15話 状況整理
契約を終えた俺たちはまだ屋上に居た。
喧嘩する二人を横目に俺は今後のことを考えていた。
しばらく考え込んでると茜たちに声を掛けられる。
「ノワールさん大丈夫?」
「ん...?あぁ、大丈夫だ。脱出のこととその後どうするかを考えてただけだ。」
「ノワール...心配性...?」
「いやここから出る不安はない。どちらかというと今後のことがメインだな。最悪屋上から飛んで逃げればいいから脱出のことはあまり心配してないんだ。」
「ノワールさん最近移動もずっとふよふよしてますもんね。」
「私...見てない...ずるい...」
「ずるいってなんだ...まぁともかく今後のことだな。力になってくれそうな人に聞いてくるから少し待っててくれ。」
「近くに...いるの...?」
「まぁ、そんな感じだ。なんかあったら取り合えず生き残ってくれ。」
俺はそれだけ言い残し羽を生やして空高く真上に飛んでいく。
屋上が見えなくなったころに俺はハナに声をかける。
「ハナ。」
『はい。なんでしょうか?』
「俺たちはどう行動するのがいいと思う?個人的にはダンジョンに行きたいんだけど。」
『ダンジョン内のモンスターは経験値だけでなくアイテムもドロップします。これからの生活の必需品でなるであろう魔石もそれなりの数は確保できますのでいい案だと思います。しかし夏美と茜はそれほど強くはないのでマスターが守りながらレベルを上げて進む必要があります。』
「魔石が必需品になるのか。どういう風になるんだ?」
『これからの新しい自然エネルギーとして活用されるはずです。すでに動き始めている人間もいるでしょう。』
「なるほどな。少し多めに集めておいたほうがいいのか。それと契約相手は俺に不利になるような情報ってしゃべってしまうもんなのか?」
『しゃべらないことにお互いが同意すれば大丈夫です。』
「そうか。わかった。毎回ありがとな。助かってるよ。」
『...いえ、スキルですので。』
ん?なんか今間があったような...
『いえ、ありません。』
「そういや思考もいまわかる状態にしてたんだったな。」
まぁハナからいい情報も聞けたし聞いた話をもとにとりあえずさっさと脱出してダンジョン潜るか。
「今すぐ行きたいがどうするか...とりあえず降りてから決めるか。」
俺は上空から急降下し地面が見えてくるタイミングで急停止しそのまま降り立つ。
どうやら二人は俺が話してる間避難所の中に戻ったらしくすでに屋上には居なかった。
俺はとりあえず二人を探すべく避難所の中を探し回ることにした。
俺はいつもの崇拝をされながら施設内を探し回る。
二人は意外とすぐに見つかった。ショッピングモールの駐車場で初日に襲い掛かってきたあの問題児の不良たちに絡まれていた。俺はそれを見て羽を生やして悪魔感満載の見た目で近寄る。
近寄ると不良たちはすぐ
「ちっ...もう来たのかよ。おい!行くぞ!」
と、悪態をついて離れていく。
そして茜がその場にしゃがみ込む。俺はそれを見てすぐに駆け寄り声をかける。
「大丈夫かマスター。」
「は、はい...すみません。ちょっと力が抜けちゃって...」
「なんであんな状況に?」
「前...ノワールにやられてたの...気にしてみたい...なんか俺のものに...なれって...」
「まじか...どうする?今から殺してやってもいいが。」
「い、いえ大丈夫です!どうせすぐここからすぐ出るんですから!」
「そうか。とりあえず中まで運んでやる。」
俺はそう言いながら茜をお姫様抱っこする。
「え、ち、ちょっと!重いですよ!?」
「いや、まったく重くないから安心しろ。むしろもう少し飯食って筋力をつけるべきだ。」
「よかった...ですけど...」
「茜...顔真っ赤...ぷぷぷ...」
「う、うるさいよ夏美!」
この空気になれるのか自信がないな...
