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友人Aの反逆日記  作者: みくじ


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35/123

5-18

 立ちふさがったのは大小2つ。

 大の方は眼鏡をかけたきつい系の秘書風。小の方は白衣を着たショタ。

 まさかのオネショタ登場である。


 正直なところちょっと無理して少し本気を出せば振り切れそうだが。

 それもそれで面倒なのでオネショタが待ち構えていた公園に律儀に止まる。


 邪魔者登場とは言え相手は主人公やヒロインよりは随分面倒な気配が薄い。

どうせ脇役にあてがわれる人材はそれなりのモノになるだろうという推測もあるのですんなり相対する。


 それでもお荷物を抱えたままで戦闘とはいかないので取りあえず下ろす。

 何の気なしに視界に入ったロリっ子の表情は深刻なものに変化していた。



「少年、少し気張った方が良いぞ。あやつらは少し厄介だ」



 ロリっ子がこっそりと警戒を促す。

 その声色は実に真面目でシリアス感を醸し出しているのだが俺の感覚とは少しばかりずれている。


 普通ではないだろうことは容易に想像できるけど気張るほどの事でもない。竜泉寺や早乙女、チヤなんかにはまるで及ばない。というか比較も出来ない程の差がある。

 というのが俺の感想だ。


 だが俺の知らない何かがあるのかもしれないので大人しく話を聞くことにする。



「彼方さんの事は知っているんですか」

「ああ、男の方は私の昔なじみ、研究所の先輩というやつじゃ。それも面倒な事に良くも悪くも頭のいかれた男でな。知識だけでも阿呆なのだが身体の方も阿呆じゃ。研究者の殆どは実験し知識を得ることを至上とするのじゃがあやつの場合研究成果を自分の体で試す癖があってな。確か戦闘ランクはAA(ダブルエー)クラス」



 研究を生業とするような知識欲の塊の人種はだいたいその知識を伝えることも好きだったりするのでロリっ子はその口なのだろう。

 知識を人に伝えたいというのは分からないでもないが。


 取りあえずロリっ子の話で気になることとすれば何そのどこぞのヒーローマンガみたいなランク、ということくらいだ。

 展開的には英数字のレベル表記でもありなのだが。

 それは良いとして。


 やはりというべきか異能者たちには階級制度があるらしい。


 そういう階級制度は理解できるのだが如何せん何が上で何が下か分からない。

 某パワフルな野球ゲームではAの方が評価が高いが新体操の難易度なんかはEやFの方が高い。


 詳しく知らないが女性のあれこれではAAとかの人は劣等感でしかないのだろうけど。

 個人的にはそう言う劣等感を抱えている人はグッとくるけど


 そんなことを考えているとお荷物が呆れた様子でこちらをみる。



「まさかお主ランクを知らないわけでは無かろう?」

「そのまさかですよ。生憎非日常には疎いんですよ。凡人なんでね」



 知らないことは知らないとあっさり認めるのが簡単だ。

 下手なプライドは持ち合わせていないので煽り耐性もそれなりにある。別に煽っているわけでもないだろうけど。


 もっともそういう設定的なモノには興味がないのでどうでもいいということもある。


 だってそれを知らなくてもどうにでもなる。

 設定、世間的には常識や理論は時代や人によって変化するわけだし他人から聞いたそれが事実とも限らない。

 それ故に結果や事実だけわかっていれば問題ない。



「ランクとは伊勢谷と名乗る人物、あるいは集団が発行する手配書に記載されている強さを示す指標の事だ。手配書には戦闘力や魔力量、最大火力やその人物の特徴が評価されている。伊勢谷はどこの国にも組織にも所属していないため客観的な指標として扱われているんだよ」



 流そうとしているとショタ白衣が偉そうに語りだす。

 研究所の先輩という事なのでこいつも知識のひけらかしが好きなのだろう。


 正直どうでもいい事なので話を聞いてやる義理もないのだが、勝手にしゃべってくれるのは都合がいいので邪魔はしない。



「ランクはGから始まり人が到達できるのはAが限度だとされている。そのAに到達できるのも異能者の中で数千人に一人の割合。異能者の一般的な活動ではC評価を受ければ一人前だと言われている。そしてAAはその人類最高の中でもひとつ飛び抜けた存在。これで分かるかなボクがどの状態にあるのか。それにそのババアの情報は古いよ。今月の報告ではAAA(トリプルエー)をもらっているよ」

