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この世界にダンジョンが訪れた日  作者: よんふぁ
第一章 崩壊した世界
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18話 10年後の世界

俺は襲い掛かってきたやつらを引きずりながら猫の女の案内のもと地上を歩いて壁の向こう側を目指す。


「あの壁何て名前なんだ?」

「あ、あの壁に名前はないですにゃ...あの中に町があるからそこには名前がありますにゃ...」

「なるほどな。てか、お前急に語尾に変なのつけてなんだ?」

「殺されないように媚びを売ってるのにゃ...」

「それをはっきり言うんだな。馬鹿な猫だ。」


俺たちはそんな話をしてるとやっと入り口が見えてきた。

何やら結界のようなものが張ってあるようでなんか不思議なバリアみたいなのがある。

ついでに門番みたいなのもいる。こいつらよりは強そうだ。


「つ、着きましたにゃ...」


猫が入り口で入場手続きをしてくれる。

門番はちらりと俺を見た後、


「個別で対応したいのでご同行お願いできますか?」


と、俺に声をかけてくる。

俺は心よく受け入れてあげる

ゲートの間に横道がありついてくるように指示された俺は少し臭い通路を歩かされる。

しばらく進んだ後門番は立ち止まり俺に向かって、


「ここに入ってください。」


門番が指さしたのは牢屋のような部屋だ。しかもぼっとんトイレでそれなりに臭い。


「ほう?俺にこの部屋に入れと?」

「素直にご協力いただけると助かります。あまり手荒なことはしたくないので。」

「お前ごときになにができるかわからんがまぁいいだろう。」


俺は牢屋に入ったことなどもなく少し面白そうだと思い入ってあげることにした。


「ところで俺は何の罪で収容されてるんだ?」

「理由としては不穏な魔力の中心に居たこと、素性がわからないこと、それとハンター達に危害を加えたことです。」

「ふーん。なるほどな。」

「すみませんが手を出してください。」


俺はそう言われて手を鉄格子の隙間から出すと手かせを付けられる。


「これは?」

「魔力を使えないようにするためのものです。S級ハンターでも壊すことができないものなので壊そうとしても無駄です。」

「へぇ...」


俺は完全鑑定で手枷を見てみる。


魔力封じの手枷:Sランクまでの魔力を封じることができる手枷


「へぇ、本当にSまでなら出来るらしいな。」

「はい。それではこれからいくつか質問しますのでお答えしていただければ幸いです。答えたくないことは答えなくていい黙秘権が認められています。それでは質問させてもらいます。」

「はいはい。どうぞ。」

「あなたのお名前は?」

「ノワール・ルシフェル。」

「外国人ですか。年齢は?」

「年齢?さあな。俺の記憶だと22歳だったはずだが。」

「ご自身の年齢があやふや...と...では次にあなたは人間ですか?モンスターですか?」

「ふむ、面白い質問だな。知能のある生命体として定義するのであれば人間だがステータスとしての話をするなら俺は人間じゃないな。見た目じゃわからないかもしれないが俺は悪魔だ。」

「いえ、見た目でわかりますよ。姿形は似ていますがわかりますよ。何と言いますか人間の形はしてるけど人間ではない感じです。」

「そうなのか。目覚めたばかりで俺も自分の姿を見てないからしらないんだよな。」

「写真でも撮ってみせてあげましょうか?」

「お、いいのか?お前親切だなぁ。」

「いえ、これくらいはかまいませんよ。」


そういいながら男はポケットからスマホを取り出す。俺はスマホを見て目が点になる。


「スマホ...?ま、まさか使えるようになったのか!?」

「え、えぇ。知らない人はいませんと思いませんがあの日から今日にいたるまでの間にインフラは新しい形で復活しましたから。」


そういいながら門番が写真を撮って俺に見せてくれる。


「これほんとに俺なのか?」

「あぁ、君だね。」


俺は写真を見て言葉を見て言葉を失う。

まず、顔だ。自分でいうのも胸が痛むが俺は別にイケメンではなかった。むしろ普通の顔だった。だがそれが真〇佑みたいなイケメンな顔になっているのだ。いや、まぁこれだけならうれしいのだが髪は真っ白になり目も変わり白目が黒色に黒目が赤色に変わっている。前夏美と契約したときみたいな目になっているのだ。そして一番は俺の体に広がる黒の入れ墨のようなものだ。写真だけじゃわからないがおそらく背中などにもあるのだろう。いやかっこいいんだけどさ!?けど入れ墨は姉さんが落ち込んじまうよ...

