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彩旅のエリセツア  作者: 泥竹チャハン
第3章 神聖ミロス学園編
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38話「ペルヴェリンの目的」

 敵の魔剣士はどこに行ったんだ?目の前から消え、魔力探知にも引っかからない。つまり敵はこの物理的空間に存在していないということになる。


「後ろだ」


「それはもう分かってる!」


 敵は呪いや聖なる力を使わない。おそらく魔法と影力を使用するのだろう。影力とは影のある場所から影の世界、つまり異空間に入り、空間と空間を行き来できる珍しい能力だ。私がそれを知っている理由は数多くの師匠のうちの一人がその力を私に授けてくれたからだ。


「あまりにも速すぎる回避能力、まさか影力を見切っていたのか?」


「お前には教えない」


 私は敵が影の世界に入り込む条件を探っていた。私が影の世界に入る場合、手印を組まなければならない。しかし、相手はそのような動作をしていなかった、影の世界にアクセスするにはそれなりに工程が必要で簡単なことではない。


「ちっ、また消えたか、」


 そこで私は素早く手印を組み影の世界と繋がった。私自身が入るのではなく一方的な監視をすることで敵の動きはお見通しだ。


「『束縛の呪術』止まれ」


 私は影の世界にいる敵に向かって呪術を放った。すると敵は固まり、完全に拘束することに成功した。そして私は影力を使い、影の世界から無理やり引っ張り出し地面に落とした。


「お前は何だ、俺よりも影を操る力が高度でありながら聖なる力や呪い、魔法にも長けている。まさか本当に神なのか?」


「『絶対支配の呪術』お前の情報と襲撃について話せ」


 絶対支配、それはこいつを支配していたペルヴェリンの誰かの聖なる力を上書きするためのものだ。モナレンにいた頃に出会った呪法師も同じようなものをかけられていた。だから更に大きな力で支配することで暗殺を防いだのだ。


「俺は影力を込めた魔剣により空間を切ることで影の世界を行き来することができる能力を持っている。この襲撃は『奇律二十四断章』の中の序列二位である『血染の白氷』が計画し、下っ端が陽動を起こし、実力のある者を俺が片っ端から殺していくという算段だったものだ」


「とりあえず尋問は後にしよう。まずはスピリアの容態を確認しなければ」


 スピリアは私が戦っている時に自身の魔力で止血をしていた。それに気づいたから私は集中して戦う事ができた、しかし止血したところで危険な状態には変わりない。早く私がどうにかしなければ、、

 そう思っていた時、突然スピリアの意識が消え、魔力で抑えていた血が溢れ出した。


「ここまで状態が酷いんじゃ私一人では助けられないじゃないか!もうここまでなのか、?」


 聖なる力を使う事で肉体の自然治癒を促すことは出来ても傷を直接治すことは出来ない。


「エリセツア、諦めてください。それよりも私が与えた任務を優先してください」


 私には入学試験の時に頼まれた氷神からの最重要な任務があり、その任務に失敗するとスピリアだけでなくこの世界の人間が危険にさらされてしまう。


「分かってますよ!でもここで見捨てることなんて出来ないじゃないですか」


「大丈夫です。ほら、あなたの後ろに救世主がいるじゃないですか」


 私が後ろを振り返るとそこには校長とロジが立っていた。


「エリセツア、自分のするべきことをしなさい。スピリアくんは俺とロジ先生が何とかする」


 その時、私は校長について疑問に思っていたことが全て点と点で繋がり、理解した時、思わず泣きそうになった。

 しかしその事について深く考える余裕はなく神に与えられた任務を遂行するために私は無言で頷き、学園内へと駆け出した。


「エリセツア、目的地は大聖堂です。任務の内容を忘れてなんかいないですよね?」


 当たり前だ。任務の内容はペルヴェリンから「神の扉」という人間界と神界を繋ぐ唯一の存在を守護するためだ。神の扉の存在を知るのはこの学園を創造したかつての魔女と各国の神の眷属のみであり、本来誰も知り得ない情報だ。なのにも関わらずペルヴェリンがどこからか情報を入手したことで神界が気づき、神の眷属に任務を与える事になったのだ。

 私が大急ぎで大聖堂に入ると生徒たちは教師たちと共に大勢のペルヴェリンの下っ端に囲まれていた。


「おい!てめぇは誰だ!?」


「エ、エリセツア!」


 リンは私が現れた事にいち早く気づき、私を呼んだ。


「静かにしやがれ」


 そう言うとペルヴェリンの下っ端は天井に魔法を放ち、生徒たちを牽制した。


「落ち着いてくださいエリセツア、まず敵の鎮圧が第一優先です」


「分かってる」


「おいお前らあいつを捕まえろ!」


「氷神の加護の力借りますね。第二の権限『最寒の監獄』」


 大聖堂で生徒と教師をジャックしていた全ての敵を私は一瞬にして召喚した氷の牢屋に閉じ込めた。

敵たちは何が起こったのか訳も分からず寒く狭い牢屋の中で凍えていた。

 すると生徒の内の一人が私を指差して言った。


「もしかしてあいつがやったのか?すげぇぇぇえええ!!!」


「うぉぉぉおおお!!!助かったぞー!!」


 生徒たちは自分たちが助かったことに気づくと歓声に大聖堂を歓声で満たした。

 しかし喜ぶのはまだ早い、ここにいた敵は全て下っ端で計画の主犯である「血染の白氷」がまだ現れていない。ということは今この瞬間にも「神の扉」を狙っている可能性がある。

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