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友人Aの反逆日記  作者: みくじ


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15-13

 さて、主人公様の登場だ。

 といっても主人公様が演じている舞台はアクションコメディ。洗脳から救い出したはずの組織を悪者にして自分に酔っているのだからコメディしかない。更にはその気になればあっという間にヒロインの元へ辿り着けるのに遠回りしているのだから喜劇でしかない。

 もっとも、現在の主人公様ではヒロインの元へと辿り着いても何も出来ないので仕方がない。暴走した早乙女を封じ込めることも正気に戻すことも会話をすることさえも出来ない。そしてそれらの役割を求められていない。

 まあ、諸々を終えれば主人公様の都合の良い物語になるのだから情けも哀れみもないけれど。


 主人公様に登場頂いたのでそろそろ猶予はない。

 一応現在において主導権は俺が握っている。

 あちらさんは主人公様との関係性上早乙女に直接手を出したくないはず。最終的な目的は知らないが力を付けた主人公様と仲違してしまえば意味がない。その為面倒になることは自らの手は汚さない。

 それはつまり後々俺が使い捨てにされるという事なのだけれど仕方がない。何もしなければしないで使い捨てにされるだけなので行動するしかないのだ。


 さて、問題だが。

 早乙女をどのように処すかという事だ。

 早乙女をどのように仕留めて力を奪うかだ。



「取りあえず、ロジィにここら一帯を焼き尽くしてもらうか。念動力の使い手といってもただの人間。周囲を火炎で包めば弱るでしょう。火炎での直接的な影響はなくとも最悪酸素不足で動きが鈍るだろう。そこを突けば何とかなるか」



 圧倒的な個人に対抗する手っ取り早いのは物量で押し切ること。どれだけ強くとも1人であれば対処できる数に限りがある。それを超えた量での攻勢であれば弱者でも太刀打ちできる。

 現在の持ち駒で物量戦が出来るのは火炎くらい。火炎であれば多方面から押し込んで後手に回らせられる。問題は包囲から逃げ出されてしまえば意味がないというところ。念動力による高速移動が出来るのだから飛行くらいはできるだろう。となれば2次元的な包囲に意味はない。

 となるとある程度直接的な封じ込めが必要。ということはつまりそれは俺自身がやらないといけないというわけで。結局のところは早乙女との泥仕合の肉弾戦か。

 まあ、何とかなるだろう。ロジィが生み出した火炎であれば俺自身には効果がないだろうし、仮にあったところで肉体の損傷など大して意味はないし。対して彼方さんは一応まだ人間の肉体をお持ちのようだし。

 気を付けるべきは能力の奪取。

 神崎のちょっかいによって早乙女は狂喜乱舞中。まともに会話が出来ないので交渉や揺さぶりは不可能。純粋に心臓を抉り取って奪うしかない。であれば面倒な念動力の使い手に接近しないといけないわけで面倒この上ない。

 いや、接近する必要はないのか。多少弱らせて意識を取り戻したところで交渉というのもあるのか。ローズマリー・キャロルを引き合いに出して書き換えられるよりは俺に協力する方がマシだと思わせる言葉を出せば何とかなるのか。それは流石に都合がよすぎるか。


 これからの算段を立てているとロジィが不服そうに口をはさんでくる。



「本気で言っていますの? 私にこの一帯を焼き払えとおっしゃいますの? そんなことをすれば多くの人が巻き添えになりますわよ」

「それがどうかしましたか。正直そんなモノ今更でしょうに。慰めで言うのであればロジィが何もしなくても被害は拡大して死ぬ奴は死んでいくので問題ない。現状、被害を最小限にするにも早乙女を何とかしなければならない。時間をかければ被害は増えるのだから手っ取り早く行きましょう」

「……慰めになりませんわよ、そんなもの」

「さいで」



 主人公様の呪縛から解き放たれたロジィは意外に全うな価値観を持っているらしい。人命大事。そんなことを気にかけられるらしい。

 だが、残念なことにこの時この場ではそんな驕りは出来ない。他人の命など余裕があり自惚れているものでなければ配慮など出来ない。そして俺は目下自分の生存をかけて行動している。そんな中で見知らぬ誰かまで気など回せない。

 そんなことはローズマリー・キャロルも知っているはずなのだが。それともロジィには俺の願望でも埋め込まれたのだろうか。

 ま、それはさておき。


 では早乙女を仕留めにかかりましょうか。

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