それにしても中々イケメンで幻想的な雰囲気でいいな。


「すみません。そろそろいいですか?」

「あ、すまんすまん。つい新しい人間の文明に感動してしまってな。」

『感動してたのは自分の顔だった気が...」

無視だ無視。

「ところで俺はどのくらいでここから出れるんだ?」

「これから報告書を書いて上にあげるのでわかりませんがあなたに危険性がないと判断されるかあなたの知り合いが見つかり次第ですね。あまり出れる期待はしないほうがいいかもしれません。」

「ほう?あ、じゃあこの街にいるかはしらんが俺の知り合いの名前伝えたらそいつ探してもらったりもできるのか?」

「機関としてそういったことをするのは難しいでしょうが一応上にも伝えてみましょう。」

「じゃあ、『五十嵐 茜』か『桜井 夏美』のどっちかで頼む。」

「あなた...本気ですか...?」

「は?なんか悪いのか?」

「い、いえ。ほんとにそのお名前でいいのですか?」

「あぁ、よろしく頼むぞ~」

「わ、わかりました。」


門番は、まじかという顔をしながら来た道を戻っていく。俺は何であんな顔されたのか全く意味が分からない。


「それにしてもこの手枷とかいうおもちゃ壊したらダメなんだよな...」

『そうですね。こわさないほうがいいと思いますよ。』

「それにしても今の世界は話聞いてる限り最高ランクがSらしいな。」

『ですね。』

「俺のステータスってやっぱ異常だよな。使い方間違えないようにしないとな。」

『しかしマスター。今はハンターという仕事があるみたいですね。』

「あぁ!それな!めっちゃおもしろそうだよな!最高だな!俺もあいつらに会えたらまともなダンジョンの探索とかしてみたいな!」


俺とハナはしばらく未来の話をして楽しんでいた。



また人が来たのはそれから三日が立ったころだ。

それまでご飯の配膳などはロボットが持ってきてくれていたのだがこの体になってから全くおなかが減らなくなったので俺は食べないでいつも片付けてもらっていた。


「すみませんね。何日もこんなところに閉じ込めてしまって。」

「いや、良い。」


俺がこの三日間ただ暇をつぶしていたのではない。

俺はいかに悪魔っぽく喋れるかを研究していたのだ。


「申し訳ありませんがこれから審問会に出廷していただきますのでついてきてください。手枷はそのままになりますがご理解ください。」

「審問会?なんで俺がそんなものにでなきゃいけないんだ?」

「そうですね。あなたが知り合いとして出した名前に問題があります。」

「問題?」

「はい。あの名前を出していたお二人はS級ハンターとして活躍されている茜さんと自警団副団長を務めている夏美さんです。このお二人は7年前から今日にいたるまでとある人物を探しているようなのですがそれを利用して不法侵入を試みる輩が非常に多くてですね。対策として本人たちしか知りえない質問をして本人か試すそうですよ。質問の内容などは私も知りませんが。」

「なるほどなぁ。まぁあいつら可愛かったしな狙われちまってんだろ。」


俺はそれを聞いてなぜか理解ができたのでここでも素直についていくことにする。

俺はそこでようやく町に入ることができた。町並みは昔の東京に似ているが乗り物などに驚きを隠せない。まず車はタイヤがなく近未来的な車になっているのだ。それにいろいろな種族の人間がいる。正直脳みそがバグるような光景だ。


