――⑦――
翌日、染谷は学校に着くなり、里田さんに頭を下げて謝った。昨日との違いに驚き、戸惑っていた里田さんだったが、どうやら許してくれたらしい。それからは、好きなアニメや漫画の話題で盛り上がっていたりして、僕が仲を取り持つ必要は無さそうだった。
青山さんも、謝られてすぐは嫌な顔を隠そうともしなかったが、里田さんとそれなりに仲良くしている所を見てからは、何も言わなくなった。
「まぁあたしも、ちょっと過保護すぎたかもね」
と言っていたのは本人の弁だ。どうやらこれで、丸く収まったらしい。
昼休み。僕と染谷は二人で昼食を取った。
もぐもぐと、購買で買ったパンを、二人で頬張る。ラインナップは普通な内容で、あんぱん、カレーパン、メロンパン等、前回と違って食べ易い物しかない。
何故か僕には、それが少し物足りない。
「なんか不満げだな、並木」
正面に座る染谷が、怪訝そうに眉を潜めて言う。
「並木は文句ばっかりだ。本当は俺のことがあまり好きじゃないんだろ」
「そんなこと言ってない」
「じゃあなんで喜ばないんだよ。お前の言う通り、普通に美味いパンを買ってきたじゃねーか」
「……面倒臭いなぁ、もう」
「なんだよそれ、俺はお前の為に買ってやったのに……やっぱり、俺のこと好きじゃないんだろ」
「なぁ染谷。ほんっっとうに面倒臭いぞ、おい」
取り付くうことを忘れた染谷は、本当に女々しい。僕が一言文句を言ったり、かったるそうな表情をする度に、ぐずぐずとした態度を取る。まだこれじゃあ女子の青山さんの方が男らしいと思えるくらいだ。
僕はぶっきらぼうな手つきでパンを掴み、封を開けてかぶりつく。
――ん!?
「あ、並木、それ!」
パンを噛み切り、手に持ったパンを見る。そこにはワニ肉パンと書かれていた。
始めて食べる肉の食感に、美味いのかも不味いのかも分からない。僕の口の中がパニック状態になる。
「野菜の次は肉かぁ、購買も頑張ってるなぁ」
「頑張ってるなぁ、じゃないって……なんだこれ珍味すぎる」
「良かったな、並木」
屈託のない、心からの微笑みを見せられてしまう。
何も言えない僕は……今度からは絶対に自分で買いに行こうと心に誓った。
色々面倒くさくなってしまったが、一人が寂しいのは僕も同じだから、こんな性格の染谷とこれからも友達を続ける。
もぐもぐもぐ。僕は食事を再開した。
3章『並木陽太と青山霞』に続きます。
出来れば……今月中に公開しますので、よろしくお願いします<(_ _)>




