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さすがに武器を持ってお店に突っ込めば退学にしてくれるよね!ねえ!!  作者: こまこま
第10章、オーストラリア編(ゲームイベント編)
128/221

第128話、メリル「さて走りますか!映画のワンシーンみたいなレーシングテクニックで駆け抜けます!」

遅くなってすみません!

書きあがりましたので投稿します!

どうかよろしくお願いします!

(どうするっ!)


ジェシカ・ウィリアムスは迷っていた。

その原因は今訪れた報告にある『内守谷鈴子と荻野広樹の来訪』にあった。


(ただでさえ事件を起こしたばかりだというのにっ!)


戦闘力の強要。それを実行していたのは丸々全て、欲望に駆られた研究員達によるものだった。

それが最近判明し、ジェシカが頭を下げている状況である。


(あああ!考えては駄目だと思うけど、子供達からの告発がもう少し後だったらぁぁあっっ!)


判明したきっかけは、勇気ある生徒からの告発だった。

強要されていた生徒の一人が、ジェシカに自分の意思を伝え、研究者達の実態が明るみになったのだ。


だが今思うのは、その告発が数週間先だったら良かったと思う願望である。


(日本支部の目的は何?あの二人を海外に出すなんて、剥き出しの金塊が散歩している様なものじゃない!いいえっ、肉食絶滅危惧種を放し飼いにしている様なもの!)


彼等は戦闘学の教養をまだ終えていない子供達。そこまでなら許容範囲ギリギリだったが、二人は『序列者相当の力』を持った子供達だ。


多少の判断能力があるとしても、まだ一時の感情によって暴走する可能性のある未成熟者。


そして何より、彼等の価値を知る研究者がこの国に大勢いる。

大きな研究成果を成したいと抱く、欲望に支配された大人達。

彼等に二人の存在が知られれば、何かしらの接触を図る可能性が大いにある。


(もう頭を下げるのは嫌なのよ!今回は一部の研究員達だけだったけど、あの二人の存在を知ったらどうなるか!頭の下げ過ぎで首が取れてしまうわ!!)


ジェシカの精神はボロクソに殴られていた。

自分が犯した罪でもないのに、責任は頂点にいる自分に全て行くのだ。

ボロボロにされたばかりの上に、また新たな悪種わだいが飛び込んで来た。


それは最悪の一言でしかない。


(今は調査官がいるっ。二人に追跡者を放つとしても悪い意味で疑われてしまう!あああ!どうすればいいのぉおお!)


もし彼等に欲心を抱く大人達が近づいたらどうなる。

当たり屋まがいな事をして、責任として我が研究材料にしようと要求してくるかもしれない。

彼等の価値を手にする為ならば、研究者達は汚い手段を用いてもやる筈だ。


(存在がバレて近づかれるのは時間の問題!どうする!どうする!どうする!────ああもうぅう!!)


ジェシカは決心する。


「調査官様。申し訳ありませんが、緊急的に実行しなければいけない任務が出来ました」


「聞きましょうか」


「はい。今の報告にあった内容は、支部が無視できるものではありません。なので少しばかりこの件に時間をいてもよろしいでしょうか?」


「しかしそれは─」


「私が直接指示を出します。今回の件が終了するまでは私が統括し、その姿を調査官様に全て見てもらえたらと考えております」


「っ!?」


「私の行動の全てを貴女に見せます。どうか…」


「…………分かりました」


迷った末に出された調査官からの許可。

それによってジェシカの恐怖心は一時晴れた。


「では、司令部に移動しましょう」



────。

────。



「もしもし、何ですか校長?」


……。


「はぁ、緊急任務?でも私は今趣味が、え?時間が無い?でも準備に時間が掛かりますよ」


……。


「とにかく外に行け?任務の内容は何ですか?え?後で説明する?う〜ん、分かりましたけど、急いで出るので文句は言わないで下さいよ」


……。


「じゃあ切りますね。バイ」


ピ!

