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異世界次元冒険譚:『ユニバース・コネクター』  作者: 沼口ちるの


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第3話:ネオ・トーキョー2099と機械仕掛けの暗殺者

3.1 荒廃した未来の都市ディストピア

次元渡りを発動したハヤトが次に降り立ったのは、高層ビルが密集する巨大な都市だった。しかし、それは華やかな未来像とは程遠い、ネオンの光もどこか冷たく、全体が薄暗いディストピアの風景だった。


空は常にスモッグで淀み、巨大なサイネージ広告が虚しく瞬いている。地面にはゴミや廃材が散乱し、機械の駆動音と電子音が絶えず響いていた。


「ここが、次の次元……座標コード$[002-C-19-033]$、ネオ・トーキョー2099か」


ハヤトは、自分が巨大なビルの屋上のような場所に立っていることを確認した。彼の服装は、次元渡りの際、自動的にこの世界の環境に馴染むよう、地味な合成繊維のジャケットとパンツに変化していた。これは【ユニバース・コネクター】の補助機能の一つらしい。


彼の【鑑定(簡易)】が、周囲の環境情報を取り込んだ。


次元名: ネオ・トーキョー2099


支配構造: 超巨大企業『ジオ・シンセティック社』によるAI管理体制


エネルギー源: 核融合と独自の「デジタル・エネルギー(DE)」


魔力反応: ゼロ。魔術は確認されず、科学技術と機械工学が世界の法則を支配。


「魔力反応がゼロ……。魔法が通じない世界か?いや、魔力自体は俺の体内に満ちている。物理法則が変わっただけで、エネルギーとしての魔力は使えるはずだ」


ハヤトは試しに、最低限の魔力で【高速詠唱】による『火の玉』の魔法を放とうとした。しかし、指先に集中した魔力は、この世界の物理法則に弾かれるように霧散した。


「やはり、ダメか!魔術体系が完全に遮断されている。アースガルディアの法則はここでは通用しない……」


これはハヤトにとって初めての危機だった。魔力は無限にあるが、それを使う手段が限られている。彼は唯一使用可能な補助スキル、【魔力強化マジック・ブースト】を試した。


彼は筋力をAランクまで引き上げた状態で、周囲の鉄骨を軽く掴んだ。鉄骨はギシリと音を立て、彼の握力で簡単に歪んだ。


「筋力強化は可能!つまり、魔力を体内の生体エネルギーに変換するプロセスは機能する。よし、この世界の技術と、俺の魔力エネルギーを融合させるしかない!」


ハヤトは、ここでも自身のシステムエンジニアとしての思考をフル回転させた。


3.2 天才ハッカーとの遭遇

ハヤトが周囲の環境データを収集していると、ビルの下層から、けたたましい電子音と銃撃戦の音が響いてきた。


「また、揉め事か。これもディストピアもののテンプレだな」


ハヤトは強化された筋力で、軽々とビルを伝い、騒ぎの現場へと向かった。そこは、巨大なメインサーバー施設の一角だった。


武装した企業の警備ドローンとガードマンたちが、一人の女性を追い詰めていた。


女性: 鮮やかな紫のショートカット。全身のほとんどがサイバネティックな義体で覆われている。背中には高性能な接続ポートが見える。


警備ドローン: 「警告。イレギュラー侵入者【スパーク】。即時排除プロセスを開始します」


女性は、素早い動きでドローンのレーザーを避け、腕部に内蔵された小型プラズマカッターでガードマンの義体を切断していく。彼女の動きは人間離れしており、その戦闘力はSランクの騎士にも匹敵するだろう。


彼女こそ、ハヤトがこの次元で出会う二番目のヒロイン、クロエ・“スパーク”・アシュレイだった。


「チッ、しつこいAI野郎ども!あと少しでメインフレームにアクセスできるのに!」


クロエは、接続ポートからケーブルを伸ばし、サーバータワーに強引に接続しようとした。しかし、その瞬間、ハヤトが次元渡りでこの世界に転移した際の膨大な次元エネルギーの残滓が、このサーバー施設にわずかに残っていた。


この残滓が、サーバータワーのネットワークに突如として超強力なノイズとして干渉した。


「なっ……何!?アクセスが遮断された!?こんな強力なジャミング、ありえない!」


クロエは、ハッキングを妨害されたことに激怒し、周囲を見渡した。そして、彼女の高性能センサーが、この世界には存在しない「異質なエネルギー」を持つハヤトを捉えた。


「てめぇか、イレギュラー!どこの組織のスパイだ、このジャミングの元凶は!」


クロエは、ハヤトをジオ・シンセティック社の最新型セキュリティードローンと誤認し、腕部のプラズマ砲を向けた。


3.3 技術解析と魔力バッテリー

「待て!俺は敵じゃない!」


ハヤトは慌てて両手を上げた。しかし、クロエの攻撃は止まらない。彼女は全身の義体を稼働させ、超高速でハヤトに向かって突進してきた。


ハヤトは【魔力強化】で全身の反応速度を極限まで高め、辛うじてクロエの攻撃を避ける。


(速い!だが、動きに無駄が多い。義体の稼働率が限界を超えている。エネルギー効率が悪い!)