「なんじゃと!?」



 実に自慢げなショタと吃驚仰天といった状態のロリ。


 ロリっ子の本体年齢は80を超えるというしその先輩のショタともなれば3桁に到達しているかもしれない。

 パッと見、子どもの御遊戯あるいは中二病でしかないのだがその実後期高齢者どものたわごとだと思うとなんだか日本の未来を考えてしまう。


 どうして科学者は若い肉体が好きなのだろうか。いや、熟女好きというわけではないのだけれど。

 それは良いとして。

 

 後期高齢者の戯言のおかげで状況の把握は終わった。

 

 当たり前だが第一級戦闘配備中に御喋りで隙を作るなんて愚行をするのは御話くらいだ。


 おじいちゃんが高説を垂れるうちに綾香たちとの合流点までの道筋はたてられた。そこに至るまでの邪魔者の把握も出来た。

 どうやら他の邪魔者もそうたいした奴はいないらしい。

 隠れているのはどれも目の前のオネショタより気配が薄い。


 邪魔者が使えないとみなされて上層部が出てこられても困るのでさっさと終わらせる気でいるのだが。



 それにしても人外、あるいは外道の力とは何とも便利なものだな。

 ロリっ子の話だと俺の力はチヤの影響を受けているようなので人外の力というよりはダメ生物様様といった方が良いかもしれないが。



 さて、ロリババアとショタジジイの喧嘩もくだらないのでさっさと突破にかかる。

 この状況下で研究所時代のあれこれを話し出すとか阿呆すぎる。


 演説中や変身中の奇襲はマナー違反だが状況とか展開など俺には関係ない。

 そんなものでは生きていけない。



 傲慢に不遜な態度でロリババアと会話するショタジジイに気配を限りなく消し背後を取り長刀を一振り。


 刃先がショタジジイの首を捉える寸前、間に何かが飛び込んでくる。


 極々短い瞬間の中で邪魔者を観察するとジジイに控えるようにしていたきつい系秘書だ。

 こちらの動きがしっかりと見えているのかあるいは予測していたのか完全に防げるタイミングで入ってこられた。



 そこそこ本気で気配を消したつもりで反応もされずに終わるつもりでいたのだが。

 なんだかんだで俺も気を抜いていたらしい。あるいは相手が主役ではないからと言って驕っていたのかもしれない。

 もう一度気を引き締めよう。

 秘書様には感謝だな。


 そう刹那のうちに気持ちを新たに現実に戻る。


 間に入った秘書は籠手らしきものを巻いた右腕で防ごうとする。


 だが残念。長刀は物体を斬るつもりで振り抜いていないので長刀は籠手で止められることは無く秘書の右腕、頭部、ジジイの首を通り抜ける。


 刀の通った感覚では発揮できた威力は精々6割程度。

 キャロルに与えたものとは程遠いが追撃は諦めて退く。



「流石はババアの駒と言ったところかな。躾がなっていない。人が話している時はしっかり聞く、邪魔をしないと教わらなかったのかい?」



 秘書がしっかりと防御に回ったため無傷だと思っているショタジジイは相変わらず偉そうである。

 その自分が優位であると思っている態度もそこそこ気になるのだが意外と攻撃を塞がれたことに驚いているロリババアの方が気になる。


 ロリババアの時は完全な奇襲が成功したしそれを考えれば少しは危機感を覚えるかもしれない。



 だがあれは存在を知られていない状態からの奇襲だったし力があり余った状態での奇襲。今回は正面から向かい合った状況且つヒロインの御遊びに付き合った後なのでそこそこ精根尽きている。

 だから単純比較はできない。

 まあそんな言い訳もどうでもいいとして。



 オネショタは俺が思っているよりも厄介だったらしい。

 俺以上に知識もあり経験もある。多少の戦力差も何とか出来るのだろう。


 やはり俺は慢心していたのだろう。気を引き締めなければ。



「躾のなっていないモルモットには罰が必要ですね。そもそもイレギュラーの対応なんてボクの領分ではないんだけど、外道の劣化品がもらえるなら少しは働くとしようかな。89番やってしまいなさい」

