第8話 初依頼
「それじゃ早速、依頼を受注しましょ。」
初めての依頼… 一体どんな内容になるんだ?胸が高鳴ってきたな。
先程のホールに、再び辿り着いた。
相変わらず騒がしい空間だな。
「すげぇ!依頼がいっぱいだな!どれにする?」
興奮冷めやらぬ様子で、カイが話した。
『失踪したペットの捜索』 『脱獄犯の確保』 『貴族の護衛』
『野草の採集』…依頼とは言っても、多種多様だな。
「これとかどうかな?」
ディークスが指で示したのは…
『失踪事件の原因解明』
失踪か…いわく付きの依頼だな。面白い事になりそうだ。
「良いな。興味深い。」
「私も。興味が湧いて来たわ。」
「俺もこれがいい!早くやろうぜ!」
待ちきれない様子で、足をバタバタさせながらカイが話した。
「こんにちは。ご用件をお伝え下さい。」
「この依頼を受注したいのですが。」
「承知致しました。では、依頼についての詳細が書かれた用紙をお渡ししますね。少々お待ち下さい…どうぞ、こちらになります。」
「ありがとうございます。」
ディークスが、少し高揚した声色をしながら受け取った。
『レーゼル邸失踪事件
ロータシア、フェブリエ地方に位置する、現在廃墟であるレーゼル邸にて、原因不明の失踪事件が発生している。 調査に赴いたギルド団員は計12人であるが、全員の消息が絶たれている。細心の注意を払い任務に臨む事。』
「こ、怖ぇ!!」
体を小刻みに震わせ、カイが怯えている。
「誰が、何の目的で…?」
首を傾げながら、クロリネが話す。
「僕達が事件を解決すれば、真相が明らかになる筈だ。消息不明の団員も見つかるかもしれない。」
「だな。早速向かうぞ。」
「おう!ビビったままじゃ何も始まらないしな!」
ギルドを出発して、足を動かし始めた。
「そういえば、ラジアスとディークス。あなた達ってどういう関係?結構前から一緒にいるの?」
「いや、知り合ったのは今日が初めてだよ。」
「ああ。俺がネルヴァス教団の奴に狙われて、戦ってる所を助けてくれたんだ。それで一緒にパーティを組む事にした。」
それにしてもあれは間一髪だったな。
ディークスが偶々通りかかってなかったら、アイツが行方を眩ましてるとこだった。
「なるほどね。やっぱり人の縁って不思議。」
「ああ。そっちは?」
「私達も今日知り合ったのよ。あの募集を見て、ついね。伝説なんて言う人、そうそう居ないから…」確かにな。俺達も、それに釣られてやって来た訳だしな…
「やっぱりクロリネは伝説が好きなんだな!俺の思った通りだぜ!」
得意気な表情でカイが話した。
「まあ…否定は出来ないけど…」
そうこう話している内に、レーゼル邸が目の前に。
「ここが…レーゼル邸…」
在りし日は陽の光を跳ね返し、美しく輝いていたであろう真っ白な壁は、今となってはカビに侵食され、ツタが好き放題に広がっている。
辺りに連なる生気を感じさせない枯れ木が、より一層恐怖を煽ってくる。
「廃墟とはいえ、随分と気味が悪いね…」
流石のディークスも、この有様には顔をしかめている。
「怖え…オバケとか出るんじゃないのか?そういうの苦手なんだよ俺…」
先程までの勢いを一気に削がれたカイは、不安に駆られた顔をしている。
「折角ここまで来たんだから、踵を返す訳にはいかないわ。それに、満場一致でこの依頼にしたんだから…」
とは言いつつも、クロリネは浮かない表情をしている。
「よし、それじゃあ入ろうか…」
ディークスが重い足取りで、腐りかけの扉に近付く。
「俺は前から3番目にしてくれよ?これ冗談じゃないからな?」
「大丈夫だ、カイ。4人もいるんだ、何とかなるさ。」
「中に入ったら、大きい声は出さない様にしましょう。何かあったら、すぐに警戒して。」
ギィィィ… 今にも壊れそうな歪な音を立てて、扉が開いた。
「まさか…そんな馬鹿な…」
ディークスが声を小刻みに震わせる。
「何だよこれ…」
「これは…現実なの?」
「なっ…嘘だろ…」
視界に映るのは、大きな額縁。
そして飾られているのは…人間の…死体。
四肢にナイフが突き刺さり、一つの作品の様に固定されている。
最悪な事に、そんな趣味の悪い代物が、全部で13個。
恐らく、失踪したギルド団員も含まれている。
「おや、気に入りましたか?貴方達なら、ご主人様と趣味が合いそうですね…フフフ…」




