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早乙女討伐の初手は火炎による包囲。
短期決戦と行きたいところではあるのだが急ぐ必要はないので無理はしない。被害に対する責任は俺に無いのだから遠慮もない。
燃えやすいところを狙って燃やし尽くす。周囲から埋めていき少女の柔肌を焦がしていく。
「本当に被害を考慮しないのですね」
「まあ、そこを気にしては自分の命が危ういですから」
早乙女が逃げ込んだこの場所は非日常組織の潜伏先だが誰もいないわけではない。住宅街というわけではないが周囲には無関係の人々も住んでいる。敷地内には何も知らない一般人や善意の非日常構成員もいるのだろう。
そんな中で大々的に行動すれば被害は出る。ご都合主義よろしく、被害は出来たが奇跡的に死傷者は出なかった、なんてことはない。少なくとも俺が感知できる範囲の中で誰かが傷つき誰かの命が消えて行く。
それを仕方がないと勝手に切り捨てるつもりはないけれど懺悔も後悔もない。あるのは行動の結果だけ。残念ながら俺は主人公様ほど身勝手にはなれない。
さて、そんな俺の行動の結果だがあまり芳しくないようだ。
被害は絶賛拡大中だが肝心の早乙女にはあまりダメージを与えられていない。早乙女のいる地点はそれなりの温度になっているはずなのだが。どうにも念動力で気流を操作して身を守っているようだ。
となるとやはり肉弾戦を仕掛けないといけないらしい。まあ、炎程度でなんとかできるとは思っていなかったが。
「なんだか私が馬鹿にされた気がするのですが」
「気のせいでしょう。後はこちらで処理するので周辺の警戒だけお願いします」
「……本当によろしいのですか」
「ええ。戦闘での不利よりは状況の不利の方が面倒なので」
ロジィの戯言は気にしないことにして。ロジィは本当の意味での右腕なので参加しないと不便なのだが仕方がない。状況は俺に有利だが、有利なのと都合よく動くかは別物。面倒な神崎やらが動かないはずがない。
早乙女の弱体化。それによる主人公様の能力の行使と成長。というのが彼方さんの目的。対して俺は自己の強化が目的。その手段が彼方さんの目的と一致するから御膳立てされているだけに過ぎない。その利害関係が終了した数瞬後はどうなるかはわからない。
そんな未来が確定しているのに目先だけの戦闘に集中など出来ない。本音を言えば一対一での早乙女戦など本当に嫌なのだ。出来ればロジィに押し付けてしまいたい。けれどそうもいかないのでやるしかないのだ。
「現状、俺には共犯者はロジィしかいない。どんな些細なことでも、多少遅れをとっても構わないので報告をお願いします」
「共犯者ですのね。まあ、協力者よりはしっくりきますわ。それにしても、どんな些細なことでも見逃すな、ではないのですね」
「そんな阿呆で楽観的にはなれないんですよ。俺はいつでも後手に回る処理班系登場人物なのでね」
面倒事のフラグのようで嫌なのだけれど何もなければいいのだが。
まあ、どうせ面倒は起きるのだろうけれど。




