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アラクネさんは大好きな彼を見守りたい  作者: 石橋いも
二章 並木陽太と染谷亮介
12/34

――⑦――

 翌日、染谷は学校に着くなり、里田さんに頭を下げて謝った。昨日との違いに驚き、戸惑っていた里田さんだったが、どうやら許してくれたらしい。それからは、好きなアニメや漫画の話題で盛り上がっていたりして、僕が仲を取り持つ必要は無さそうだった。

 青山さんも、謝られてすぐは嫌な顔を隠そうともしなかったが、里田さんとそれなりに仲良くしている所を見てからは、何も言わなくなった。

「まぁあたしも、ちょっと過保護すぎたかもね」

 と言っていたのは本人の弁だ。どうやらこれで、丸く収まったらしい。


 昼休み。僕と染谷は二人で昼食を取った。

 もぐもぐと、購買で買ったパンを、二人で頬張る。ラインナップは普通な内容で、あんぱん、カレーパン、メロンパン等、前回と違って食べ易い物しかない。

 何故か僕には、それが少し物足りない。

「なんか不満げだな、並木」

 正面に座る染谷が、怪訝そうに眉を潜めて言う。

「並木は文句ばっかりだ。本当は俺のことがあまり好きじゃないんだろ」

「そんなこと言ってない」

「じゃあなんで喜ばないんだよ。お前の言う通り、普通に美味いパンを買ってきたじゃねーか」

「……面倒臭いなぁ、もう」

「なんだよそれ、俺はお前の為に買ってやったのに……やっぱり、俺のこと好きじゃないんだろ」

「なぁ染谷。ほんっっとうに面倒臭いぞ、おい」

 取り付くうことを忘れた染谷は、本当に女々しい。僕が一言文句を言ったり、かったるそうな表情をする度に、ぐずぐずとした態度を取る。まだこれじゃあ女子の青山さんの方が男らしいと思えるくらいだ。

 僕はぶっきらぼうな手つきでパンを掴み、封を開けてかぶりつく。

 ――ん!?

「あ、並木、それ!」

 パンを噛み切り、手に持ったパンを見る。そこにはワニ肉パンと書かれていた。

 始めて食べる肉の食感に、美味いのかも不味いのかも分からない。僕の口の中がパニック状態になる。

「野菜の次は肉かぁ、購買も頑張ってるなぁ」

「頑張ってるなぁ、じゃないって……なんだこれ珍味すぎる」

「良かったな、並木」

 屈託のない、心からの微笑みを見せられてしまう。

 何も言えない僕は……今度からは絶対に自分で買いに行こうと心に誓った。

 色々面倒くさくなってしまったが、一人が寂しいのは僕も同じだから、こんな性格の染谷とこれからも友達を続ける。

 もぐもぐもぐ。僕は食事を再開した。


3章『並木陽太と青山霞』に続きます。

出来れば……今月中に公開しますので、よろしくお願いします<(_ _)>

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