20話 ハンター試験
誤字訂正ありがとうございました!
19:00に投稿時間変更したのですがPV下がっちゃっていまいちだったので朝6:00更新に変えました!
俺たちは大国に連れられ体育館の待合所みたいな所に連れてこられた。
「すまないが確実に動ける服装に着替えてくれ。」
大国がそういうと全員腕時計みたいなのを手首につけタップする。その後全身を覆うようにゴムスーツみたいなのが装着された。
「なぁ雪。それはなんだ?」
「え、バトルスーツですよ?もしかしてノワールさん。最近街に入ったんですか?ってそんなわけないか。街ができて5年以上経ちますもんね。」
「バトルスーツか。持ってないしこのままでいいか。」
てか、大国もアメリアも説明無しでこの状況にするの中々だな…
皆んなが着替え終わったのを確認したのち大国はさらに奥へと俺たちを案内する。
そこは巨大な正方形の何もない空間だった。
鉄やコンクリートとは違うまた新しい科学の一つなのだろうと俺はテンションが少し上がってしまう。
「さて、それではノワールくん以外は全員昇格試験だな。」
「ぷっ!おいおい!お前まさかIランクの試験すらまだ合格してないビギナーかよ!」
とガラの悪い男がまた俺に絡んでくる。
「何の話かわからないな。」
「おいおい強がらなくてもいいぞ〜。恥ずかしいことじゃないでちゅよ〜。」
俺はその煽りで少しイラつき睨み返す。
するとガラの悪い男は少したじろいで後ろへと後退りしたあと真っ青な顔で
「ま、まぁ新人をいじめるのも可哀想だしな…」
と呟いて列に戻る。
その間大国もアメリアも何もしないでただ見ているだけだった。おそらく普段の行動も昇格とやらに見られているんだろう。
その後俺は端っこに座らされ彼らの試験を見守るように言われた。
ハンター試験といってもそこまで難しい何かがあるわけでもないらしくいくつかの試験を合格するだけのようだった。
まず最初に行われたのは魔力テストだった。
大国は水晶のようなものを取り出した後俺以外に触るように指示しその後ランクを言っていくシステムのようでガラの悪い男はDと判定されていた。
他二人の男はEとFだったのであのチンピラは存外人間の中だと優秀なのだろう。
そして雪の番だ。
「さぁ手をかざしなさい。」
大国が促すと緊張したような面持ちで水晶に触れる。
結果は
「冬野 雪。君はGだ!」
と宣告されショックを受けたように元の場所に戻っていく。
思ったより人間って魔力が低いみたいだな。
次の試験は身体測定のようだった。
速度、筋力を測定するらしい。
100m走、重量挙げをやるみたいだ。
それにしてもこの時代に100m走をやるとはな。
時代に逆らいすぎじゃないか?
結果としては俺が知ってるものとはだいぶ違っていた。
まず男たちだがチンピラで7.5秒。他の男は8.9秒
そして冬野 雪がなんと5.1秒という驚異的な記録を出していた。
まぁ瞬間的な爆発力だから長距離移動とはまた別なのだろうがそれでもかなりすごいのだろう。
なんたって大国が一瞬目を見開いてたからな。
重量挙げでも順位的には同じ感じだった。
てか、俺はいつやるんだ?
「アメリア~、俺はいつやるんだ?」
「あはは...大国さんが言うにはあの子たちの結果が出た後にやらないと施設が壊れるかもしれないからと...」
「じゃあ結構待つんだな。」
「申し訳ないです。タバコも吸ってて大丈夫なので...」
俺はそれを聞いてにこにこでタバコを吸い始める。
最後に行われるのは疑似モンスターでの戦闘訓練だ。
このこれらの試験のすべての総合結果で昇格試験の結果が出るらしい。
最初はあのチンピラの番だ。
「よし君の相手はこれだ。」
そういいながらその場にデータ情報みたいな文字の羅列が空中に現れそれがだんだん実態を帯びていく。
それは豚の頭を持った人間のような姿になった。
「へぇ!オークジェネラルか!俺の昇格試験にはちょっとものたりねえな!」
そう言いながらチンピラはでかいハンマーみたいな武器を持ってオークジェネラルに突っ込んでいく。
「玉砕破!!!」
と叫びながら前進を赤く光らせ相手のおなかに叩き込む。
そのままオークジェネラルはぶっ飛んでいき壁に打ち付けられる。
「ふん!このくらい余裕だな!!!」
チンピラが余裕ぶっていたがオークジェネラルが立ち上がって襲い掛かってくる。
そのままオークジェネラルは包丁のような大剣を振りまわす。
最初はよけていたチンピラも次第にきつくなり息切れもしている。
最後には相打ち覚悟で攻撃を放ちハンマーでオークジェネラルの頭をぶち抜いて終わる。
チンピラは息切れしていて正直余裕がなさそうだ。
「油断するのが君に悪い癖だな。今のも目を途中で放すことをしなければ問題なく対応できたはずだ。しっかり励みなさい。」
「はぁ...はぁ...わかりました...」
その後の二人はゴブリンキング相手で割とそつなく戦闘もこなしていた。
おそらく将来的にはチンピラよりは強くなる気がする。
そして最後は雪だ。
出てきた敵はチンピラと同じくオークジェネラルだ。
雪は俺と同じく侍なのか刀を持っている。
「ごめんなさい...モンスターさん...」
雪は疑似モンスターになぜか謝罪をしている。
「抜刀術...『雪花』」
雪がそう呟いて瞬間一瞬手が動いたかと思うとオークジェネラルの動きが止まる。
チャキン...
