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七月の後半、シュヤクナンジャイの五人も大活躍だった。宇宙人を相手に連戦連勝しているらしい。
ある日、学校の授業中に、宇宙艦隊がうちの学校に侵略して来た。おれは脇役なので、死んだらどうしようか、心配していた。
そこに現れたのが、
「シュヤクナンジャイ!」
五人の正義の味方だ。
「大丈夫か、きみたち」
正体を隠したいちろうが学級の生徒を避難させる。おれはシュヤクナンジャイの正体を知っているけど、何も知らない四人の勇者や、五人の魔女っ娘は、おとなしく避難していた。
シュヤクナンジャイの出番は奪わない。四人の勇者も、五人の魔女っ娘も、戦うべき相手をわきまえている。話のわかるやつらだ。
シュヤクナンジャイと、四人の勇者と、五人の魔女っ娘の、誰がいちばん強いのかは、知らない。学校の体育を見る限りでは、安部がいちばんだけど、いちろうも、リリナも、負けてない。
シュヤクナンジャイは、宇宙艦隊に対して、学校に秘かに用意していた戦闘ヘリで迎え撃った。五つの戦闘ヘリが、合体したように見えたが、あれは気のせいだろうか。気がつくと、宇宙艦隊は全滅していた。
「さらばだ。地球の友よ」
といい残して、シュヤクナンジャイは去って行った。
「いったい、誰なんだろう、あの人たちは。いずれにせよ、あの人たちのおかげでおれたちは助かった。ありがとう、シュヤクナンジャイ」
とおれがしゃべっていた。
脇役として、主役たちを見送ることも忘れない。
おれは、気が効いているのだ。
その日から、五人の宇宙人は学校を欠席するようになった。学級は、急に少なくなり、二十人になってしまった。