第113話、鈴子(激しくし過ぎてごめんなさい)
書きあがりましたので投稿します!
よろしくお願いします!
何を言ってるのあの娘ぉおお!?
確かにそんな約束してたけど!
してたけど!この場で公表して良い事じゃないよ!
これじゃあもう収拾がつかないじゃないかぁあ!!
「校長、もう駄目です」
ワァーーーー!!と会場に賑わいを見せる。
それを聞き、もう軌道修正が間に合わないのだと改めて理解した。
「辞めます…辞めて、戦闘学の関係者がいない普通の生活に戻ります」
「ちょ、ちょっと待とう広樹くん!まだ間に合──間に合う可能性がある!」
「『可能性』じゃないですか!そして今の間は絶対に無理だと考えていた間でしょ!」
再び顔を寄せ、瞼を精一杯開いて言う。
「もう帰らせてもらいます!退学届けは近日中に渡しますので、必ず受理してくださいね!」
「ま、待てっ」
校長に背を向けて、壇上の階段に向かう。
だが、その道は塞がれた。
『はい!次に荻野広樹くんからコメントを貰おうと思います!さぁ広樹くん!』
笑顔でマイクを差し出す天乃。
『鈴子ちゃんとの旅行についてだけど、まず何処へ観光に行くのかな?』
えっ?
『えっ?─』
まずい、思考が声に漏れた。
え?何を言えばいいの?
何か言わないといけない流れなの?
『ん?……まさか、考え中とかかな?』
『え……はい、まだ考えてます……オーストラリアに行きたいと言い始めたのは、鈴子からだったので』
『鈴子ちゃんからか〜、う〜ん……じゃあ君的にはどう?やっぱり思い出作りとして、色々とスポットとか調べてたりとか?』
彼氏の役割を問われている気がする。
そんな気がした。
恋人の為に準備をしているのかについてですか?
してないよ!
『そうですね〜……』
引き伸ばして思考する。
何を答えれば良い?
…………!?
これはイケる!?
俺は考えついた作戦を即座に実践した。
『鈴子に任せるつもりです。俺は鈴子の『付き添い』なので、俺が色々と考えてしまうと鈴子が楽しめないかもしれないので』
『つ、付き添いかい?』
『付き添いですよ。一人旅は危険だからって、俺が同行する事になったんです』
鈴子の身に危険な事は起きないと断言できる。
寧ろ危険なのは鈴子の存在なのだと断言しよう。
だが、今はそんな思考は必要ない。
此処からが肝心だ。
次の一言で全てが決まるのだ。
『俺は精一杯、鈴子が楽しめる様に隣を歩きます。それが『友達』と言うものですから』
──!!!!!!!!
そしてスタジアムは一瞬揺れる。
『友達』と言う言葉によって、彼等の思考に混乱が生じたからだ。
『と、友達かい?』
『友達ですよ。だって──』
ここで説明する!
『昨日の夜も寝不足になるまで遊んでたんです。今日がイベントの日だと言うのに、一度だけクエストに付き合って欲しいって』
昨日の夜。寝不足。クエスト。
これらの単語一つ一つが、聞いた者達の思考に道筋を作り出す。
『三十分で終わると思っていたのに、鈴子が激しいプレイをするから、四時間以上も掛かって泣きそうで、そして何故か俺に被害が出てそれはもう─痛っ!』
『広樹っ!』
俺のマイクに鈴子の声が入る。
だがこれでいい。
鈴子が俺の近くに来てくれたこの状況が良いんじゃないか!
『そのままだろ!昨日の夜にどれだけ俺がゲームで痛い目にあったと思ってる!もっと優しいプレイでも良かったんじゃないか?』
『そ、それはそうだけど』
あえて鈴子の近くに寄り、手に持ったマイクを鈴子に近づけて声を拾わせる。
『鈴子は友達への気遣いが足りないんだ。俺は今回の旅行でお前を最優先に考えて歩き回ろうと思ってる。…此処まで言えば分かるだろ?』
『ウグっ』
『お前が俺を友達と思っているのなら、すぐにとは言わない、ゆっくりで良いから気遣いを覚えてくれ……そうすれば、これからも楽しく付き合っていけるから』
自分の反省を再び思い出した鈴子は、
『……うん、分かった』
一言一句、今紡いだ言葉を肯定してくれた。
そう!全て!昨日の夜の事もだ!
────勝った。
完結だ。完璧だ。
我々の完全勝利ではないか!
『すみません天乃さん。つい話題が外れてしまいました』
『い、いやいいんだ…すまない。ちょっと此方に誤解があったみたいだ…』
『誤解…ですか?』
『聞かない方が良いよ。そしてすまなかった。いや本当に』
さっきまでのポジティブ精神が嘘の様に消えて、恐縮した雰囲気がそこにあった。
分かるよその理由。
だって全てが誤解だったんですもん。
『じゃあ気にしません。旅行を楽しんできます』
『そうだね。楽しんくると良い。コアラもたくさんいるだろうからね』
『っ…はい。たくさん触れ合うつもりです』
一瞬コアラと言う単語で思考が止まったが、すぐに思い出した。
開会式の際にコアラと喋ったんだった。
でも、これで誤解は解けた……のか?
これで全て解決……なのか?
読んでくれてありがとうございます!
早く新章突入できるように頑張ります!




