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 おれはシュヤクナンジャイに話しかけた。

「宇宙人をただ倒すのではなく、宇宙人と手を結び、共に繁栄する道を探ることはできないだろうか?」

 おれの提案は、かなり厳しい批判にさらされた。

「宇宙人は悪だ。悪を倒して何が悪い」

「宇宙人には血も涙もない」

「宇宙人には気を許す妥協の余地はない」

 シュヤクナンジャイの五人は散々におれに反論した。

 そんなシュヤクナンジャイのためにおれが用意した策は、情報収集である。

「おれたちは宇宙人についてあまりにも知らなさすぎる。宇宙文明についてもっと調べるべきだ」

「しかし、いったいどうやって。相手は宇宙だぞ。行き方がわからない」

 そこで、おれは一冊の本をとり出した。

 アーサー・C・クラークの著した『幼年期の終わり』である。

「これを読んだことがあるかい?」

「ああ、幼年期の終わりなら、昔、読んだよ」

「この作戦を実行したらどうかと思うんだ」

「意味がわからない。幼年期の終わりの何を実行したらいいんだ?」

 シュヤクナンジャイは首をかしげた。

「『幼年期の終わり』の第二部の作戦だよ。きみたちは、宇宙人の宇宙船に密航して、宇宙人の故郷へ探検に行ってみないかい?」

「な、なんだってえ」

 五人はその作戦に驚いたようだった。幼年期の終わりの第二部は確かにそういう話だ。だが、実際に実行するには、あまりにも危険が多いのではないか。

「そして、宇宙文明の中で、地球人に好意的な集団を探してほしいんだ。その宇宙人たちをきっかけに、宇宙人と交渉し、地球人の独立を保ったうえでの宇宙人と地球人の同盟を結ぶという筋書きだ」

 シュヤクナンジャイは、顔に汗を流していた。

 地球を離れ、宇宙人の故郷へ旅して、生きて帰ってこれる確率は低い。だが、誰かがやらなければならないだろう。やるなら、当然、主役であるシュヤクナンジャイの五人が行くしかない。

「やるか」

 いちろうがいった。

「やむをえないじゃない。宇宙人と永久に戦いつづけるのは無理だもの。休戦するためにはそれしか作戦はないよ」

 里中が賛成する。

 そして、シュヤクナンジャイは、宇宙人の宇宙船に密航して、宇宙文明へと旅立ったのだった。

 シュヤクナンジャイの五人は一週間、欠席した。


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