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友人Aの反逆日記  作者: みくじ


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10-1


 高野山の事後処理は比較的に簡単に終わった。と思う。


 擬きくん関連で完全に震え上がったオセアニアさんはこちらの提案を全て飲んでくれた。と言っても末端が即決できる問題でもないので後日正式に、となった。



 その交渉の矢面に立たされるであろうキッドマンの顔色は既に悪くなっていた。

 オセアニアの上層部にも独自の見解があるだろうからそれを説き伏せなければ俺との戦争になることを想定してげんなりしているのだろう。

 別に破談となればそれはそれと思っているのだが。


 苦労性なキッドマンに親近感が湧いてしまったので少しいらないことを言ってしまった。


 もし上層部の頭が固い様だったら自分も手伝うと。

 あるいは組織を抜け出してこちらにつくというなら歓迎すると。


 半分冗談で言った言葉だがそれを聞いた何人かが今すぐにでも抜け出すと言いだしそれを止めるのが面倒だった。おまけにキッドマンからは気遣いを引くほど有り難がられて困った。

 倍以上の年齢の恰幅のよい黒人男性に泣きながら手を握られて感謝の言葉を延々と聞かされるなんてどんなホラーだ。



 少々構成員に不安が残るオセアニアさんだがおそらく大丈夫だろう。

 今回の彼らの目的はテイラー氏の保護あるいは抹殺。

 その対象があっさりと奪取された形になったのだがその相手から協力の申し出があったのだ。テイラー氏が流出している以上組織としてはマイナスでしかないので何処かで利益を欲しがるはずだ。

