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友人Aの反逆日記  作者: みくじ


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15-4

 結局のところ大荷物は持っていかないことにした。普段着である長袖のシャツに厚手のコート1枚というラフなものにした。防寒対策は妖気やらで出来るし何なら服だって造れる。一応ロジィは爆炎の異能者なので暖を取るにも問題がない。


 ロジィの方はというとそもそも存在が霊体というか妖気というか実体を持たない存在なので何とでもなる。寒さ、というか感覚器官もあってないようなモノなので周囲の気温には左右されない。

 それでも本来の性質の為か色々と勝手に衣服を作り替えている。本来の彼女の力では出来ないのだが妖気を勝手に使用している。


 金銭やパスポートとかも面倒なので持っていかない。貴重品は戦闘時の邪魔になるので。

 それに密入国で勝手気ままに暴れるつもりでいるのでそういう真っ当なものはいらない。どうせ主人公様もそういう事になるから百合師匠が何とかしてくれるだろう。

 そのあたりは世界的組織様様だ。



 コンビニでもいく感覚で準備を終えた俺は学校に来ていた。

 学校に来た理由は最後に日常を焼き付けようとかそういう子どもじみたものではない。単純に主人公様たちがここで集まってあれこれおしゃべりしているからだ。学校を選んだのは主人公様の好みだろう。


 主人公様の呼びかけに集まったのは神崎楓恋と九重悠希とローズマリー・キャロル。そしてそれらの配下の面々。

 つまりはいつもの面子だ。いつもの様に御幸美咲はハブられている。


 そしてそれらは行方不明という事になっている早乙女乙女の行方を捜している。各陣営が情報を持ち寄りそれを主人公様に報告しているらしい。

 が、手掛かりはつかめていない。


 何故ならそれは彼らを操り転がしている百合師匠が情報を隠匿しているから。

 必死に探している配下は洗脳か催眠を掛けられて情報を正確に伝えることが出来ていない。あるいは情報を探りに行った連中は自組織のトップに排除されているのだろう。

 だから彼らが必死な振りをして善人ぶっている行動は陳腐な劇でしかない。

 見ていて反吐がでる。


 とはいえ俺もその反吐が出る劇団員の1人。

 友人Aの仮面をかぶり主人公様たちの輪の中に乱入するしかない。


 便利で都合の良い妖気という非科学的な力で上空から彼ら彼女らが行う喜劇の中に飛び込む。

 高速移動とか飛行とかではなく、純粋に空間移動。空間跳躍、ワープとかそんな感じのモノ。何かを壊すでもなく、無音のまま、何もないところからの登場。

 主人公様の目の前に登場したので挨拶をする。



「やあやあレオチャンお困りのようだね」



 そう友人Aの仮面をかぶり登場するのだけれど九重や神崎たちが主人公様の間に割って入ってくる。

 彼女たちの顔には強い警戒が浮かんでいるので俺は敵扱いらしい。あるいは彼女たちは主人公様に主人公を守ろうとする健気な女性という役割を強制されているのかもしれない。


 配下の皆様も一応警戒していたようで突然の乱入として驚き警戒している。彼ら彼女らは警戒網を簡単に突破されたことが気に食わないのか驚きの後は明確な敵意をむき出しにしている。


 警戒網といっても今の俺からすれば有ってないようなモノでしかない。所詮組織の木っ端たちが集まってのなんちゃって会議。日本の風潮として優れ恵まれた状況よりは不遇で貧しいモノたちが頑張る方が好きなのだろう。だから主人公様の周りは本当に優れたという人たちは少ない。

 その中でも最大戦力であった早乙女がいないのであれば本当にゴミも良いところ。

 九重悠希も所詮日本では最も優れているというだけの事。ローズマリー・キャロルも今となっては主人公様の愛玩人形。神崎楓恋は論外。そんな連中がどうして障害になるだろうか。


 こう考えると自分が大層なモノになったような勘違いが生まれてくる。現在世界の中心とも言える主人公様でさえ簡単に殺せてしまえそうだ。

 ま、そんな思い上がりの勘違いで冒険をするつもりはないけれど。


 それに今は主人公様に百合師匠、世界的組織の加護が無いというところもある。

 茶番で喜劇なのでそこで優位になれたところで自惚れてはいけない。



 というか、俺も一応主人公様に協力を依頼された立場であるのだが、そのあたりは考慮してくれないのだろうか。所詮は男でおっさん。物語上待遇は悪いのだろう。あるいは単純に主人公様が伝えていないかだが。

 後者の可能性が普通に高いが。


 取りあえず警戒をしている雑兵は無視して本丸を落とすとしよう。

 どうせ主人公様は考え無しの主人公なのだから主人公様を攻略した方が早い。何事も斬首作戦が手っ取り早いのです。



「早乙女乙女の居場所。それを探して血眼になっているんだろう?」

「何かわかったのか! 純!」

「それを話すためにも恐ろしい顔の皆さんを説得してくれないか? 一応俺はレオチャンに呼ばれてここに来たわけなんだが。どうにも俺は歓迎されていないようだから」

「みんな、潤を信じてやってくれ」



 流石の主人公様である。簡単だ。

 そしてその主人公様が言うのならという事で警戒を解く雑兵たち。何という安展開。

 こんなのが世界の中心で大丈夫なのかと少し考え込みたくなるのだけれど、俺が考えることでもないので気にしない。こういうことを考えてしまうのは流石主人公様のテリトリーといったところか。

 別に主人公様が馬鹿で単純であっても俺には関係ないので問題ない。


 取りあえず警戒を解いてくれた雑兵たちと俺は現状の認識を共有することから始めた。


 メインヒロインの逃走劇。

 そのハイライトである。

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