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友人Aの反逆日記  作者: みくじ


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25/123

5-8

 日が過ぎ日曜日。

 我が家にやって来た使用人について説明をするため神崎を呼び出すことにした。


 折角の冬休みに連絡を取るのは正直面倒この上ないのだが綾香を放置するのも後々に面倒になりそうなので悩んだ末行動することにした。一応神崎も把握しているだろうが処理班系登場人物の性としてだろう運転では落ち着かないのだ。


 休日の呼び出しに対して意外にも神崎は素直に応じた。

 昼過ぎにいきなり電話を掛けたのだが特に困った様子もなくさっさと予定を決めて準備を整えられた。電話だけでもいいんじゃないかとも思ったがすることがあるそうだ。

 普通に拒否したかったのだが綾香の事を盾にとられたので渋々了承した。



 2時間ほど過ぎ夕方。指定されたファミレスに着くと神崎が既にいた。


 黒髪ストレート。白のシャツにレギンスとスカート。脇にはダッフルコートという実に普通の装いでいた。

 どうやら今日は委員長の日らしい。


 別にパンキーなねーちゃんでもいいのに、などとどうでもいい事を思う今日この頃である。



「何か言いたいことがあるのかしら」

「そりゃ言いたいことはあるけど不毛なので言わないよ。何でも言ってたらきりがないからな」

「あっそう」



 何故わかる。といいたいような絶妙な間だが生憎動揺などしない。

 こういうのが当たっていると思うのは偶然の産物だ。外していることだってある。所謂確証バイアスというやつだ。それは良いとして。


 神崎の前に座りドリンクバーだけ注文するとさっさと切り出す。


「取りあえずあれは家で飼育することにした。名前は電話でも言ったが今宮綾香。関係性は従姉弟か再従姉弟くらいで。年齢は20歳でいいと思う。就職にあたってこちらへ来たとかそんな感じで頼む」

「あーはいはい、その辺は大丈夫。あんたの契約者からも連絡を受けているからこちらで色々と処理しておくから」

「は?」


 なんだこいつ。人が説明しているというのに軽くあしらうとは。

 委員長ルックの癖にがさつな感じを隠していない。服装やらはパンキー時とは違い可愛らしいのだが色々と残念だ。


 いや、それは良い。どうでもいい。

 別に話を聞いてもらわないと苛立つとか自尊心が傷つくとかそう言うのは持ち合わせていない。

 別に委員長が普通にしていれば可愛いのにとか思わない。


 今俺が感じているのは違和。


 真面目な話のはずが神崎は適当。

 それも態々外に呼び出して来たくせに、である。そんなに適当なら電話だけでもよかったはずだ。というよりもチヤから連絡がいっているなら俺が何か話す必要もない。

 加えて以前は普通にパンキーな服装で来たのに今日は清楚な装いを被っている。


 若干嬉しそうで何処か嫌らしい表情の神崎。


 その色々が俺の、処理班系登場人物の危機管理機関が警告を鳴らしている。

 しかし、どうにかしなければと考えるより前に答えが出る。


 人の気配を感じて背後へ振り向くとそこには5人のきらびやかな人と冴えない男子が1人いたたちが立っていた。



「お、潤。来てくれたんだな。流石は友よ」



 主人公様とヒロインたちの登場である。

 本格的に面倒な気配を感じるが事件の真相が読めない。

 

 要領を得ない俺を察した主人公様は助け船を出してくれる。

 が、それは助け船ではなく死刑宣告であった。


「えっと、潤も俺たちのパーティーに参加するって聞いたんだけど。違ったのか?」

「パーティーって? 」

「ああ恥ずかしながら俺は補習でクリスマス会に殆ど参加できなかっただろ。それじゃあ可哀想だからってマリーたちが用意してくれたんだよ」


 そう言えばそんなことを言っていたな。個人的に関係のないことだからさっぱり忘れていた。

 だが事情は分かった。要するに誤解だ。そう誤解。

 俺にはそんなリア充的な会に参加するつもりはなければ乙女たちの戦場をかけるつもりもない。

 ヒロインたちも折角主人公との好機なのにと臨戦態勢なのだ。誰が邪魔などするものか。


「いや、俺は…」


 そう事実を告げようとしたところに邪魔が入る。

 さっきまでがさつ系女子だったパンキーが猫を被り清楚な笑顔で割って入る。



「ええ、昼過ぎに斎藤君から電話があってね。クリスマス会は体調不良で休んだから参加したいってね。だからこうして連れてきたの。斎藤君も寂しかったんじゃないかしら」



 おいこら、このアマなんてことを言いやがる。

 そんなことを言ってしまえば主人公様が鵜呑みにして暴走してしまうじゃないか。


「なんだ潤寂しかったのか」

「いや、別に俺は参加するつもりじゃ」

「はいはいわかったわかった。潤は無理やり参加させられた。それでいいだろ」

「そうじゃなくってだな。話を」



 何とか離脱しようと画策するも主人公様が脇役の言葉なんかで止まるはずもない。

 そうこうしているうちに主人公はヒロインを説得して参加を既成事実と化する。ヒロインも主人公の手前拒否するわけにもいかず了承する。

 そして逞しい女子たちはこの状況変化さえも好機に変えようとぶつぶつと作戦を練り始める。


 ダメだ。こうなってしまえばダメだ。もう何も出来ない。

 主役様たちの行動に振り回されるしかない。振り回されていい人を演じるしかない。

 そしてこの状況の性質が悪いところは振り回されていい人を演じるのが得策という事だ。下手に抗ったりしても事は好転しない。寧ろ刻一刻と悪化していく。



 そんないつもの位置に突き落とされ絶望していると悪魔のささやきが聞こえる。



「これはクリスマス会をサボったバツよ。あなたがいないせいでどれだけ私が大変な思いをしたか。あなただけ楽になるなんてさせないから」


 

 神崎、貴様俺を裏切ったな。俺を裏切ったな!


 桃色の主役たちをよそに俺の口の中は土の味がしていた。



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