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 六月の後半になると、おれは学校のそばの雑貨屋で買い食いをするくせがついた。それで、雑貨屋のおばさんと軽い会話をするようになった。

「このパンがうまい」

「このお菓子がうまい」

 とそんなことを会話していたのだけど、おばあちゃんが不思議なことをいった。

「魔法のお菓子はいらんかね」

 おれは直感的にやっかいごとに巻き込まれる気がして、すぐさま断った。

「いえ、いいです」

「そうかい。魔法のお菓子は、魔法の国への招待状なんだがねえ」

 お断りします。自分は脇役ですから。

 そこへ、同じクラスの女子が五人やってきた。うちの学級では、ロングスカートが流行っているので、女子の制服もロングだ。ちなみに、髪型もロングが多い。

「おばちゃん、魔法のお菓子ちょうだい」

「わたしも」

「わたしも」

 と、五人全員、魔法のお菓子を注文していた。

 もう、おれには先の展開がわかる。この五人は魔法の国へ招待される。

 おめでとう。おめでとう。魔法の国へ行くとどうなるんだろう。

「魔法の国から帰ってきたら、お土産をちょうだいよ」

 おれは行ってみた。

「うん、いいよ」

「ずうずうしいやつだなあ」

「お返しは三倍返しだぞ」

「そうだ、三倍返しだ」

「返さなかったら、覚悟しろよ」

 五人娘が騒がしい。

 それから、おれは家に帰って寝たのである。熟睡であった。

 魔法の国へ行った五人娘はどうなったかというと、次の日に学校で会っても教えてくれなかった。冷たい。

「ねえ、お土産は?」

 おれは聞いてみたが、

「は? そんなもん、ねえよ」

 と一蹴された。まあ、仕方ない。お土産を催促するのはよくない。

「それじゃあ、バイバイ」

 とおれは五人娘と別れて、家路を急いだのだが、学校のすぐそばで、同じクラスの男子に襲われた。

 その男子は、指向性電磁波装置をもっていた。

 まずい。危険だ。殺されるかもしれない。

 うちの同級生は殺人鬼だったのか。

 後悔先に立たず。

 まったく、ろくな同級生がいないが、おれは殺される危険に陥ったのである。

「ふははははは、死ね、愚かな一般市民よ」

 同級生なのに、一般市民扱いされた。まあ、脇役ですから。

 おれはここで死ぬ運命なのか。

 さあああああああああああああああああああああああ、たいへんだあ。


「ミルミルミルクのナンダラバンジャラ♪ お菓子の国から来た正義の使者、魔女っ子リリナ! 悪い人は許さないですよ」

「タスタスタスクの(以下略)」

「……(略)」

「……(略)」

「(略)」

 五人の魔女っ子が現れた。

 つまりは、五人娘は、魔法の国へ行って魔女っ子になって帰ってきたわけである。


 それに立ち向かううちの男子同級生はというと。

「はははははは、面白い。相手になってやろう」

 ちゅどーん。男子同級生の指向性電磁波装置は破壊された。

「なにい、このわたしが負けたのかあ」

 瞬殺された男子同級生。

 しかし、その後ろから、残りの男子同級生が現れた。

「おや、湯川が倒されたようだな。

「しょせん、湯川は天才五人衆でも、最弱の男。肩腹痛いわ」

 五人の男子同級生を迎え撃つ五人の魔女っ子。

「いったい、あなたたちは何者」

 魔女っ子がたずねる。

 うん、おれも聞いてみたい質問だ。男子同級生五人組は隠すことなく正体を明かした。

「我らこそ、世界征服を企む天才科学者、天才五人衆だあ」

 すごい展開だ。茫然とするおれ。

 でも、おれは見てるだけですから。戦ってるのは、残りの十人で。

 この時から、五人の魔女っ子対五人の天才科学者の戦いの火ぶたは切って落とされたのである。

 おれは見てるだけ。脇役ですから。


天才科学者はもっと詳しく書いた方が萌えそうだなあ。

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