刀を鞘に納めた音が聞こえたかと思うとオークジェネラルは形を崩しみじん切りになっていた。
「素晴らしい技術だ。文句なしだな!!!」
「あ、ありがとうございます!」
雪は嬉しそうにぴょこぴょこしている。
「アメリア。今のはアーツじゃないよな?」
「えぇ、アーツはスキルとして使用されていますが実際は動きの補助ですからね。彼女はそれを使用しないで使える数少ない才能の持ち主です。もう少し魔力が高ければSランクも狙えると思いますよ。今は魔力のせいでCランクどまりですが...」
「へぇ、あれでねぇ...」
大国が受験者たちに何か話したかと思うと俺に向かって声をかけてくる。
「すまないノワールくん!彼らが君の実力も見てみたいと言っているんだがどうだろうか?」
「あぁ、別に構わないぞ。俺は心が広いからな。」
「助かるよ。それじゃあさっきのやつを一個ずつやっていくことにするよ。」
まず最初は魔力測定だ。
「これに手をかざしてくれ。」
俺が水晶に手を近づけると水晶がカタカタと震え始める。
「これは触って大丈夫なのか?」
「あ、あぁ!壊れることはないから安心してくれ!」
俺はそれに触れた瞬間黒い光が水晶から溢れ一瞬で粉々に砕けてしまった。
「ほ、ほう...困ったな予備は持ってきてないんだがな...よし!結果は測定不能だ!!!」
そこでチンピラが声を上げる。
「おいおい!!!どんな手品使ったんだビギナー野郎!!!」
俺はそれを聞いていい加減うざくなり王威圧を発動する。
その瞬間俺以外の人間が動きを止める。出力範囲の設定ができないのか大国や雪も巻き込んでしまってるがひとまず放置だ。
「おい。人間...」
「ひ、ひぃ...」
「今回俺はいいものを見て気分がいいから殺さないでおいてやる...だけどこれ以上俺に絡んでくるつもりなら言葉はしっかり選ぶようにな?じゃないと...手が滑って殺しちゃうかもしれないからな。」
俺はチンピラの顔の横にデコピンをする。
その瞬間黒い閃光が走り、地面から壁にかけ一直線に削り取られた。
その後俺は王威圧を解きアメリアが俺に向かって駆け寄って頭を下げてくる。
「す、すみません!気分を害されてしまったのは重々承知ですがなにとぞ今回は彼を許してあげてください...!」
「あぁ、構わないさ。俺は今日気分がいいからな。」
俺は体を少し伸ばした後、こう続けた。
「おっさん。試験の続きをやろうか。」
「あ、あぁ。次は身体測定なんだが...これを見るとな...施設を壊さないように加減しながらでもできるか?」
「俺はまだ全力出したことないからな...とりあえず気を付けてみるよ。」
俺はその後100m走と重量挙げをやったがこれも結局測定できないまま終わってしまった。
いやわかるよ。文章にするとほんとに一瞬の出来事過ぎてあれなんだけど本当に一瞬だったんだよ。
そして最後に例の模擬モンスターとの戦闘だ。
「さすがに君にオークジェネラルとか出しても申し訳ないからね。君には人類が観測した中で一番強いであろうモンスターでテストさせてもらうよ。今回は簡単にいかないかもしれないが頑張ってくれ。武器は何を使うんだい?」
「あぁー、そうだな。せっかくだし刀でも借りるかな。」
「おや、使えるのかい?」
「いや、今日初めてだ。」
「そうなのか...まぁ君は魔力があるし危なくなったら魔法を使うのも大丈夫だからな安心してくれ。」
俺は刀を受け取ってからちらりと雪を見る。
雪は不思議そうに俺の顔を見つめている。
俺はそれを見てつい笑みがこぼれる。なぜなら俺を見つめる顔が姉に似ていたからだ。
「さぁ!君の相手はこいつだ!」
そして俺の前に現れたのは鎧姿の岸のようなモンスターだ。
『あぁ、デュラハンですね。マスターにとっては雑魚も同然ですね。」
急にしゃべったな。それにしてもデュラハンか。漫画なんかだと強いイメージあるけどな。
『実際のデュラハンよりは弱いみたいですが人類にとっては少し苦労する相手なのかもしれませんね。』
俺はそれを聞いた後、ふっと息を小さく吐いた後刀を構えてさっきの雪の動きを真似してみる。
「確か...抜刀術...『雪花』だったな...」
