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Chained 〜刻鎖の英雄譚~  作者: qwert9thy
第一章 始まり、そして審判
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第5話 焔鋼のブレイズ・スティール

 「キァァァァァ!」

甲高い悲鳴と共に、ローギルのシビルが地に伏した。


「さてと、牢屋の中で罪は償って貰うぞ。」

黒髪で長身の青年が、冷徹な声で話す。


「クソ、ふざけやがって!まだ勝負は付いてない… ナハトーレ!コイツらを皆殺しにしてやれ!」

ローギルは激昂して、シビルに命令した。


「死ぬのはお前一人で十分だ。行くぞ、ブレイズ•スティール」

緋色の光を振り撒き、青年のシビルが現れた。

外見は、錆びついた鎧の騎士と言ったところか。

だがその右手には、紅炎の如く燃え盛る刃を握り締めている。

眺めているだけで身を焼かれる様な、威圧感を感じる。


「覚悟は良いな?」

青年が剣を鞘から抜き出す。だが、普通の剣ではない。

異常な程に熱を帯び、真紅に輝いている。まるで鋳造したばかりの様に。


「ギィィィィィ!」

ナハトーレが怒り狂った鳴き声を上げ、鋼鉄の羽を広げる。

そして、青年に向かって鋭い爪を掲げる。

彼は紅の瞳で、冷静沈着にその動きを眺めている。


「無駄だ。」

流れる様な動きで、奴の足を一刀両断してしまった。

「ギァァ!キァァァ!」ナハトーレは羽を上下に振り回し、もがき苦しんでいる。


「相手が悪かったな。これで終わりだ」

落ち着き払った足取りで、ナハトーレに歩み寄る。

青年が奴の羽に触れたその瞬間。


「キァァァァァァァァ!」

見る見る内に、羽が赤熱した。

その後、原型を留めない程に鋼の羽は溶け落ち、ナハトーレは力尽きた。


「これで満足したか?」


「俺は…まだ…」


「続けるなら別に構わない。ただ、シビルと違って人間は、死んだら二度目なんて物は無いぞ。」


「クソ…クソッッッ!」

ローギルは屈辱に顔を歪ませ、その場に項垂れた。


「そこのお方、申し訳ありません。私が早く駆けつけていれば、傷を負う事も…」


「いえ、お気になさらず。それよりも助けて下さり、ありがとうございました。」


「これが私の務めですからね。そうだ、冒険者ギルドの治療室に案内しましょうか?その傷だと歩くのも大変でしょう。」


「本当ですか?是非ともお願いしたいです。ギルドに用があるので。」

これはかなり好都合だな。傷も治って、ギルドにも入れるとは一石二鳥だ。


「用と言いますと?」


「今日からギルドに加入したいんです。」


「そうなんですね。パーティは組むんですか?」

パーティか。特に考えてなかったが、一人でやるよりも仲間がいた方が良いな。


「組みたいですね。」


「本当ですか?実は私もなんですよ。今までは一人で活動してきたので、そろそろ私も組もうかと。」


「それなら、私と組みますか?」


「良いですね。これも何かの縁でしょうから。」

またしても幸運が訪れたな。もう仲間が一人増えた。


「よし、決定だな。そうだ、名前は?」


「ディークス•フリーサス。そちらは?」


「ラジアス•ブルーノだ。これから宜しく。」


「こちらこそ。」


「じゃあ早速、ギルドまで行くか。」


「その前に、やる事が残ってたね。」

ディークスは慣れた手つきで、ローギルの四肢を縄で縛り上げた。どうやら、このまま引きずり回してギルドまで連行するみたいだ。


「容赦無いな…」

敵以外と話す時は、温もりを感じるような優しい声なんだが。

敵には、行動も言動も冷え切ってるな…


「ネルヴァス教団の奴だからね。情けは要らないよ。」

そんなに極悪非道な集団なのか?まあ、いきなり俺の事を襲った訳だし、それもそうか…


「そのネルヴァス教団ってのは一体何なんだ?」


「知らないのかい?教団は、このカンティア大陸全域で活動する、いわばカルト集団みたいなものだよ。」カルトか…そういえばローギルの奴、ネルヴァス様がどうとか言ってたよな。


「ネルヴァスってのは誰なんだ?教祖の名前か?」


「違うよ。教祖の名前は、エンディア•ファルカ。ネルヴァスって言うのは、まあ、神様みたいなものだね。いつか世界を滅ぼすとされてる、悍ましい存在らしいよ。それで信者達は、ネルヴァスに許しを求めてる。その結果アイツらは、各地で暴動事件を幾つも起こしてるんだ。」


「何で人間を襲ったら許してくれるんだ?」


「ネルヴァスが滅びの邪神だから、苦しむ人間を見せ物にすれば、快楽を覚えるって考えらしいよ。まあ、所詮カルトだからね、マトモな論理じゃない。」


「確かにな。そうだ、ネルヴァス教団といえば『鴉の目』って知ってるか?」


「勿論知ってるよ。ネルヴァス教団大司祭、鴉公爵の『クロウ』が保有する部隊の事だよ。まあ、構成員の実力はピンキリってとこかな。」


「さっきのローギルって奴はどれぐらいの強さなんだ?」

相当苦戦を強いられたんだから、上から数えて3番目ぐらいには入るんじゃないのか?


「まあ、良くて中の上…くらいかな。順位で言ったら15番目くらい?」


「嘘だろ…」

あれで中の上か…トップは一体どれだけ強いんだ?


「まあ鴉の目自体、上澄みの集団ではあるからね。そこらの戦闘員よりも断然強いよ。」


「少し安心したよ。ところで、さっき言ってた『クロウ』って言うのは?」


「ネルヴァス教団の大司祭、要するに幹部の一人だね。全身がドス黒い格好をしていて、鴉の仮面にシルクハットがトレードマークの人物らしい。この国、ロータシアに活動拠点を置いている奴でね。ギルドは常にクロウの同行を警戒してるんだ。」

大司祭… 厄介そうな奴だな…


「さてと、着いたよ。ここがロータシアの冒険者ギルドだよ。」


「ここが…ギルド…」


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