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友人Aの反逆日記  作者: みくじ


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65/123

9-10

 無双で溜まったお気楽な感情は脱ぎ捨てて真面目に状況を注視する。


 現在テイラー氏を追いかけているのは6人。

そこそこ連携を取っているようだが基本的に自分勝手。増員をかければもっと簡単に捕まえられるだろうにその様子はない。

 もしかしたら成功報酬があり、早い者勝ちなのかもしれない。

 もっとも呼んだところで誰も来ないのだが。


 一方テイラー氏と少年は追っ手が少ないこともあって上手く逃げている。

追っ手が囲い込もうとすればそれが分かっていたようにすり抜け、ことごとく裏をかいて逃げている。

その逃げっぷりは実に素晴らしいのだが、それだけでしかない。

地形を使い山林に入るなどして捕捉されないようにしているのだがどこに向かいたいのか分からない。


逃げるにしてもその後の展開も考えなければならない。

捕捉されない場所まで逃げるのか助けてくれそうな場所に逃げ込むのか。いずれにせよ何かをしなければならない。

援軍無き逃走など無意味。


テイラー氏を先導しているのが子供だから仕方がないのだが何とも稚拙だ。

このまま続けていれば所詮一般人なので少年も根を上げるだろう。


しかしそこまで待っていられないので追って側に協力する。

再度張った包囲網から上手く逃げ出したテイラー氏の前方に少し気配を出した状態で立ってみる。

テイラー氏を視認できない場所に降り立ったのだが案の定不自然に方向転換をした。

そしてその方向転換は急激で無理やりであったためあっさりと逃避行は終わりを迎えた。


ただ一手で終わる状況とはなんとも御都合的な状況だったのだろうか。

一先ず状況の不自然さは置いておくとして。



テイラー氏が捕まったのは役場からもそれ離れていない霊園。灯台下暗しなのかテイラー氏の移動距離はそれほど多くない。


捕縛された二人はそれぞれ手荒な歓迎を受けた。

やはり可愛がりは素手なのか能力によるものではなく普通の殴打を受けていた。

流石にテイラー氏の性別は知っているようでナニカをしようとした人物はいなかった。



状況が整ったようなので俺も行動を起こす。

追っ手たちは目的を捕まえて報酬がもらえることに思いを馳せていたのか警戒は緩んでいた。どこかに連絡しようとしていた1人はつながらないことに苛立っていた。

そんな彼らの都合を考えてやる必要もないのでさっさと処理する。

それぞれの背後をあっさりと取って呪術で行動不能にする。

音もたてずに数分で6人を処理する。



ひと仕事を終えるとようやくご対面である。

長い道のりだった。


薄暗い霊園に手荒に捨てられた男性。

顔にめだった傷があるもののその造りが良いのは嫌と言うほどわかる。

見ようによってはかっこいい系上司、あるいは男役の女優といった人物。ジーパンにレインコートということもあり見た目の性別はあやふやに見える。

そんな人物の元に歩み寄り縛っていた縄を解く。


当然、テイラー氏の顔は緊張と驚きが混ざったものになっているが一先ず無視する。小僧がなにか喚くが一先ず無視。

一応小僧も解放して場所を変えたところで口を開く。



「あなたがテイラー氏ですね。自分は」

「お姉ちゃん離れてっ!」



 どうにか説明しようとしていると小僧が出しゃばる。

ついでに助けられた分際で何故格好つける。


 小僧は俺とテイラー氏の間に入り随分な目で睨んでくる。



「ど、どうしたの」

「どうしたのじゃないよお姉ちゃん。こいつだよ。こいつがボクの邪魔をしたんだ。こいつさえいなければ捕まらなかった。こいつの所為なんだよ」



 喚く小僧をよそに、テイラー氏って声高いんだな。流石男の娘、などと思った。

 小僧のことなど無視してしまえばいいのでまともには受け取らない。



「あなた方の邪魔をしたかもしれませんが結果として自分はテイラー氏あなたを助けに来ました。あのまま逃げていても無意味でしたしあなたが望むなら逃げ出すことに手を貸しましょう。それにこれから何かをしろと頼むこともしない。勿論あなたの力を使えともいいません」

「それは、でも」

「ダメだよお姉ちゃん!」



 再度小僧が喚きだす。

というかさっきから気になっていたがお姉ちゃんとは何だ。

もしかしてこの小僧はテイラー氏が何かから追われているヒロインと勘違いしているのだろうか。

 まあ別に男の娘がヒロインの御話があってもいいけれど。


 兎も角、小僧が邪魔だ。テイラー氏との都合上助けたが失敗だったらしい。

 本格的に面倒になりそうなので切り捨てるとしよう。



「テイラー氏。自分と一緒に来てもらえませんか。あなたの安全だけではなくそこの子どもの安全も保障します。勿論自分が信じられないならこのまま逃げてもらっても構いませんが」



 なんだか主人公のヒロインを惑わす敵役のようなセリフになってしまったが仕方がない。

 現状力ずくでなく交渉となるとそれくらいしか使える札がない。


 俺が信用できればという条件があるがこの提案はテイラー氏にとってもいいもののはず。

多少考えてくれるならあのまま逃げているよりはましだと考えるだろう。


 テイラー氏は感情だけで動く人ではなかったようでこちらの提案を受け入れた。



「分かりました。私はあなたの言葉を信じる。信じてついて行く。だからあの子の身も保障して。もしあの子に何かしたら私は命を絶つ」



 しかしながらテイラー氏にヒロインの素質があるのだろうか。口調がそれっぽい。

 ただ男の娘であったり年齢が20を超えているであろうことから中々正統派ではないのだが。

 それは良いとして。


 少なくとも俺としてはテイラー氏の依頼を断る意味はないので受け入れる。



「ちょっとまってよ。おねえっ」



 納得できないように喚く小僧は面倒なので呪術で昏倒させる。

問答も面倒なのでさっくりと始末する。



「ちょっと君!」

「大丈夫ですちょっと動けなくしただけです。それとも信用できないならここで命を絶ちますか?」

「……分かった」



 優先はテイラー氏なのでテイラー氏のみをまず移送する。

小僧も一緒だと主張されたが面倒なので却下。綾香に追っ手たちと一緒に回収を依頼する。



 これにてようやく最終段階だと気を抜きかけたところで周囲の空気が変わる。



 何も感じなかった場所から急激な魔力の爆発が生まれる。

その爆心地は捨て置いた小僧。


 嫌な予感がしつつそちらに視線を向けると案の定小僧が立ち上がっていた。

 何も出来ない一般人であれば解けるはずのない呪術をかけたはずなのだが。



「待てクソ野郎! お姉ちゃんは渡さない!」



 弱った体からあふれ出す気配はかなりの量。そこらの人間ではどうにもできない程。

 嫌な予感がした時から薄々諦めていたが、やはり面倒になったか。



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