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この世界にダンジョンが訪れた日  作者: よんふぁ
第一章 崩壊した世界
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12話 少女たちの再会

二階のフードコートにはかなりの人数がいた。

老若男女関係なく集まっているようでざっと50人ほどだろうか。

この人数分の食料を提供するというのは中々気が滅入る。俺の食料がすぐなくなってしまいそうだ。

集まった人たちは俺の様子を見ておびえているようだったがユウジが


「みんな!この方はノワールさんだ!茜と契約した悪魔だから暴れたりしないから安心してほしい。それにこの方が食料も持ってきてくれたんだ!」


話を聞いておびえていた人々が少しずつ安堵の表情に変わっていき次々にお礼を言ってくる。

俺はその声を聴きながらアイテムボックスからおにぎりやサンドイッチ、水などを取り出していく。


ユウジはそれなりに手慣れているようで人々を整列させていく。先頭から順番に渡していくがみんな

「ありがとうありがとう」と口々にしていく。

この世界が崩壊してからそんなに日にちは経っていないがそんなに食糧に飢えていたんだなと思うと少しかわいそうに思える。

俺は、


「感謝するならマスターに感謝してくれ。俺はただ頼まれた仕事をこなしているだけだ。」


ととりあえずかっこつけてみる。茜のほうをちらりと見ると照れくさそうに夏美の手を握っていた。

そういや俺が学生の時にも手をつなぐ女の子はいたが時代が変わってもそこは変わらないんだな。


「マスター、俺はこのまま食料配給をしているからそこの少女と話しててくれ。しばらくしたらそちらに合流させてもらう。」

「ありがとうノワール!」


そして夏美と呼ばれていた少女も俺に頭を下げて二人は離れていく。

それにしても人数はともかく食べ盛りのやつもいるみたいだししばらくここを離れるのは難しそうだな。




体感1時間くらいが経過した後、俺はとあることを考えていた。

配給していた時に聞こえてきたのだがこの世界が崩壊してからすでに2週間は経過しているらしい。

しかし俺の体感は三日目くらいだ。


「うーん。数時間経過して目が覚めたと思っていたがどうやら違うみたいだな...」

とひとり呟きながら茜たちのもとへ行き声をかける。


「すまない。話はある程度落ち着いたか。」

「は、はい!ありがとうございます!えっと、この子は私の親友の夏美って言います!」

「夏美...です...お願いします...」


夏美は少し明るい茶髪にくりっとした丸い目にとにかく小柄だ。150cmくらいか?

庇護欲を掻き立てられるような女の子だ。おびえているわけではなさそうだからそれは安心だがあまり人と話すのは得意ではないのだろうか?


「俺はノワール。見ての通り悪魔だ。そこのマスター...じゃなくて茜と契約した。」

「はい...ある程度お話は聞きました...茜に何があったのかも...」

「そうか。今回の契約内容は『避難所に取り残された私の親友を連れ出すのを助けてください』って内容だ。どうするかは決めたのか?」

「それなんですけど...私は...個々の人たちを残して出てしまって...いいのでしょうか...?」


夏美はかなり悩んでいるようだ。俺としては別に本当に契約しているわけではないからどっちでもいいんだけどな。


「まぁ、俺としてはどちらでもいい。」

「夏美...?心苦しいとは思うけどこのままここに残っても危ないだけだよ...?」

「もう少し...考えさせて...?」

「うん...わかった。決まったら教えてね。」


夏美は「ん...」と返事した後俺たちから離れ二人きりになってしまった。


「もしあの子がここから出ていかない選択をしたらどうするつもりなんだ?」

「そうですね...荒田さんにお願いして無理矢理にでも連れて行ってもらいます...!」

「いいのか?」

「もしかしたら怒られちゃうかもですけど...それでもです!」

「まぁお前がそれでいいならそれでいいんだ。」


俺はまた頭をなでながら肯定する。

茜は目を細めながら素直に撫でられてくれる。


「あぁ、悪い。クセでな。」

「い、いえ!別に嫌ではないので!クセってことは妹さんでもいらっしゃるんですか?」

「いや、妹じゃなくて姉だ。年上だけどよく甘えてくるせいでな...。」

「お姉さんでしたか....一緒に行動はしてないんですか?」

「北海道にいるからな。まだ再会してないんだ。」

「あ、すみません...」

「いや、気にするな。こんな世界だしな。てかもうこの世界になって二週間も経ってたんだな。そんなに立ってないと思ってんだけどな。」

「多分15日くらいは経過してると思います!」

「ふむ...」


おそらく俺の種族変化のタイミングで死ぬほど意識失ってたんだろうな。


「もしかしたらしばらくここに滞在することになるかもしれないのでその間荒田さんはご自由にしてもらって大丈夫なのですがどうしますか?」

「あぁ、一応あの男たちの件もあるししばらくは一緒に行動するよ。」

「あ、ありがとうございます!一緒にいてくれると安心出来ます...!」


こいつ俺のこと人間の男だって忘れてないか?

『いえ、単純に異性として興味を持たれてないのかと思われます。』

失礼なスキルだな。


「とりあえず施設内を回って間取りを把握しておきたいから案内をお願いしていいか?」

「はい!わかりました!任せてください!」


いきなり戦闘になったときなんかは危ないからな。

俺は茜の案内のもと施設内をゆっくり見て回ることにした。

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