ハヤトは、義体の動きの「癖」と、駆動部から発せられる微細な熱量を【鑑定】で分析した。


対象: クロエ・“スパーク”・アシュレイ(義体)


詳細: 全身義体(70%)。主要エネルギー源はマイクロ核融合炉。


致命的欠陥: 駆動部冷却システムとエネルギー伝達効率が劣悪。短時間の高負荷でオーバーヒートの危険性。


「分かったぞ!彼女は出力は高いが、連続稼働に耐えられない、欠陥のあるハイエンドモデルだ!」


クロエは激しい攻撃の反動で、一瞬動きを止めた。彼女の義体から焦げ付くような匂いが立ち上った。


「くっ...オーバーロード寸前。このままじゃ...」


その隙を見逃さず、ハヤトは【無限収納】から、アースガルディア次元で手に入れた高品質の魔力回復ポーションを取り出した。


「これを飲め!」


ハヤトはポーションをクロエの口元に突きつけた。


「ふざけんな!こんな怪しい液体、毒だろうが!」


「毒じゃない!これは高純度のエネルギー溶液だ!俺の持つ魔力エネルギーを、君の義体の駆動システムに合わせて調整する!」


ハヤトは、義体の最も効率的なエネルギーポートの位置を【鑑定】で把握し、ポーションの液体に自身の魔力を注ぎ込んだ。魔力は、ポーションに含まれる有機物に融合し、この世界のデジタルエネルギー(DE)と似た波長へと変換されていく。


「【魔力変換:デジタル・チャージ】」


彼は、変換した液体を義体の接続ポートに強引に注入した。


ガチィィン!


クロエの全身に電流が走り、彼女の目の光が激しく点滅した後、完全に安定した。彼女の義体の稼働率が、それまでとは比較にならないほど向上したのだ。


「な……何よ、この感覚!?全身の駆動系が完璧に冷やされ、エネルギーが無限に湧いてくるようだ……これが、本当にポーション?」


警備ドローンとガードマンたちが再度襲いかかってきた。


「無駄だ、イレギュラー!増援が来たぞ!」


クロエは、一瞬にして義体の性能が向上したことを確信し、満面の笑みを浮かべた。


「ハッ!上等だ!最高のエネルギーを貰った。これでお前らまとめてスクラップにしてやるよ!」


クロエは、超高速で警備部隊を一掃した。その動きはまさに電光石火。「スパーク」というコードネームにふさわしい、神業的な戦闘能力だった。


3.4 協定の締結

戦闘が終わり、サーバー施設は静寂を取り戻した。クロエはハヤトに向き直ったが、先ほどの敵意は消えていた。


「てめぇ……一体何者だ?こんな次元の違うエネルギー、ジオ・シンセティック社ですら開発できていない。まるで、エネルギー効率のブラックボックスだ」


ハヤトは、自身の職業と目的を簡潔に説明した。


「俺は、別の次元から来た『ユニバース・コネクター』だ。君の義体は素晴らしいが、エネルギー効率が悪すぎる。俺の魔力エネルギーは、君の義体を無限に動かすことができる『魔力バッテリー』として機能する」


ハヤトは、再び【鑑定】で得た解析結果を元に、クロエの義体の設計の欠陥を、SEらしい冷静な口調で指摘した。


「君の義体は出力は高いが、熱管理システムと、エネルギー伝達のボトルネックが複数ある。これは設計ミスだ。俺なら、君の義体を最高の性能で永続稼働させるためのカスタムメイドの魔力コンバータを開発できる」


クロエの瞳に、ハッカーとしての強い興味が宿った。彼女は、ジオ・シンセティック社に復讐するため、より高性能な義体と、それを動かす無尽蔵のエネルギーを求めていたのだ。


「カスタムメイドの魔力コンバータ……。それはつまり、あたしを『システム』として最適化できるってことか?」


「そうだ。俺の目的は、この次元の『鍵』、高密度のデジタル・エネルギーの結晶体を探すこと。君は、この世界の裏社会、つまりこのシステムのバックドアに詳しいはずだ。俺に協力すれば、君は無尽蔵のエネルギーと、最強の義体を手に入れられる」


