9-12
オセアニアさんが到着するとあれこれ尋ねられて時間を取られてしまった。
急激な魔力の増大も彼らを驚かせたようだがそれ以上にあっさりと排除したことに恐怖していたようだ。本来であればもう少し早く駆け付けられたのだが皆足が竦んでしまい遅れたとのこと。
恐る恐る近づいてきたキッドマンが先頭に立たされて尋ねてきた。
俺が何者で何が目的なのかと。かなり面倒だった。
中には命乞いをする者もいたのでかなり面倒だった。
恰幅のよい黒人たちに殺さないでと懇願されるなどちょっとしたホラーだ。
何度も言うが今回の相手はそれ程大したものではない。周りに恐怖と尊敬を向けられても勘違いすることなく気を引き締める。
一先ず敵意がないことを伝えて面倒事の処理をお願いする。
敵意がないことが伝わったかは不明だがオセアニアの皆さんは嬉々としていう事を聞いてくれた。
まず無駄に頑張っていた中華系構成員とゲテモノ忍者。また何かをされると面倒なので拘束しておいてもらう。
因みに、オセアニアさんたちはゲテモノ忍者にかなり興奮していた。
構成員を捕虜にするにあたってオセアニアさんの方で色々と聞きだすという事で後々情報をもらうことになった。
歴とした組織なのでそういった情報を引き出す部門があるとのこと。
捕虜に関する条約やらもあるがそれは表の話だけなので関係ないらしい。怖いことだ。
情報を入手して今後中華系と交渉するらしい。
こちらとしては特に欲しい情報もない。くわえて特に保障も欲しいわけではないので綾香に丸投げすることにした。
一応何をやってもいいが命だけは取るなと厳命した。
人殺しは後々面倒なので。
そういった戦後処理が暫くありようやく御話の場が設けられる。
オセアニアさんのコテージは事後処理で忙しいとのことで役場に戻る。
場所を借りるついでに桑原にごたごたが終わったことと何かしら不備があれば対応すると伝える。対応すると言っても全てオセアニアさんに任せるだけなのだが。
兎も角色々が片付きようやく御話である。
「さて、テイラー氏。さっきの続きですが」
「いい加減話せ! クソ野郎! お姉ちゃんは」
「はーい五月蠅いですよー。ザクザクいきましょう」
折角話を進めようというのに邪魔をする小僧。
騒がれると邪魔なので刀でさらに攻撃を加えておく。頭部をザクザクする絵は猟奇的だろうが血は出ていないので大丈夫だ。
何故主人公擬きくんが一緒なのかといえばよそでは抑えきれないから。
無駄に魔力量が多いので何かしようにもオセアニアさんでは手に余る。というよりは常に魔力が垂れ流れているので凡庸なみなさんではあてられてしまうらしい。
ビビりまくる恰幅のよい黒人たち。かなりホラーだ。
そんな訳でお荷物を抱えることになってしまったのだがどうしよう。
取りあえず口を塞いで、後は目も耳も塞ごうか。かなり猟奇的な絵になるだろうがまあ大丈夫だろう。
「斎藤、その辺にしておいてあげてください」
「大丈夫ですよ。傷はつかないですし時間が経てば回復しますから」
「そういう事では無くて」
取りあえずうるさいので黙らせているとテイラー氏に小言をもらう。
テイラー氏的には助けてもらったこともあり擬きくんには情があるらしい。
本来であればそんなものに気を遣ってやることは無いのだがどうしたものか。
ザクザクがだめならOHANASHIするくらいしかないのだが、取りあえず誤解を解くとしよう。
「少年。色々と勘違いしているようだから言うけれどテイラー氏はお姉ちゃんではない。お兄ちゃんだ」
「はぁ? 何言ってんだクソ野郎。こんな綺麗な人に向かって男とかマジふざけんなよ」
「顔がきれいだから女性だと? もしかして困っていたのが女の人だから助けたとか?」
「女の人が困っていたら助ける。それが男ってもんだろうが!」
うん、実に擬きくんだ。
おそらくうちのレオチャンならそうはいは無い。
あれの場合「女の人が困っていたら」なんて言わない。
「誰かが困っていたら」というだろう。
なんだかテイラー氏が可哀想になって来たがこれが現実なので続ける。
「では、仮定の話だ少年。テイラー氏の様な綺麗な顔をした男性がいたとしてどう思う?」
「はあ? 何の話だよ。いいから離せよ!」
「まあまあ仮定の話だよ。答えてくれたら解放してやるよ」
勿論嘘だがそう言わないと答えないだろうから仕方がない。
さんざん喚いた擬きくんだが観念したように少し考える。
テイラー氏の顔をじっと見つめて何かを考えて、その表情が崩れる。
「お姉さんみたいな顔の男? 何それチョー気持ち悪い。なんで男なのにそんななよなよしてんのって思う。あーもうこれでいいだろ、さっさと離せよ。答えたろうがよ!」
うん、流石擬きくんだ。主人公ではない。
こうなるとテイラー氏がかなり可哀想になってくるのだが、まあ俺の所為ではない。
未だ喚く擬きくんを無視してテイラー氏に問いかける。勿論、手には刀を持ってだ。
「さて、テイラー氏。この主人公擬きくんはどうしましょうか。これでもまだ何もするなといいますか?」
あれだけ情があったように見せたテイラー氏だが目線を逸らした。
当然といえば当然か。




