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この世界にダンジョンが訪れた日  作者: よんふぁ
第一章 崩壊した世界
12/23

11話 避難所の現状

俺と茜ひとまず服装を整えることにした。

なぜなら俺は今上裸で茜は服がボロボロで目のやり場に困るからだ。

家を探索すると家主のものなだったのか女性用の和服と男性用の和服が見つかる。

別々で着替えた後合流し俺たちは今後の動きについて細かく話し合うことにした。


「とりあえず真っ直ぐショッピングモールに向かう感じでいいのか?」

「出来ればでいいのですが避難所には高齢者の方なんかもいて戦うのが難しい方もいます...可能なら食料品を持って帰りたいんですが...」

「なら途中でコンビニでも探索してみるか。」

「あ、ありがとうございます!」


しかしそれはいいとして俺は個人的に問題を抱えている。

それはモンスターに間違えられてしまう可能性があるということだ。

俺の見た目はかなり悪魔よりなようで茜の怯えぶりを見ていると大丈夫なのかと少し不安になる。


「ところで俺の見た目ってどんな感じだ?」

「えっと...肌が灰色っぽくて目は金色で髪は白で人間っぽい見た目はしてるんですけど悪魔ってすぐわかるので最初はかなり怖かったです...」

と、彼女は申し訳なさそうに目を伏せながら俺の見た目を説明してくれる。


「なるほどな。俺このままの見た目で避難所なんか訪れても大丈夫なのか?」

「ど、どうなんでしょう...」

「もしなんかあったら最悪使い魔ってことにしよう。名前もノワールにするよ。日本人の名前だと変だからな。」

「わ、わかりました...」

「よし、それじゃあ行くか。」

「はい!」


確か、ショッピングモールの途中にコンビニとかは何件かあったはずだ。

とりあえずそこを目指そう。


道中変わったモンスターなども現れることなく見えた敵は俺が適当に魔法で殺していた。

本当は吸収もしたいが茜がいる手前中々使えず死体はそのままにしている。


「あの...質問なんですが、さっきから敵を倒してるのは魔法ですか?」

「ん?その通りだ。最近使えるようになったんだけど結構便利でな。」

「その...どうしてもうこんな不思議な力を使えるんですか?」

「あ~、まぁ修練の結果だな。」

「そ、その私も使えるんでしょうか...?」


茜はきらきらした目で俺に尋ねる。


「さあな、別に俺もそんなに詳しいわけじゃないしな。ステータス画面に魔法が書いてたら使えるかもしれないな。」

「あ、書いてます!えっと『白魔法』っていうのがあります!」

「いや、あんま他人にステータスのことは話さないほうがいいと思うぞ?」

「あ、すみません...舞い上がっちゃって...」

「まぁ、これから気を付ければいいんだけどさ。説明文読んでみなよ。」

「あ、これ説明とか読めるんですね。」


そういいながら茜は白魔法の説明文を読み始める。

てか、この子よくモンスターに殺されないで生きて残れたな。


「えっと、簡単に言うと回復とかバフを使える魔法みたいです。熟練度?みたいなのが上がると使える魔術も増えるみたいです。」

「あぁ、そういえばそんな話もあったな。まぁ今はあんまり時間に余裕があるわけじゃないししばらくしたら修練してみてもいいんじゃないか?きっと重宝されるぞ。」

「.......」

「どうした?」

「あ、いえ!なんでもありません!」


変な間があったがステータスを見ていたようだしあんまり詮索するのも失礼だろうしとりあえずおいておこう。

そして俺たちはというか俺がモンスターを殺し向かう途中にあったコンビニで食料や飲料、ついでに自分のたばこと治療品や歯ブラシなどの必需品もアイテムボックスに入れていく。

なんか容量とか特になさそうで助かるな。というかしばらくハナと声を出して会話するのも難しそうだし設定も変えておくべきだったな。


「ハナ...?」

『はい、マスター。』

「声出さなくてもしゃべれる設定にしておいてくれ。」

『承知しました。サイレントモードに変更します。」


それなりに距離も離れていたしかなり小声だったが茜が声をかけてくる。

「あれ?荒田さん何か言いましたか?」

「い、いや。なんでもないよ。」

「そうですか?」


中々地獄耳だな。まぁ今設定も変えれてひとまず安心だな。

俺は先ほど回収したタバコを吸いながら移動を再開する。



大体30分ほど歩いただろうか。目の前に目的地のショッピングモール。通称「避難所」が見える。


「よし、お友達をさっさと救い出すか。」

「はい!よろしくお願いします!」


そして俺たちは正面扉から避難所へと入っていく。

すると、扉の死角から制服を着た男の子たちがバットと木材で俺に殴りかかってくる。

「モンスターめ!」

なんて言いながら確かな殺意を持って俺の脳天を打ち抜いてくる。

俺は特によけることもなくそのまま攻撃を受けた。

すると、俺ではなく攻撃した武器が壊れた。


「いきなりなにするんだお前ら。」


俺は威圧しながら声をかけると


「も、モンスターが喋ってる!?」

「お、俺たちはもう死ぬのか...?」


などと言ってる。そしてそこでようやく茜に気づいたのか男子高校生は素っ頓狂な声を上げる。


「ユウキもヒロトも無事だったんだね...!よかった...」

と涙ぐんだ声で声をかける茜。


「茜も無事だったんだね。探索班の人たちに死んだって聞いてたけど生きててよかったよ...」

「と、ところでこのモンスターはなんなんだ?」

「あ、えっと私がモンスターに襲われてるときに助けてくれたノワールさん。なんやかんやあって主従契約してもらったの!」

「ノワールだ。見ての通り悪魔だが人の言葉は問題なく喋れるから安心しろ。」


「あ、悪魔と契約...ぶ、無事なんだよな...?」

「うん!大丈夫だよ!むしろ色々助けてくれるいい悪魔さんなんだよ!それにね?」


と言いながら三人は再会を喜んでいた。

俺は三人が話してる間することがなかったので索敵の練習がてら避難所の人間がどこで俺たちを見ているのかを魔力を込めて探ってみた。すると以外にも一階にはあまり人はいないようで二階より上の階に人が居そうだがまだ未熟なのであまりよくわからない。