俺たちは寝室で飯を食いながら会議することにした。
話は俺から切り出した。
「それでこれからの動きなんだが俺に提案がある。」
「はい!どんなのでしょう!」
「ここから出たらダンジョンに行こうと思う。」
「それは...どうして...?」
「いい質問だなマスター。いや、マスターだとどっち呼んでるかわかりづらいな。夏美様にしておくか。キャラは大事だしな...で、どうしてかだったな。それはなレベル上げと魔石集めのためだ。」
「レベル上げは...わかるけど...魔石...?」
「あぁ、魔石はこれからの自然エネルギーの代用品になるからな。少し先の話はなるがズバリ金になる!!!」
「あはは...そうなんですね...えっと、それはわかりましたが疑問です。なんでノワールさんはそんなこと知ってるんですか?」
「あぁー、親切な友人が教えてくれた的な...?」
「的なってなんですか!はぐらかさないで教えてください!」
「じゃあこうしよう。お互いステータスを見せ合おう。けどお互いに俺たち以外にはステータスのことを話さない。これを破った場合契約違反になる。」
「別に...問題ない...」
「私もそれで大丈夫です!」
「じゃあ俺から見せるか。」
名前:荒田 翔
年齢:22
種族:悪魔族
LV:7
職業:侍
称号:原初の悪魔
HP:+H
MP:+H
通常スキル:隠密 不意打ち 鑑定 索敵 闇魔法 危険察知 身体強化 棒術 噛み付き 威圧
特殊スキル:明鏡止水 拳王
固有スキル:吸収 アイテムボックス 支配の魔眼 石化の魔眼 悪魔返り 魔の探求 ドラゴンブレス
ステータスは他人にも許可を出せば見れるようで二人は俺のステータスを見てしばらく黙り込む。
「な、なんなんですか!?このステータス!?スキル多すぎませんか!?それに侍!?刀使って無くないですか!?ていうかあの強さでレベル7なんですか!?」
「突っ込みどころ...多い...私の一番...疑問...名前が日本人...どうして...?」
「夏美の先にこたえるが実は俺は地球人なんだ。しかも普通のな。この前まで普通にサラリーマンをやっていたんだ。それとステータスだけど俺はほかの人のを知らないから高いのか低いのかもよくわかってないんだ。」
「日本人...驚き...見た目...人間じゃない...」
と、無表情のまましゃべり続ける夏美。そしてわなわな震える茜。
「こ、これが私のステータスです!多分これが人間の平均ですよ!?」
名前:五十嵐 茜
年齢:17
種族:人間族
LV:1
職業:剣士
称号:黒との契約者
HP:I
MP:I
通常スキル:剣術 加速
武技スキル:スラッシュ
「これはどういうことだ...?俺のレベル1の時よりもだいぶ弱いぞ...」
「で、ですからこれが普通なんです...」
「悪魔...だから...?」
「俺は自分以外の人にあったのはここが初めてだからな。」
「これ...私の...ステータス...」
名前:桜井 夏美
年齢:17
種族:竜人族
LV:4
職業:大剣使い
称号:黒との契約者
HP:+I
MP:I
通常スキル:大剣術 危険察知 簡易鑑定 隠密
特殊スキル:竜の咆哮
固有スキル:ドラゴンブレス 竜化
「夏美様も結構強くないか?」
「ぶい...」
「わ、私だけレベル1なんだ...」
「ダンジョンがどんなもんかわからないがモンスターもいっぱいいるしすぐに強くなれるだろ。」
「で、ですよね!」
「ところでお前ら。この称号なんだ?なんでわざわざこれを設定したんだ?」
「これ以外...称号が..ない...!」
「あ、私もそうです。というか自分で選べないです。」
「は?タップしたら自分の持ってる称号一覧出てこないか?」
「えっと、出てこないですね...」
あー、つまり称号の付け替えを自由にできるの俺だけなのか。
「こ、これもほかの人には言わないようにしてくれな...」
「ん...わかった...」
「まぁとりあえず戦力分かっただけでもいいとするか。今日の夜には脱出するから荷物だけはまとめておいてくれ。俺は煙草を吸ってから行くから。」
「わ、わかりました!」
「りょうかい...」
どうやら俺はこの世界でもかなり異端の存在らしい。称号のはてなもよくわかってないしな...
ダンジョンに行けば何かわかるような気もするが無事に帰れるのだろうか。
俺は妙な胸騒ぎを感じながら煙草に火をつけて煙草を吹かした。
昨日からなのですが毎日更新の代わりに一日1話ずつ投稿していく形にしました!
少しずつ読んでくださる方も増えているみたいでうれしい限りです!
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