Ja Wohl(ヤヴォール)



 ショタジジイの合図を受けて秘書が掛けて来る。


 やれやれ面倒だな、なんて主人公っぽくあるいは悪役っぽく気楽に考えると秘書が盛大にこけた。

 それも見事に。

 あまり運動して無かった父親が運動会のリレーで無理してこけたバリのこけ方だ。



「な、にっ、バカナッ」



 ドジっ子秘書に吃驚していると次はショタジジイが見事に雑魚っぽく倒れる。


 突然の奇襲か、と一瞬身構えたが追撃は無く倒れた2人を観察すると原因は直ぐに分かった。



 俺である。



 6割程度の力がかすったかに見えた刀がオネショタの耐久値を削り切ったらしい。


 この急激な展開にロリっ子が驚きを通り抜けて顔面蒼白になっている。

 その気持ちは分からないでもない。

 攻撃した俺だってびっくりなのだ。



 俺ってこんなに強いのかな、などと思いそうだがそんなはずはない。

 勘違いなどする前に事実確認をしっかりとする。



「このショタっ子、自分がAAAとか言っていたがそれってどの程度のモノなんです?」

「……こやつが言った通り常人からすれば英雄に思える程の力のはずじゃが」

「英雄ねぇ。じゃあ竜泉寺やその周りの女の子たちも同じなんですか?」

「あれは……、例外、イレギュラーじゃ。ランクで言えば早乙女がSS(ダブルエス)で竜泉寺がS-(エスマイナス)。世界最高ランクは今のところSSS。逃げ足だけならSSSに勝てるというやつもおるのじゃが最高ランクは3人しかおらん。Sランク以上であっても世界で数十人しかおらん。故にSランク以上はは一般流通では使われない階級じゃからな。分類ではAAAと同じくくりのはずじゃ」

「つまりこのショタジジイは一般からすれば十分に異常なのだが竜泉寺やその周りは世界的にも突出した力の持ち主でそこと比べてしまえば雑魚というわけですか」

「雑魚という事は決してないのじゃが……。まあ、竜泉寺や早乙女などと比較するとそうなってしまうかの」



 戦闘に勝ち多少喜べるところのはずなのだが、何というか何というかだ。

 素直に言ってしまおう。哀れだ。


 本来ならばもう少し格好がつくところなのだろうが異常者どもと比較されてしまったのでネタキャラ扱いで終わってしまった。彼らも彼らで自分のフィールドでは無双していただろうに。


 あるいはここに主人公がいたのならばジジイの話を聞くだろうから話に厚みが出来ただろうし優位に戦いを進められたかもしれない。

 それが力を持ってどれだけの力があるかもわからずに終わったのだから哀れでしかない。

 淡々と物語を勧めた俺が言うのもなんだけれど。

 ま、どうでもいいけれど。



 さっさと切り替えて未だ現状を飲み込めていないお荷物を担ぎ上げて再度走りだす。


 勿論オネショタは放置である。追撃を受けても面倒なので2振り程加えて放置する。

 キャロルは数分で復活したがこの感じなら数日程動けないだろう。



 その後は特に立ちふさがるものも襲い掛かってくるものもいなかった。

 ここら一帯で最大火力があっさり処理されたので当然の判断だろう。


 やはり問題は上層部が出てこないかだがそこは考えても仕方がないので他にリソースを割く。

 

 予定通りのルートを予定以上の速度で走り切る。



 あっという間に目的地の文殊高校へたどり着き綾香と三姉妹と合流する。

 4人ともそれなりの負傷はあるが生きるのには問題のない様子。


 本来であればそれなりに頑張るはずの場面なのだが特に何事もなく終わる。


 本日一番大変だったのがヒロイン様との御遊びだというのだから色々とあれだ。



 だが、まあ、脇役だけの物語なんてこんなものだ。

 奇跡も魔法も、展開も御約束もない。


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