ」


「確かにこの光景を一度見たら、覚えている筈よね」


「この空間には強い抵抗感が…でも任務を遂行しないト」


不満を吐きながらも、メリルは長蛇の列に視線を伸ばす。


「たぶん今回の任務は広樹と序列九位を見つける内容。見つけて、支部に連絡、そのまま追跡かもデス」


「追跡せずに一緒に行動すればいいじゃない」


「何を言ってるんデスカ詩織。見つかったら──……」


「見つかったら?なに?」


「見つかったら…………特にありまセンネ」


「はぁ〜普通はそうでしょう。あの二人は敵じゃない。だから隠れて追跡する必要もない。でも、それはオーストラリア支部の目的次第だけど──」


カチャと、メリルの脇腹に黒い得物が当てられる。


「し、詩織、どうして銃を?」


「非殺傷用だけど、それなりの威力はあるわ。これを撃つかはオーストラリア支部の出方次第」


詩織の声音に狂気がこもる。


「アナタの支部の大人達は良い人?悪い人?」


「……さ、さぁ〜、教員は分かりませんが、最近では研究員が問題を起こしたばかりデスネ」


研究員達による生徒の意思を無視した強要。

それを思い出しながら、メリルは自分の予測を並べる。


「問題を起こしたばかりで、また新たな問題を起こすとは思えまセン。今回の追跡は緊急時に備えた何かだと思いマスヨ」


「オーストラリア支部があの二人を吸収する可能性は無いのね?」


「まず校長は考えないと思いマス。でも校長の下にいる研究員、それと他の研究機関に所属する人間には注意を向けた方がいいと思いマスネ。広樹の情報はともかく、内守谷鈴子は人気がありマスカラ」


転校生である広樹の情報はまだ大きく広がっていない。

だが、中等部の頃から奇才と評価され、様々な研究と実験に付き合ってきた鈴子は別だった。


「日本支部の『誘導改変』。内守谷鈴子の協力によって作り上げられた成果物はたくさんありマス。彼女の顔を知る研究者は少なくナイ」


まったく……もしそういったやからが現れたらどう対処するの?」


「規則上、戦闘学の許可無く、戦闘力者に研究目的の協力をさせるのは禁止されていマス。規則を破れば武力行使でお縄もありデス」


「つまり、広樹に話しかけた奴を片っ端から排除すれば良いわけね」


「つまりが違いマスヨ!?問答無用でなに排除しようとしてるんデスカ!!」


「私から広樹を奪おうとするやからは容赦なく撃滅するわ…『Talkトーク andアンド Destroyデストロイ』。『話敵必殺とにかくヤる』で任務を肩代わりしてあげる」


「本当にやめてくだサイヨ!二人に話しかけた時点でるのは完全にアウトデス!『Searchサーチ andアンド Talkトーク』にしてくだサイ!『見敵問答みつけて・はなす』デス!」


強い声音でツッコミを入れるメリル。

そして気づかぬ間に、突き付けられていた銃は詩織の懐に収まっていた。


「もし先に当たり屋みたいな事をされたらどうするの?」


「当たり屋って何デスカ?」


「故意に身体を接触させて、大袈裟に痛みを訴えて慰謝料を請求する馬鹿の事よ」


「ああ、当たり屋ってその事だったんデスカ」


名前だけでは意味が通じなかったが、内容を理解してメリルは答える。


「大丈夫デスヨ。日本人のあの二人だけだったら嘘の理屈で丸め込まれる可能性はありましたが、私が介入すれば解決シマス。オーストラリア支部の序列者として、違法的な取り引きは見逃しまセンカラ」


「頼もしいわね。本当に心配は要らないの?」


「『序列第五位』を舐めないでくだサイ!私の顔は研究機関に知れ渡ってイマス!私の介入はオーストラリア支部上層部の介入と同義!敵対する組織ではない限り、向こうから手を引きマスヨ!」


