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 異世界戦争の行く末にひとまずの見極めをつけたおれは、次は宇宙戦争にとりかかった。

 放課の時間に、シュヤクナンジャイと話し合う。

「きみたち五人は、宇宙人から地球を守るために戦っているのだろう?」

「そうだけど」

 いちろうが答えた。

「毎回、宇宙人を派手にやっつけているのかい?」

「まあね。演出は火力だよ、脇田くん」

 いちろうはいう。

「で、勝算はあるのかい? 宇宙文明なんてものは、地球より遥かに高度な文明をもっていそうだけど」

「今まで十二回戦って、十二勝しているよ。正義は勝つのだよ」

 十二戦全勝か。思ったよりずっと強いんだな。

 それとも、宇宙人が予想より弱いんだろうか。

「いやあ、地球の平和を守ってくれてありがとう」

「いや、当然のことだよ」

 というわけで、シュヤクナンジャイとはひとまず別れた。


 つづいて、宇宙人五人組に会う。

「きみたち、宇宙人は地球を征服するつもりなんだろう?」

「そうだけど」

 山田が答える。

「高度な文明を誇る宇宙人が、そんな野蛮なことをしていていいのかな?」

 とおれが聞くと、山田は答えた。

「上層部の考えでは、宇宙的進化の中で、地球人は自然淘汰されるということらしいね」

 自然淘汰が敵と来たか。

 まったく、悪役の考えることはいろいろともっともらしい理由がたくさんあるんだなあ。しかし、それを否定しなければ、この世界を守る理由というものはつくられないのだ。理由がなければ、誰も戦わないだろう。

 おれは、自然淘汰に反論する。

「自然淘汰って、弱い生き物が必ずしも絶滅するとは限らないんだろう?」

「そういや、そうだな」

 山田は今、気づいたかのように答えた。

「細菌だって、ミジンコだって、ウサギだって、生きているしね。地球人は、生き残るウサギなんじゃないかな?」

「それは、生きのびてもらわないとわからないよ」

「きみたち宇宙人は、シュヤクナンジャイと十二回戦って、十二回負けているんだろう?」

「そうだけど。シュヤクナンジャイはいつか倒すよ」

「無理だと思うよ。彼らは主役だからね」

 山田のこめかみが歪む。

「地球人が主役だという考えは、実に地球中心主義な考えだ。宇宙的考えとはいえない」

 確かにそうだ。

「きみたち、宇宙人は、地球征服をどうしたら、あきらめるんだい?」

「地球がある限り、あきらめることはないだろう」

 むう。これは、かなり厳しい展開のようだ。

 なんせ、敵は宇宙だ。用心を重ねるにこしたことはない。


 シュヤクナンジャイが倒されたら、地球は征服されてしまう。異世界を救おうとしている四人の勇者も一緒に征服されるだろう。なんせ、敵は宇宙だ。かなり、手ごわい。

 シュヤクナンジャイが倒されて、五人が高校を中退する結末を迎えるのだろうか。それとも、宇宙人五人組が中退する結末を迎えるのだろうか。

 どっちが勝っても、学級の衰退はまぬがれない。

 おれは、またしても、家に帰って悩みこみ、うんうんとうなっていた。


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