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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

愛狂ガール シリーズ

その腕買うわ

作者: 高千穂 絵麻
掲載日:2016/04/24

 ホラー作品です。苦手な方はご注意ください。

 ここね、腕の立つパティシエがいるという噂のお店は。


 こんなに素敵なスイーツ、小さな店に埋もれさせておくのはもったいないわ。

 うん、この私がでてあげる。光栄に思いなさい。


「いらっしゃいませ」


 店内の雰囲気も悪くないわ。


「あなたが腕の立つパティシエと聞いてやってきたの」

「あ、あなたがあの、世界に名だたるスイーツメーカーの……」


 私の名刺を食い入るように見ているわ。

 私のような若い女が、巨大企業のトップだなんて思いもしなかったようね。


「早速だけど、腕を見せてもらうわね」

「腕試しですね。いいでしょう。海外で何年も腕を磨いてきましたからね」

「あら、結構な自信じゃない。こう見えて、私も腕に覚えがあるのよ。生半可な腕じゃ期待外れだわ」


「ははっ、それは手厳しい。そこまで言われちゃうと、腕が鳴りますね」


 厨房がこの奥なのね。私もその後についていく。



「さあ、僕が腕によりをかけて作ったスイーツです。ご賞味ください」


 彼の作ったスイーツを手にする。


 大胆な構図に繊細な造形が相まって不思議な魅力がある姿に、天井のライトの光が反射している。


 口に含むとほろほろと柔らかく溶けて、ふんわりと舌の上を甘味が広がっていく。

 鼻に抜ける香りがまた、爽やかな風味を感じさせる。


「うん、確かな腕ね。いいでしょう、あなたの腕を買うわ」


「ありがとうございます! これで、世界に向けて腕を振るえます!」

「ふふっ、大袈裟ね。でも、世界に向けてっていうその意気込みは悪くないわ」

「はいっ、ご期待に沿えるよう、頑張ります!」


 そうね。ふふっ。あなたの世界はこの私。


 私以外にこのスイーツを口にすることは許されない。




 薄暗い部屋。私のお気に入りの場所。


「さあ、今日もその腕を見せてちょうだい!」


 カーテンの向こうには彼がいる。

 そのカーテンをゆっくりと、もったいぶって開けると、独特の香りが鼻を刺激する。


「ふふっ、今日もいい腕ね。惚れ惚れするわ」


 私の恍惚とした視線を受けても、彼は一切反応しない。


 青白いほのかな明かりに照らされた水槽から、右腕だけになった彼を取り出す。

 ホルマリンの刺激臭が辺りに充満する。


「さあ、今日もこれからあなたの腕を磨いてあげるわ。

 まったく、水もしたたるいいおとことはこのことね……」

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― 新着の感想 ―
[一言] いくらで買ったんでしょうか?(*゜▽゜)ノスイマセンm(__)mそればっかり気になります(^_^;)
[良い点] 世界観の描写が魅力的です。 言葉の選び方にセンスがあって、自分の作品の 手本にしたいと思います。
[良い点] こぇぇぇ((((;゜Д゜))) ところ。 [一言] でも、今回はタイトルだけであらかた予想できました
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