胸を叩いて、自信満々に鼻息を吐くメリル。


「…………序列第五位ねぇ〜」


「その微妙な反応は何デスカ!理由は何となく分かりますが露骨過ぎマスヨ!」


何か不服を感じさせる詩織の言葉に、理由を知るメリルは吠える。


「日本支部の序列者が異常過ぎるんデス!詩織には悪いですが、序列九位から実力がおかし過ぎるんデスヨ!」


日本支部の序列者は世界各国の支部と比べて、高水準の才能を有した実力者集団。


それが戦闘学各支部の見解であり、序列五位のメリルでも、序列九位の鈴子の才能と比較されれば完敗する。


序列第五位メリルでも、序列第九位すずこと比べられたら胸を張れる程の価値はないのだ。


「日本支部とオーストラリア支部を比べないでくだサイ!」


「了解。もう何も考えない様にするわ」


「可哀想な目で見るのも禁止デス!」


「はいはい」


「それでは探しマスヨ!とにかく二人を見つけないト!」


「ええ、そうね」



────。

────。



「良い生徒をお持ちの様で」


「いえ、不甲斐ないものをお見せしてしまい申し訳ありません」


調査官に頭を下げるジェシカ。


今いる部屋は大型モニターが設置された司令室。数人のオペレーター達を見下ろせる席に二人は座っていた。


「事故現場に人員を向かわせました。情報によれば被害者はゼロとの事です」


「分かったわ。そのまま作業を続けて」


オペレーターの報告にジェシカはホッとする。

もしメリルが任務中に一般人を怪我させていれば、隣にいる調査官から何を言われるか分からない。


今もジェシカの精神は磨り減る一方だった。


「調査官様、飲み物を用意してもよろしいでしょうか。少し喉に通したく」


「ええ、此処では声を出すのは多いでしょう。私は構いませんよ」


「ありがとうございます。調査官様の分も用意させます」


扉に立つ部下に指示を出し、用意を始めさせる。


「情報によれば、二人ターゲットはホワイトドームにいます。メリルには二人を見張らせるつもりです」


「その理由をお聞きしても?」


「まず内守谷鈴子です。彼女を手に入れたいと考える研究者は大勢います。我が支部にもいますが、今の問題は外です」


「彼女の存在を知られれば、内守谷鈴子の身に危機が迫る。そういう事ですね」


「ええ。まぁ危機におちいるのは相手だと思いますが……実力的に」


「確かにそうですね……実力的に」


ジェシカの予想に調査官も納得する。


鈴子の能力、誘導改変は使い方次第で最悪の武器となる。

様々な実験と研究を重ね、その情報量も膨大。

その情報を知っている二人からしたら、鈴子が危機におちいる状況は全く想像できなかった。


「しかし注意に越した事はありません。あの二人の価値は大き過ぎる。故に見張りは必須と考えております」


「同意見です。私は此処で貴女を観察しますが口出しは一切しません。生徒の事を考えた判断と指示に期待します」


「ありがとうございます。御期待に添える様に努力致します」


調査官の言葉を聞き、ジェシカは気持ちを締め直した。


そして、メリルの通信を今か今かと待ち続け、


『メリルです!通信を再開します!』


「ようやく繋げたわね!もう通信を切る事は許さないわよ!いいわね!」


『は、は〜い。前向きに検討します…』


「なんで迷わせた返事をするの!?もう許しませんからね!そして任務の内容を説明するわよ!」


『内守谷鈴子と荻野広樹の観察と追跡ですか?』


「っ!?どうして知ってるのよ!?」


既に任務の内容を知っていたメリルに、ジェシカは驚愕しながら疑問を飛ばした。


『あ、あ〜、え〜と……そう!偶然見つけたからです!内守谷鈴子と荻野広樹を発見して、任務の内容が予測できました!』


「…………言葉に迷いがなかった?」


『気の所為です!それよりも発見しましたので、映像通信も再開します!』


現地にいるメリルは、小型通信機インカムに備わった小型カメラを再起動させる。

そして大型モニターに映し出されたのは、コスプレをした汗だく男の群れだった。


「「「「「「うっ…」」」」」」


ジェシカと調査官だけではなく、この部屋にいる全員が顔を歪ませた。

それほどに映し出された映像の印象が大きかった。


「どうしてあの二人がこんな場所に……」


「一体何が目的なのでしょうか。ホワイトドームのイベント情報を調べる必要がありますね」


「もう調べさせております。情報が整い次第、まとめた資料を早急に御用意させます」


オペレーターの一人が今も情報を収集し、一つのまとまった資料を作成中。

既に完成は近いと、オペレーターがジェシカに視線を向けて合図を見せる。


「それでメリル!内守谷鈴子と荻野広樹の姿を早く見せなさい!状況を確認しなければいけないわ!」


『は、はーい!分かりました!』


大型モニターの映像が大きく揺れ動き、対象を捉えて揺れが止まる。

ボヤけた映像に補正が加えられ、光景が鮮明になっていく。


「ようやく発見できました。これで少し安心が持てます」


「そうですね……ん?内守谷鈴子と荻野広樹…と、もう一人?」


調査官の指摘に、ジェシカも目を凝らして確認する。


「誰かと接触している?でも、後ろ姿から見てもまだ子供…」


「あのは一体…………ん?」


調査官はゆっくり立ち上がり、眉間に皺を寄せながら白髪の少女を見る。


「あの黒いワンピースは…………っっ!?」


肩を震わせた調査官。それに気づかないままジェシカはオペレーター達に指示を出した。


「オペレーター。あの少女の姿を拡大して」


「分かりました」


ジェシカの指示により、広樹と鈴子の側にいる少女の姿が拡大されていく。


そして補正が済んだ直後、少女はゆっくりと首を回して、モニターにその幼顔を映し出した。


(な、な、なな──ッッ!?)


その姿に瞳を大きく震わせる女性が一人…









(何をやってんだぁあ!?あのぉお統括長ペドフィリアはァアアアア!?)


白髪の少女を見て、心の中で大きく絶叫する調査官がそこにいた。

読んでくれてありがとうございます!

ようやく統括長の登場です!


本部内で葉月を追いかけ回したり、校長がヤバイと言う戦闘学のトップ!


第127話で調査官が「しかし、ペ──んんっ…失礼」と言葉を止めたシーンがありましたが、「ペドフィリア」と言いそうになったからです!「ロリコン」と迷いましたが、レベルが高そうな「ペドフィリア」にしました!


そして別の話になりますが、感想コメント数が1000件を超えました!いつも感想を書いてくれてありがとうございます!とても嬉しいです!


アクションからコメディーに移動して読者がたくさん増えました!機会を見て、初のローファンタジーに挑戦するか、アクションに戻ろうかと考えております!どうかよろしくお願いします!


これからも頑張っていきます!

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