 寧ろ協力が得られなかったテイラー氏と交換に別のところからの協力依頼だ。好機と捉えてくれるはずだ。


 もっとも俺にどれほどの価値を見出してくれるか不明だが。

 少なくとも交渉のテーブルには出てくるだろうからあとは綾香様のお仕事だ。



 今回の中心であるテイラー氏だが一応協力の言質は取れた。

 既に能力は奪取しているので今更本人の意思などどうでもよさそうだがこれも重要なものだ。


 因みに協力が得られる理由は能力を俺が奪ったかららしい。

 どうやら物質変換など出来てしまう自分は化け物の類だと思い込んでいたよう。

 能力が重みになり呪いとさえ思っているテイラー氏にとって能力が使えなくなることは希望に思えたらしい。

 生まれてからずっと背負ってきた呪いをいとも簡単に消した俺を救世主とさえ思ったらしい。



 随分と軽い感情だことだ。

 これだけなら主人公様の様に突貫してなんだかんだで乗り越えられそうなものだったが仕方がない。

 テイラー氏の攻略こそ簡単だったがその他の整頓は必要なものだったし。



 テイラー氏の処遇だが無所属だったとはいえオセアニアが管理していたようなもの。本人が能力を使えなからといって簡単に移籍できるはずもなくその辺も要交渉らしい。

 それも綾香大明神にお願いしておこう。



 無駄に動き回っていた中華系の処理だがそれは高野山が引き受けてくれることになった。

 やはりこういった組織としての発言力は地主が強い。


 中華系組織が勝手に侵入し略奪行為など不法行為を働いた。その鎮圧の為にオセアニアが協力してくれた。という筋書きになるらしい。


 高野山がオセアニアに協力するつじつま合わせの為に俺やテイラー氏が色々と使われるらしい。

 いよいよ俺の名前が非日常に広まってしまうのだが仕方がない。別に名前が轟くことに高揚していない。寧ろ面倒に巻き込まれないか今から心配だ。



 気がかりなのは日本系の隠密組織。

 最後の最後で登場したゲテモノ忍者だが、どうやら彼らがその隠密組織らしい。


 気配や顔などの特徴からすれば納得なのだが違和感が残る。

 どう考えても日本人があんな忍者姿をするとは思えない。だって忍者の癖に背中にはケミカルライトで装飾されていたし。普通の日本人の感性ではあれは無い。

 その辺の詳細はオセアニアさんからの報告を期待しよう。真相が分かったところで特にするつもりは無いけれど。



 後は擬きくんの処遇。

 テイラー氏から協力の言質が取れた後色々と誤解を解いたのだが随分酷かった。

 真実の性を理解させられた擬きくんはテイラー氏に詐欺だの屑だの喚いていたが大人たちはみんな可哀想なゴミ屑を見ているような目で見守っていた。


 不思議なのは擬きくんがテイラー氏を罵倒すればするほど能力量が減っていったこと。

 主人公の様に他人の為に感情を奮わせたことで能力が開花したというなら主人公ではない言動によって萎んでいくのも納得だが正確には分からない。


 取りあえず擬きくんがゴミ屑くんになるほど悪口雑言を吐かせて弱くなったところで呪術でポイした。

 また何かのはずみで擬きくんに返り咲かれると困るしちょちょいと記憶を弄って日常に戻ってもらった。

 ゴミ屑くんは不確定要素が大きすぎるので高野山に暫く監視をお願いした。



 因みに呪術でポイして初めて分かったのだがゴミ屑くんが発現した能力は未来を見通すものだった。

 恐らくこれがあったから長時間の逃避行が出来たのだろう。と言っても擬きくんからゴミ屑くんになったあとなので精々行動の予測くらいしか使えないのだが。

 それに俺がテイラー氏と接触するまでは一般人としての気配しかなかったので能力は使えないはずなのだが。

 その辺は情報が少なすぎて分からないことと所詮ゴミ屑くんの事なので気にしないことにした。



 兎も角、概ね目的通りの戦果だ。

 結局俺のしたことなど雑魚相手に無双しただけなのだが。


 残る細かい詰め合わせも綾香に任せて俺は1人キャンピングカーに戻る。

 よし子さんには綾香の酷使ぶりを酷評されたが本人が了承したので問題ない。よし子さんも俺と同じようにほとんど何もしていないので言われたくない。


 それに一応酷使している自覚はあるので本人にも尋ねたことはあるが



「潤が私を頼りにしてお願いするなら任されるよ」



 と、微笑まれたので素直にお願いした。

 周りがどう評価しようと本人が問題ないというなら問題ないのだ。



 雑務を綾香に押し付けてキャンピングカーに戻って来たのにはわけがある。


 至極簡単、寝るためだ。

 いい加減に疲れた。働ぎ過ぎた。

 元々勤勉ではない俺には長時間労働は向いていない。主人公様の様な熱意もないので気持ちも続かない。


 それにテイラー氏を、というよりは物質変換の力を手に入れたことである程度駒が揃った。

 世界をどうこうできるとは思わないがせめて自分の身くらい守れるだろう。



 それにしても主人公でもないのに色々と巻き込まれて駆け足で来た。

 それもこれでしばらくは何もしなくていい。そう思えば自然と気持ちも抜け気怠さも襲ってくる。



 さっさと寝よう。

 そして家に帰って本を読もう。いや、本に浸ろう。



 役場から駐車場まではそれほど離れていない。精々徒歩で10分。

 それなのにその時間が何日の様に思えた。それ程疲れたのだろう。



 それにしても色々あったものだ。


 ダメ生物さんとの出会いがあり阿呆な輩の学校占拠があり委員長との索敵もあった。その委員長にクリスマス会に誘いだされて色々と面倒に巻き込まれそうになってからは本当に駆け足だった。

 委員長にいらない子宣言されるわ、メインヒロインの御遊びにつき合わされ、ぽっと出のよくわからない相手と戦い、避難先ではリアルで微グロなナマズを手懐けてしまった。

 その後も木乃伊に会いに行ったらロリコンドクターとヒロイン風味なJKが幸せそうな家庭を築いていたり。そしてその幸せそうな家庭をロリババアが壊滅しにかかっていたり。

 高野山に来てみれば坊さんは唯の坊さんだし、恰幅のよい男性はビビりだし、呼んでもないのに主人公擬きくんが出てくるし、阿保っぽい忍者は出てくるし。



 ホント、色々あったな。これだけのことが数カ月であったのだ。疲れもする。

 そんな過去を振り返りながら道を歩く。



 何でも無いように思い返していたのだが後にしてみればこれは走馬燈だったんじゃないかと思う。



 何とか足を動かして車までたどり着く。

 そして疲れ切った手でそのドアを開けるとそこには見知らぬ男性がいた。


 見た目年齢30代。切れ長の目に眼鏡。

 ピシッとしたスーツ姿も相まってきつそうな印象を受ける。


 そんな男が優雅にコーヒーを飲んでいた。



「やっと来たかね斎藤くん」



 そのザマス眼鏡の男が口を開くと周囲一帯の雰囲気が変わる。


 何も感じなかったはずの車の周囲に気配が9つ。

 それも綾香やよし子さんなどは言うに及ばず擬きくん並あるいはそれ以上のモノばかり。

 加えてそれらから醸し出される面倒な感じは擬きくんなど比較にならない。



「遊びの時間は終わりだよ」



 ザマス眼鏡が嫌らしく微笑む。


 終わりだと思っていたのにこの急展開。



 ちょっと泣いていいだろうか。




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