15話「集まる守護者」
魔法陣の波動は遠く国々を跨いだ先の寒国の龍にも届いた。その瞬間、私たちの周りに何かが起こった。
「おそらく数十分もすればここにボルブロ種が来る。他にもこの地の守護者が現れる。私たちはこの絵を見つけた時点でこうなることが決まっていたんだ」
「儂の村はどうなってるんですか?何が何だか全く理解できんのです」
スピリアも何も理解していない様子だった。
「実はあの絵には少しだけ不思議な魔力が放たれていたんだ。その魔力は小さいけれどトリャヒス村付近に封印されている何かがそれによって解かれそうなんだ。その何かは分からないが、そいつは邪悪な気配を感じるんだ」
あの絵にはパッと見ただけでは分からない秘密が隠されていた。不思議な魔力による何かに魔法探知させる仕様とほとんどの人間の肉眼では確認できないほど小さい絵に映っていた妖精だ。
「村長、この土地に守り神や妖精などはいないか?」
「この土地には昔からドライアドが住んでいるとされています。しかし、儂は見たことがありません。おそらくただの伝説かと、」
「そうか、じゃああと数秒後にここにドライアドが現れるだろう」
「エリセツア?どう言うことなんですか?」
その瞬間、風が吹いて私たちの目の前にドライアドが立っていた。
「汝、この地に関わりを持たないのにも関わらず、何故龍や私を呼び出すことができたのだ」
綺麗な白い髪に木と合体しているような姿のドライアドはとても緊張と怒りが混ざっていた。
「すまない、しかしこれも仕方のないことなんだ。君にもこの土地を守るのを手伝ってほしい」
そう言うと、海の方から風と共に龍が現れた。
「凄いです!本当にボルブロ種の龍が現れました!こんなことありえるんですね」
スピリアは呑気だがそんなことを言っている場合ではない。私は集まった者たちを集合させた。
「龍やドライアドは分かっていると思うが、何かの封印が解かれそうになっている。その封印が何なのか教えてくれないか?」
「封印されているのは貴様がもっている絵に描かれている、かつて、この地の守護者であった、大蛇だ」
「ドライアド様。儂は現トリャヒス村の村長であるジュラゼと申します。無知な儂たちにもこの状況を教えてもらえませんか?」
優しい心の持ち主には心を開くと言われているドライアドは村長に向かってこの土地の歴史を話し始めた。