クロエは、ニヤリと笑った。それは、戦闘中よりもはるかに獰猛な、ハッカーとしての笑みだった。


「いいぜ、乗った。あたしはジオ・シンセティックの支配をぶっ壊したい。そのためなら、異世界のバグ(おまえ)と組むのも悪くない。ただし、あたしに最高の出力を提供し続けろ。あたしはお前を『マスター』と呼んで、その技術とエネルギーを独占させてもらう」


ハヤトは頷いた。彼は、この次元の「鍵」を手に入れるための、最強の協力者を得たのだ。


3.5 次の鍵の解析

クロエの案内で、ハヤトは彼女の隠れ家へと向かった。それは、ネオ・トーキョーの巨大なスラム街の地下深くに隠された、高度なハッキングステーションだった。


ハヤトは早速、次の次元へ渡るためのエネルギー源を探した。クロエがハッキングしたデータによると、ジオ・シンセティック社の最奥には、かつて次元渡りの実験に使われたとされる「超密度デジタルコア」が存在するという。


「これよ、マスター。このコアが、あたしの求めていたエネルギー源であり、あんたの求めている『鍵』だろう」


ハヤトは、クロエが示した画像を見て【鑑定】を発動させた。


【超密度デジタルコア】


詳細: ネオ・トーキョー次元の基幹エネルギー源。空間を歪ませるほどの高密度デジタルエネルギーを保持。


機能: 【次元渡り】スキルの起動をサポートし、次の次元の座標コードを提示可能。


「間違いない。これが次の次元への鍵だ」


「コアを手に入れるには、ジオ・シンセティック社の最上層、社長室直下のラボに侵入する必要がある。そこは、この次元で最も守りが固い場所よ。どうする、マスター?」


ハヤトは、セレスティーナとの旅で手に入れた『次元の楔』と、これから手に入れる『デジタルコア』のエネルギー波長を頭の中で比較した。


「クロエ。この世界で魔法は使えないが、俺の魔力は使える。次の次元への移動は、このデジタルコアのエネルギーを、俺の魔力で変換・増幅させる必要がある」


ハヤトは、目を輝かせた。新たな世界、新たな技術、そして新たな攻略法。システムエンジニアとしての血が騒ぐのを感じた。


「俺は、この世界のシステムを解析し、魔力と技術を融合させた『マジック・ギア』を開発する。そして、その義体と技術を駆使して、正面からシステム(ジオ・シンセティック社)をぶっ壊す!」


クロエは、その圧倒的な自信と、彼女の義体を最高の状態へと導くハヤトの知識に、完全な忠誠を誓った。


「フフッ、いいぜ、マスター。このネオ・トーキョー2099のシステムに、異世界から来た最強のバグを叩き込んでやろうじゃない!」

第3話、いかがでしたか皆さん!


舞台はガラッと変わって、剣と魔法の世界から、一気にサイバーパンクの未来都市「ネオ・トーキョー2099」へ!空気の冷たさ、スモッグ、そしてテクノロジーの支配感、楽しんでいただけたなら嬉しいです。


ここでハヤトに最初の試練がきましたね!なんと、魔法が使えない! 魔力は無限なのに、この世界の法則に弾かれちゃうという、まさかの「チート封印」状態。ここで普通の主人公なら焦るところですが、そこは元SEのハヤトです。


「使えないなら、システムの裏をかいて使ってやろう!」とばかりに、魔力を生体エネルギーに変換する【魔力強化】と、アースガルディアのポーションを応用した「魔力バッテリー」を開発!やっていることは魔法ですが、思考回路は完全にエンジニア、このギャップがたまらないですね!


そして、ヒロイン2人目の登場です!天才ハッカー兼義体の暗殺者、クロエ・“スパーク”・アシュレイ!


彼女のハイテク義体の「欠陥」を瞬時に見抜いて、魔力で「最適化」してしまうハヤトの姿は、まさに最高の「マスター」でした。セレスティーナ様が「聖域」なら、クロエはハヤトにとって最高の「武器庫」あるいは「システム」になる予感がします。


二人の関係は「技術」と「エネルギー」の契約。これからの共同戦線で、どういう感情が芽生えるのか、非常に楽しみです!


次回、いよいよジオ・シンセティック社への潜入作戦を決行します!魔力とテクノロジーを融合させたハヤト流の「マジック・ギア」が、この世界のシステムをどう破壊し、次の次元の鍵を手に入れるのか、ご期待ください!


では、また次のお話でお会いしましょう!

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