メリルは端末を懐にしまい、必要最低限の物資が詰まった小バッグを手に取る。


「さて、行きましょうカ!漆黒の闇翼の降臨デス!」


メリルはカタコトの日本語で高らかに宣言する。


顔と片手に巻かれた包帯。

垂れ流しになった赤いマフラー。

その他中二病をくすぐる諸々。


メリルはコスプレ全開で、自室の扉を開け放った。



────。

────。



「カメラ付き小型端末インカムの常備と、始終態勢の常時連絡……校長〜、ちょっと力を入れ過ぎてませんか〜?」


『何も言わずに、とにかく走りなさい!』


「今は赤信号ですよ」


『じゃあサイレンよ!緊急事態なんだから許可するわ!』


「ら、ラジャー」


グリップの下にあるスイッチを押すと、バイクの後部から点滅灯が現れ、眩い発光と高い音が鳴り響いた。


「失礼しますよ〜〜」


サイレンによって停止した車両に一瞥して、メリルは交差点を通過した。


『とにかく急ぎなさい!情報によれば、対象はC地区のホワイトドームにいるわ!』


「ホワイトドームですか?それに対象って?犯罪者でも発見されたんですか?」


『いいえ!これから犯罪者が大量生産される瀬戸際なのよ!』


「何を言ってるんですか?」


『とにかく急いで!そして対象をカメラに写して見せなさい!彼等の今の状況を!』


「はぁ〜ラジャ〜」


校長の慌て様に、メリルは追求をしなかった。

だが、彼女が言葉を荒げるほどの案件が、目的地で起きているのだと感じ取れる。

やや気持ちを引き締め直して、グリップを大きく回す。


ピピピ!ピピピ!


「ん?」


胸ポケットにあるスマホから音が鳴った。


「校長。運転に集中したいので、一度通信を切りますよ」


『電話は無視しておきなさい!』


「何かの勘違いですよ」


『ちょッ─』

ピ!


スマホの音を拾った校長が止めろと指示を出したが、その言葉を無視して小型端末の方の電源をオフにした。


「ん〜〜、ん!?詩織!ハァイーモシモシ!」


端末に表示された名前を見て興奮する。


ヘルメットに付いたマイクスピーカーに、スマホを接続。

カタコトの日本語で、自分が好意を抱いている少女に言葉を送った。


「どうしたんデスカ詩織!いつもはメールで連絡スルノニ!」


『…………メリル』


「ん、何デスカ?それと声が少し暗い様ナ…」


『ゴメンね…少し疲れているのよ』


「ワッツ?でも、どうして今連絡ヲ?」


『ちょっとメリルに聞きたい事があったのよ。今アナタの支部で、緊急的な任務が発令されてない?』


「ワオ!よく知ってますネ!今私はその任務を請け負ってマス!準備に時間が足りなくて、暇に思われてイタ私が担当にされまシタ!」


『……へぇ〜、それは好都合ね』


「ん?好都合?」


それはどういう意味なんですか詩織。

でも、少し声が明るくなって嬉しいです。


『ねぇメリル。今何処に向かって……いえ、端末のGPS情報を私に送ってくれないかしら?』


「何でデスカ?これ以上の情報を他者に伝えるのはチョット…」


『大丈夫よ。私は日本支部の序列十位、姫路詩織だもの。そんな私がアナタから貰った情報を悪用すると思う?』


「そう言われてモ〜」


『ねぇメリル、私達、友達よね』


「その言い方は反則デスヨ!!」


詩織が甘えた声で、反則めいた台詞を言い放ちました。

私にはこの言葉は重過ぎます。特に詩織から言われてしまったら、心が大きく揺らぎます。


「で、でも、今私と会話シテイル詩織が本物か分かりまセン!確認させてクダサイ!質問デス」


『端末に表示された名前で判別できると思うのだけど……分かったわ。でも一度だけにして』


「ハァイ!では──」


詩織との過去を思い出し、私と詩織しか知らない問題を掘り起こした。


「私が詩織に初めて聞いた質問は何でしょうか!」


『日本に侍はいるの?じゃなかったかしら』


「オウ!正解デス!」


覚えていてくれた事が嬉しいです。

大切な思い出の一つを胸にしまって、私は詩織に自分の端末のGPS情報を送る。


「でも、日本にいる詩織がドウシテGPS情報ヲ?意味がないと思いマスガ?」


『それは─『ファンファン!』─ああ、やっぱり…音を辿たどって良かったわ』


「んー?ちょっと今ノイズが…サイレン?……詩織の近くでサイレンが鳴ってまセンカ?」


『GPS情報もピッタリ。本当に手間がはぶけたわ』


「詩織?」


何やら嫌な予感が胸をぎる。

詩織の声と重なって聞こえるサイレンの音が、私の何かを大きく震わせている。


この寒気は一体……


『ねぇメリル……メリーさんって、知ってる?』


「メリーさん?知り合いにはいませんケド」


『…そう。じゃあ……アナタに一つ言ってみたい台詞があるの』


「ん、何デスカ?」


『うん、メリル────私いま』









「アナタのうしろにいるのよ」

読んでくれてありがとうございます!

メリーさんの電話は都市伝説なので、著作権はセーフと調べたら分かりました!

ぜひ次話も読みに来てください!

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