俺はそう呟いた後、刀を音速で振る。
その後刀を鞘に戻す。
金属がぶつかり合った音が部屋に木霊する。
その後デュラハンはミクロ単位で体が分解され虚空へと消えていった。
「思ったより簡単だったな。大国これでいいか?」
「あ、え、あぁ...まさかここまでとはな...」
俺がさっきの動きを頭で改善しようと考えてると雪が俺に近づいてくる。
「さっきのは『雪花』ですか?」
「あぁ、同じやつを使ってみた。」
「あれは同じじゃないです...免許皆伝の師匠たちが使う『真雪花』ですよあれ...なんであなたが使えるんですか!」
「いや、なんで言われてもな。見たからだな。」
「ま、まさかあなたも私と同じ流派なのですか?」
「いや、俺は刀を使ったのは今日が初めてだ。」
「で、ではさっきのは」
と雪が何かを話そうとしたときアメリアが間に入ってくる。
「すみません。雪さん。彼はもうそろそろ次の場所に行く時間ですのでよろしいですか?」
「あ...すみません...ノワールさんも引き留めてすみません...」
「あぁ、まぁいいぞ。なんかあったらアメリアを使って俺に連絡してきな。アメリアもいいか?」
「えぇ、かまいませんよ。」
「あ、あ、あ、ありがとうございます!!!」
雪はお礼を言った後紙に番号を書いてそれをアメリアに渡す。
アメリアはそれを受け取った後、俺に綺麗な笑顔を向けて外へ出るように促す。
俺たちは先に二人で試験部屋を出て行った。
~アメリアの心の声side~
私はつい最近けがが原因でSランクハンターを引退した。
そしてハンター協会の会長である大国さんにお願いされて私はもともと協会で事務作業をしていた。
そんなある日とある人物の秘書をやってほしいと頼み込まれた。
話を聞くとその人物は最近外の世界から帰ってきたばかりの人間かもわからない人物らしい。
私は最初断ったが私以外にできる人がいないとしつこく頼み込まれたのでお願いを基地絵あげると詳しい話をされた。
なんとその人物は男でしかも悪魔らしい。人間で悪魔を選択できたというのも驚きだがさらに驚いたのはなんと若手で今実力を伸ばしているSランクハンター五十嵐 茜と自警団副団長の春野 夏美と契約した悪魔らしい。つまり彼女たちがずっと探し求めていた人物が彼だというのだ。
名前はノワール・ルシフェル。なんとも作り物のような名前だ。
彼と最初会ったとき私は圧倒されてしまった。
この世のものとは思えない美形で儚げな青年が出てきたのだ。
白くサラリとした髪の毛、赤く光る眼光、体中に走る魔力痕、ミステリアスな雰囲気を強調するような黒い和服。
正直目を奪われてしまったが私は仕事を全うするべく出来るだけ冷静を保てるように車に乗るように案内する。
どうやら最近街に来たというのは事実のようで本人は気づいてないだろうが目をキラキラさせながら街のあらゆるところを見ている。
それにレアスキルも持っているらしくアイテムボックスを持っているらしい。
口約束も契約になると脅されたが彼なりのジョークらしい。少しキモが冷えたがばれていないだろうか。
スマホや食事にはあまり興味無いみたいで彼が好きなのはタバコらしい。今度メモをしておこう。
大国に言われて彼には何も言わずハンター昇格試験に連れてきたがいいのだろうか...
どうやら杞憂だったらしい。
絡んだあのチンピラは哀れだった。離れているのに元S級ハンターの私が動けないほどの威圧をあの距離で受けてしまったのだから...
それにまさか冬野一族の刀術をまさか見ただけで使えるとは...どこまでも規格外なのね...
あら、雪さんノワールさんに少し近いわね。
彼の家に早く案内して引きはがさないとね...
追記 日々ご愛読いただいております読者の皆様へ
大変ありがたいことに誤字訂正やブクマなどの通知が来ており大変うれしい限りです。
ですがもうしわけないことに仕事の都合で金曜日まで更新するのが大変難しいので土日で一気に更新させていただきます。
出来上がり次第の投稿になりますので時間帯にばらつきも出るかと思いますがないかとご容赦いただきますようよろしくお願い申し上げます。