第109話、鈴子「広樹…校長と何をコソコソしてるの?」
書きあがりましたので投稿します!
俺達の関係……?
「あ、なるべく発音良くお願いします」
そして何気に撮影少女が近いんだけど……え?撮ってるの?
とりあえず……
「友達です」
「っ……鈴子くん。君の言葉を聞きたい」
「ぇ…はい?」
「どんな関係なんだい?」
校長は鈴子の方へと向き、再度同じ質問を繰り返す。
それに鈴子は、質問の意図が分からず、困惑した声音を吐き出した。
「…………友達?だと思う」
「っっ……すまない。私の聞き違いなのか、私の質問が悪かったのか……そうだね、じゃあ」
校長は気持ちを改めて、新たな質問を出す。
「二人は友達レベル五段階で例えると、どの辺りなんだい?」
「「は?」」
なんだその質問は?
この場所で戦闘学のトップは何を聞き出そうとしているんだ。
鈴子も同じ思考の様で、眉を曲げた顔で校長を見ていた。
「えっと…俺は四くらいかと」
一度は部屋の掃除し、ご飯も作った。
そして深夜には、オンラインゲームで会っている。
三が平均なら、四が妥当だろう。
「四か……う、うむ。オブラート過ぎたかな……す、鈴子くんはどうなのかね?」
「私は……」
鈴子は何故か顔を赤くしている。
それを見た校長は片手で来い来いと合図を出す。
「広樹くん。少し距離を開けるよ」
「あ、はい」
「あ、私も此処にいますね」
俺と撮影少女を残して、舞台の奥に進む校長と鈴子。
そして鈴子が校長に耳元で何かをボソボソと伝える。
それを聞いた校長は、再び何かを聞いているみたいだが、鈴子は拒否したらしく、逃げ帰ってきた。
「鈴子くん…肝心な事が分からないよ」
「ふん……もう伝えたよ」
「曖昧過ぎだ。もう少し明確にだね…」
あれ?
五段階を伝えるのに、どうして曖昧な言葉が出たんだ?
「このままじゃ、記者会見が本当に起こりそうなんだ」
「撮影は任せてください」
「記者会見?」
「いや、魔女狩り裁判の間違いかな…」
「魔女狩りは撮影したくないですね…」
「魔女狩り裁判?」
俺と鈴子が考えを迷わせる中、校長だけが頭を痛くした顔を出す。
「私は教育者として、生徒の非行を止める義務がある。例え本人達の強い気持ちがあったとしたとしてもね」
「それ、天草先生も言ってましたよ」
「それだけ君達を大切に思っているという事だよ」
本当に分からない。
いや分かるよ、教育者としての役目を唱えている事は理解した。
だが、この流れでは自分達が非行をしている事に……つまり、
「校長は、俺達が非行に走っていると?」
「はっきり言えば、そういう事だね」
当たってた。
え?何処でそんな勘違いを?
「俺達は非行なんてしてませんよ!何か疑われる事でもしましたか?」
「本人が気づかずに非行に走る例もある。思い出してみなさい、何か思い当たる節がある筈だ」
「思い当たる節?」
「?」
鈴子も思い出す様な素振りを見せる中、俺も過去を振り返ってみる。
校長は俺達二人と向き合って、非行に走ってると言った。
じゃあ二人で共通の非行に走っていると勘違いしている筈だ。
ならば、鈴子との今までを思い出せば、答えは自ずと見えてくる。
…………あっ。
「……更衣室」
「っ!?」
「更衣室?」
鈴子もそれを思い出し、顔を赤くした。
そして校長はその単語に言葉を迷わせた。
「もしかして…更衣室の事ですか?」
「……っ、そう。更衣室の事だね」
少し違和感があったが、校長はこの答えが正しいと返した。
まじか、アレは……確かに非行だ…
「いや、あの時は色々あって……とにかく何もしてませんよ!」
「し、してない!同じ更衣室に入ったけど、何もしなかったよ!」
ガンッ!!
校長は広い机に頭をぶつけた。
え、どう言う事だ?
「同じ更衣室に……君達はなんてアブノーマルなことを……」
「だから何もしてませんよ!アブノーマルって何ですか?まるで俺と鈴子がソッチの関係があるみたいじゃないですか!?」
やばい!
何か大きな勘違いをされてる!
俺の予想が正しければそれは!
「広樹くんも鈴子くんもまだ未成年だ。芽吹いてからじゃ遅いんだよ」
「芽吹いて?」
鈴子はその意味を理解出来なかったみたいだが、俺には分かった。
当たってた!
本当にヤバ過ぎる勘違いだった!
「校長。ちょっと二人で」
「ふむ。聞こうか」
「あ、私はどうすれば……でもプロとしての使命がっ……どうすればっ……」
鈴子と撮影少女をその場に残し、校長と共に奥に移動する。
「言いたくないですけど、俺は、誰とも、その……経験した事がなくて……」
「じゃあCまで行ってないと?」
「AとBもした事ないです!今まで彼女がいませんでしたから!」
「…………私達の勘違いなのか?Dの心配は?」
「勘違いです!そしてDって何ですか?」
「『出来ちゃった』のDだよ」
「俺は人生設計をちゃんとする方です!もし誰かとそう言う事をする時が来たら、ちゃんと予防しますよ!」
「良い心がけだ……じゃあ、更衣室と昨日の夜については?」
「昨日の夜?」
「イベント中の会話を拾ったんだ。君達が昨日の夜に激しく何かをしたとね」
激しく?
激しく……鈴子が激しく!?
「それは──!」
昨夜にしたゲームの件を、怒られる覚悟を持って正直に全てを説明した。
ほんとイベント前夜に徹夜でゲームとか、説教されても文句言えないだろ。
「と言う事です!」
「そ、そう言う事だったのかい?じゃあ更衣室は?」
「そ、それは──!」
鈴子と一緒にいる姿を、詩織に見られるのが気まずいと感じて、咄嗟に隠れたと伝える。
作戦の失敗で詩織に慰められて、その時は会いたくない気持ちが強かった。
それを必死に伝えて、校長は安心した顔を表に出した。
「そうだったのか。いや、凄くヒヤヒヤしたが、そうか!安心したよ!」
「恐ろしい勘違いをしないでくださいよ……でも、これって不味くないですか?」
「…………あ、ああ……そうだね」
校長が勘違いしていた。
ならば、此処で誤解を解いても、既に広まっている訳で……
「校長、俺決めました」
「ん?何を決めたんだい?」
「俺、戦闘学を退学します」
読んでくれてありがとうございます!
そして報告です。
諸事情により更新頻度が下がります。
また、更新が一度止まるかもしれません。
いつも読んでくれている読者の皆様には、深く謝罪いたします。
しばらくの間、よろしくお願いします。
やる気がなくなったとかではないので、大丈夫です!
この物語は今後も終わらせずに、続けていきたいと思っています!
だからぜひ次話も楽しみにしていてください!