「ここまで復旧するなんて人間は本当にすごいな。」

「えぇ、これもマーリン様の研究のおかげですね。到着しました。ここが目的地です。」


案内されたのは白塗りの建物でいわゆる裁判所のような場所だった。門番の案内のもと中に入っていく、

そのまま廊下を進み突き当りの左の部屋を開ける門番。扉には審問室と書いてあった。

中に入るとそこには見たことないおっさんが一人で椅子に腰かけ待っていた。

俺に用意されてる椅子はパイプ椅子なのだがおっさんの座っている椅子は黒塗りのふわふわした高級感ある椅子だ。


「君がノワール君だな。座りたまえ。」

「そういうおっさんは?」

「すまない。私は大国 健二(だいこく けんじ)だ。今回の審問を担当する。」

「へぇ、マスター達じゃないのか。残念だ。」

「なるほどな。探してる人物が契約者というのは知っているようだな。さっそくだが審問を始めさせてもらおう。」

「あぁ、かまわんよ。」

「では、君は契約したそうだが契約したときに体に出るものはなにかわかるか?」

「紋章だろ?」

「正解だ。では紋章はどこに出る?」

「確か茜は手の甲で夏美は目に紋章をつけてやったな。」

「なるほどな...では君たちが最後にいたのは?」

「名前は知らないが近くにあったピラミッド型のダンジョンだな。」

「.....いろいろ質問してすまなかったな。これからは自由の身だ。その手枷も外させよう。」

「いや、自分で取るから問題ない。」

「どうやら説明不足だったようだな。その手枷は魔力封じの手枷と言ってSランクの魔力を持っていても...」


と、おっさんが話している途中で俺はわざと魔力を使って影で手枷を切断する。

それを見ておっさんは愕然とした表情で俺を見る。


「どどどどど、どうやって魔力を使ったんだ...?」

「企業秘密だ。あまり気にするな。」

「と、とりあえず近々ハンター協会から呼び出しはさせてもらうがしばらくは自由にしていていい。しかしできれば街からはでないようにしてもらえると助かる...」

「ふーん。まぁ、今日は気分がいいから言うとおりにしてやるよ。」

「あぁ助かるよ。それと外に君付の秘書を用意させておく。街のことなどは彼女に聞いてくれてかまわない。」

「あぁ、わかった。とりあえず美味いたばこでも探しに行くとするわ。」


俺はそう言いながら手をひらひらと振り審問室から出ていく。

新しくなったこの世界を見るのが楽しみだな。




~大国side~

「はぁ...とんでもない化け物だな...」

部屋を出た後私はついボヤいてしまう。

最初彼が部屋に入ってきたときは魔力を全く感じなかったのにまさか魔法で手枷を壊してしまうとはな...


私は書類を見てため息をこぼす。

書類には彼のことが書かれていた。


XX/XX 報告書

綺麗な白髪に端正な顔立ち。

しかし目や体に刻まれた魔力痕が膨大な魔力を証明している。

不穏な魔力を感知後すぐに現場に急行したところ漆黒の羽を生やした容疑者と接敵。

警告後、陣形Aで戦闘を試みるも物理、魔法ともに効果なし。

その後デコピンで武具を破壊したのちとてつもない威圧で制圧されてしまう。

しかし負傷者なし、死亡者なしであり手心を加えられた模様。


XX/XX 門番からの報告書

容姿などは省略

こちらに対し非常に協力的である。

手枷も本人協力のもとすんなりと着衣。

牢屋に収容している間定期的に一人で何かを喋っており精神的に不安定な可能性有

言語理解などは問題無し。

しかし、今の時代に対しての常識はあまり無い模様。

スマホに対し異常なほどの感動を示す。

また、かなり気分屋と思われる。


「まったく嫌になるな。彼がモンスターならこの世界はとんでもないことになるぞ...彼女たちが戻ってきたときに問題がなければよいのだが...」


私は胃が痛くなる思いをしながら水はいっぱい一気に飲み干しネクタイを直した後部屋を出る。

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