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友人Aの反逆日記  作者: みくじ


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8-5

 報告書の作成後にしたのは他愛のない会話。


 俺の評価に異論はないし器用貧乏というのは揶揄なのだとも理解できたので流した。

 何でも出来るけど何にも出来ない。

 主人公様に振り回される処理班系登場人物としては的確な言葉だと思う。



 伊勢谷はダメ生物さんと昔馴染みらしく意外にも近況を詳しく聞いてきた。

 もしかしたらその会話が目的だったのかもしれない。


 近況など本人に聞けばいいのにと思うのだがどうやら逃げられたらしい。

 何でも昔つけた渾名が原因だという。


 現在伊勢谷ランクと言われるものは悪ふざけが元らしい。

 勝手に格付けをして遊んでいたところそれが正確だったため広まったという。


 本格的に報告書として作成したのは最近になってからだと。



 その格付けの中で揶揄してつけていた渾名が現在の特記の原型らしい。


 やはり器用貧乏とは馬鹿にされているのだろう。

 あまつさえSSS+だ。これを褒め言葉と取る方が可笑しいか。

 それは良いとして。



 ダメ生物さんは今でこそ逃げ足などという可愛らしいものになっているが当初は形振り構わぬ逃げっぷりに相当詰っていたらしい。



「そのこともあってね。チヤ君は私に会いたがらないんだよ。昔馴染みなのにね。薄情だよね」



 などと伊勢谷は悪びれた様子はない。

 ダメ生物さん然り、この手の人間は面倒な奴ばかりらしい。


 どんな渾名だったのか少し、いやかなり興味があったが面倒な臭いがするので流した。



 ダメ生物さんの近況についてだが、表すなら堕落の一言である。

 おそらく今もどこかで本を読んでいるだろう。あるいはアニメを観ているだろう。


 そんな日常を伝えたところ伊勢谷は悶え苦しむように笑い続けた。



 なんでも昔のダメ生物さんはダメ生物ではなくストイックな方だったらしい。

 ダメ生物さんと関わっていたころは今のような娯楽はなかったというが伊勢谷曰くそう言うのと無縁に見えたらしい。

 寧ろそういったものを毛嫌いしていたようにも思えると。


 私欲や私情などとは無縁。

 言葉数も少なく唯々生き延びるための機械のようだったという。



 だらけた生き物としてしか認識していない俺としてはダメ生物さんがストイックだった方が驚きだ。



 それにしてもダメ生物さんと昔馴染みという事で伊勢谷も伊勢谷で見た目通りの年齢ではないらしい。

 見た目年齢は精々30過ぎだが数世紀は生きているのだろう。あるいはもっとか。



 もっとも最近の俺の周りでは見た目通りの人物の方が少ない気がする。

 ロリババアにギャルババアにミイラババア。

 見た目と年齢が同じでも人妻だったりロリコンだったりとまともな奴いないよな。


 ナマズさんもナマズさんで土地神クラスになっているのだからそれなりの年なのだろう。

 というかナマズさんに年齢やら性別やらはあるのだろうか。

 ヒト化したらもっさいオッサンだったとかはやめて欲しい。

 美人とか美女とかまでは希望しないから普通の女の子であってほしい。


 友人Aたる俺の知り合いだ。どうせゲテモノだろうけど。

 それは良いとして。



 伊勢谷の知るダメ生物さんは時代も違うためか容姿や印象も俺のものとはかけ離れていたので同じ人物について話しているのか怪しくなるほどだった。


 ただ、他人を馬鹿にして盛り上がるのは何処の世代でも同じで大いに盛り上がった。

 競馬体験時などネタ話を面白がっていただけたようで何よりだ。



 知人ネタで盛り上がったあとはネタの提供のお礼にと情報をいくつかもらった。

 とはいえ俺の状況にまつわるものや打破するための方策などではない。

 一般的に流通しているという報告書を数枚分けてもらっただけ。


 そこに優しさや希望は抱いていない。


 結局のところ伊勢谷に目的は取り立てて無かったと思う。

 ダメ生物さんに然りその後の情報提供に然り意味のあるものとは思えない。


 御話としては大物の登場によって良くも悪くも状況が変化するところだが、残念ながら所詮友人Aなので物語は加速しない。


 勿論、俺の知らないところで何かをしていた可能性もある。

 しかしそれが俺の為になることであると考えるのは頭が弱すぎるだろう。



 何かに巻き込まれても平生でいられるのは主人公くらい。

 世界は誰にでも優しくはない。



 仮に何かを仕込まれたとしても寧ろ面倒になりそうな何かを仕込まれたと考える方が自然だ。

 あるいは本当に何もなかったか。

 とは言え何をしたか分からない、そもそも何かをしていたかも分からないので気にしないが。



 のんびりとした時間が流れ、いよいよ年越しの定番番組が始まるころ伊勢谷が提案した。



「さて。暇だからDVDでも見よう。私の傑作だよ。絶対に笑ってはいけない主人公ヒーロー24時。4月編。6月編。7月編。11月編。全4部。続編も制作決定。おすすめは4月編だね。折角だから土地神も一緒にさ。どう」



 伊勢谷の手には完全に悪ふざけと思われるDVD。


 手の込んだパッケージには必死の形相の主人公と雌の顔のヒロイン。

 そこに映る場違いなバットを持った黒子。


 どこか必死に誘う伊勢谷にこれが見せたいがために来たんじゃないかと思う今日この頃。

 やはり所詮は類友か。




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