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第1章 1話「ギルド登録」

 私がペルファ村を出て、二日が経った。爽やかな風が吹き、天気は快晴だ。

 最初の目的地は王国首都ドーウェン。なぜそうなったのかと言うと首都にあるギルドで登録をして冒険者となり、魔物を倒して金を稼ぐためだ。金がなくては衣食住全てが安定しない。一応言っておくが私は魔法が使える、それも村では一番の使い手だ。目的は他にもある、例えば移動手段だ。魔法使いには魔力が備わっているため特殊な箒で空を飛べる。箒はペルファ村にはなかったからドーウェンで買うのだ。正直歩いて旅をするのも悪くないと思っていたが、体力的に厳しいと判断した。


「ついに着いたか、首都ドーウェン」


 ドーウェンには大きな王城があり、そこには国王が住んでいる。城下町はたくさんの人で賑わっていて、とても楽しそうな場所だ。ここに来たのは初めてではない。まだ家族が生きていた頃、母さんと父さんと三人で一週間ほど旅行で来たことがあるのだ。


「まずはギルド登録をしに行くか」


 そう決めると首都内の地図を確認し、歩みを進めた。所持金は十万レットで登録には二万レットを使う。二万レットは普通の大人の月給ほどだ。はっきり言って高すぎる、しかし十五歳の私がここまでの金額を持っているのもおかしいのだ。そこまでのお金を手に入れることができたのには経緯がある。村を出るとき、皆んなが私に五万レットをくれたのだ。正直、喉から手が出そうなほど欲しかったが、一度断った。しかし、


「今まで村を襲ってきた魔物を退治したり、畑仕事を手伝ってくれたお返しじゃ」


 長老がそう言って無理やり渡してきたのだ。とてもありがたい、村を出てから思わずスキップをしてしまったほどだ。


「ここがギルドか、思ったよりも綺麗な場所だ、父さんが言ってたような野蛮な男がうろちょろしている訳でもない」


 少し安心してギルドに入ると、さっきまでの安心感は消えた。とても血生臭い、おそらくギルドの討伐証明のために受付の上に置かれているグロテスクな物たちのせいだろう。


「すいません、ギルド登録をしたいんですけど」


 受付の中でも一番若くて優しそうなお姉さんに話しかけた。すると、


「ギルド登録ですか?一応言っておきますが、冒険者という職業はとても危険であなたのような少女には向いていませんし、登録には二万レットが必要ですよ?」


 なんだかとても後悔した。嘲笑するような言い方をしてきて鼻につく。まぁ、その程度で折れるような根性なしではない。


「はいどうぞ、二万レットです。正式な冒険者になるためには試験が必要だと聞きました。試験を受けさせてください」


 嫌な受付のお姉さんは不満な表情だったが、流石に二万レットを出されては試験を受けさせるしかなかった。

 試験会場に行くと、屈強な男が立っていた。歴戦の戦士という感じだ。


「すみません、試験を受けたいんですけどこちらで合ってますか?」


 平然を装ったがとても緊張して少し声が震えていた気がする。


「そうだ。ではまず君の名前を教えてもらおうか」


「エリセツア、十五歳です。よろしくお願いします」


 声に威圧感があり、とても怖い。ギルドで働いている人たちは皆んな苦手な人ばかりで早く試験を終わらせて逃げたい気分だ。


「試験の内容はこの人形に傷をつけることだ。方法は魔法や剣、なんでもありだ。君は魔力を持っているから魔法を使うのだろう、そしたら炎魔法を使ったほうがいいぞ」


 表情は全く変わらず怖いが、試験のコツを教えてくれてとても優しい。あの嫌な受付よりよっぽどましだな。

 そんなこんなで私の試験は始まった。特に難しい試験ではなかったので無難な炎魔法で人形を燃やして、試験を合格した。

 これで私も正式な三級冒険者だ。冒険者にはランクがあり、私は一番下の三級になった。外に出ると夕方になっていた。そして夜になって宿に泊まり、明日の予定について考えた。


「明日は買い物をしよう。村の皆んなのお金があるし、たくさん買おう。まず杖だ、試験中に気づいて焦ったが杖がボロボロになっていた。長年使ってきた物だし仕方がない、他にも箒や魔道具、服を買うとしよう」


 明日の計画に期待しながら眠りについた。

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