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White. Out  作者: 木下古里
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修理屋ヨシノ

 試運転のついでにちょっとしたお使いを頼まれた。背の高い竹林の中、少しだけ開けた道を進んでいく。ブースターや足回りのローラーの調子は良好で、竹が作り出す影が機体の表面を流れていくのが感じられる。


『調子はどう?』


「最高です。今までよりも調子いいかも」


『そりゃあ良かった。今向かってるはこの前の戦線とは方角が違うから安心していい。山を越えたら目的地の修理屋があるから通信はこのままで進んでくれ』


会話を終え、GPSの共有を残したまま進んでいく。手前のサブモニターには残り20キロと山道の地図が表示されている。そんなに狭い道ではなく舗装もされているものの、視界の悪い道を程々の速度で進んでいく。この星に来て早10日、これまで通った星々の中では比較的過ごしやすい気候だが、それなりに広い為か近所の建物への移動が山一つ分だったりするのは少し面倒くさいと感じる。とはいえ、機体を改造してもらった手前何もしないというのは申し訳ないのでこうして大人しく機体後方にパーツケースを括り付けて配達をしていた。そうこうしていると下り坂になり、脚部を少し広げながら姿勢を低く調整し下り坂を滑り降りていく。山を下りきった先は木々に囲まれた道路の先に瓦礫を継ぎ接ぎしたような建物が一軒存在していた。見回しても他には木々と脇道がちらほらあるのみで、ナビにもその建物が目的地として登録されていた。機体を道はずれに停め、外に降りると肌寒さと澄んだ空気が肺いっぱいに広がる。愛用のコートを羽織り、デカデカと貼り付けられた“修理屋ヨシノ“の看板の下に立ち、シャッターの上がったガレージへと足を踏み入れた。


「どなたかいらっしゃいませんか?」


少し大きい声で問いかけて少し待ってみると、中から1人の青年が顔を出した。ツナギを着ており、この修理屋の関係者である事が窺える。


「まいどー。店主さん着替えてるんでちょっとお待ちください」


そう行って後ろへと戻っていき、今度は背の高いくたびれたツナギの男性を連れて戻ってきた。


「いらっしゃい、話は聞いてるよ。パーツ、見せてもらっても良いか?」


機体に括り付けていたパーツ群を下ろし工房の中へと運び込み、主人が納品物の確認をしている間、少し手持ち無沙汰になる。キョロキョロと周囲を見回すと先ほどの青年と目が合った。どうやら彼もする事がなく少々暇らしい。


「貴方は、自警団の人なんですか?」


彼が話しかけてくる。どうやら暇潰しに話でもしようという事らしい。


「いえ、私は頼まれただけで関係はあまり」


「へえ、じゃあ俺と少し似てますね」


くったくない笑顔を浮かべつつ彼は言うが、どう言うことかうまく理解出来ずに小首をかしげる。


「俺もここの従業員って訳じゃないんですよ。少し前から間借りさせて貰ってるんです。右の方の倉庫には俺の機体も置いてあるんすよ」


主人に許可を貰って店の半分を占めている倉庫に足を踏み入れ、機体を見た瞬間に目を疑った。損傷して所々パーツが外れてはいるが、特徴的な改造が施された機体。先日戦場で逸れ行方不明となっていた機体が、そこにはあった。

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