そうしてると三人は話が終わったようで先ほど攻撃してきた二人が俺に声をかけてきた。


「「先ほどは失礼しました...モンスターが襲いに来たと思ってしまって...」」

「あぁ、気にするな。マスターには事前にこういう事象が予想されると話をされていたからな。」

「う、うん!」


どうやら茜はアドリブに弱いみたいだな。

イメージで悪魔ってこんな感じの喋り方だと思うがあっているのだろうか。


『どちらかというと私の喋り方に似ていると思います。』

まぁ、マネしているからな。


「とりあえずマスターに言われ食料品を集めてきたが上で見ているやつも含めて人間を集めるがいい。分けてやろう。」

「あ、ありがとうございます!」


お礼を言ったあと一人の高校生が駆け足で止まったエスカレーターを登っていく。

そして俺は茜と少し離れた場所に行き気になることを質問する。


「お前を襲ったやつらはまだ帰ってきてないみたいだな。会ったらどうする?殺すか?」

「そ、それはどうしましょう...また危害を加えるようなら私もやり返しますが...」

「まぁ、俺はどちらでもいい。マスターの意向に従うよ。」

と、からかうように俺は言う。


「ま、マスターはやめてください!恥ずかしいです!」


そういいながら彼女は恥ずかしそうに顔を赤らめ初めて俺に笑顔を見せた。

友達に会えて安心できたのだろう。俺は姉を思い出し頭をなでてしまう。


「ふっ...年相応な笑顔もかわいらしいじゃないか。」

「か、からかわないでください!」


昔から姉はつらいことやうれしいことがあると撫でてほしがっていたんだよ。

普段はお姉さんを出すために頑張っているんだけどな。


そんな話をしていると正面扉から気配を感じる。

俺は茜に声をかけ静かに見守ることにした。



「おー!俺様たちが帰ってきたぞー!なんで誰もいねえんだー!?」


と偉そうな男が5人と少し気の弱そうな女の子が一人。計6人が袋片手に帰ってきた。

女の子は茜と年齢が近そうだが。


「夏美...!」

「あれがお友達か。」


とりあえず顔を覚えておこう。

さて、これからどうするか。とりあえず避難所の奴らに飯を食わせないとな。

そのタイミングで先ほど人々を呼びに行ったユウキと呼ばれていた男の子が降りてきた。


「お、おかえりなさい...」

「おいおい、出迎えがおせえよ!俺たちはお前らのために命はって外に出てんだぞ?」

「す、すみません...それと報告があります...茜が無事帰ってきました!」


このタイミングだな。

俺が先導で俺と茜は男たちに歩み寄る。


「あ、茜...生きてたのか...」

「つーかなんだこのモンスター。」


男たちはバツが悪そうに茜を見つめる。

こいつらがどう動くかで俺の動きは決まるわけだが...


「無事だったんだな!!!安心したぞ!!!」

と先ほどまで偉そうだった男が近づいてくる。俺はその間に入り近づけないようにする。


「おいおい、なんだてめぇ?モンスターがなんのようだ!」


そういいながら男は持っていた剣で俺に斬りかかってくる。


「やめて!!!」


茜は叫んだ。あたる瞬間で剣は止まり男は俺越しに茜を見つめる。


「この悪魔は私と契約した悪魔。ノワールよ。彼を傷つける人は許さないから。」

そういう彼女は鋭い視線で男をにらむ。


「へぇ、悪魔と契約して最強の力でも持ったってのか?モンスターは即削除だろ!?」

と言いながらほかの男たちも俺を囲み戦闘準備に入る。

そこそこ手慣れているようだな。ゴブリンよりは連携も取れてるしまともに見えるが。

そんなことを考えていると一人の男が叫ぶ。


「リュウジ!この悪魔レベルが6だ!それなりにあるから気をつけろよ!」

「わかったぜタクミ!俺はレベル10だ!任せろ!」


どうやら剣で最初に斬りかかってきたのがリュウジ。鑑定持ちがタクミというらしいな。

さて、


「どうするマスター?彼らはやる気みたいだが。」

「っ...!殺さないように手加減だけお願いします...!」

「面倒なマスターだ。了解した。」


「おいおい!ずいぶん余裕だが大丈夫か!」


男の一人が呪文を唱え始める。あれが人間族の魔術の使い方か。どのくらいの威力があるんだろうな。

そんなことを考えているとリュウジが俺にもうスピードで突進してくる。


「スラッシュ!」


リュウジがそう叫ぶと体が赤く光りそれが武器にまで広がり上から剣を振りかぶってくる。


「これがアーツとやらか。とりあえず受けてみよう。」


そうつぶやいた後俺はよけることもなくそのまま切られてみるが少し切れたところで剣が跳ね返り大したダメージにはなってなさそうだった。


「思ったよりかてえな!こいつは魔法がよく効くタイプのようだ!行け!ダイゴ!」

先ほどまで魔法を唱えていたのはダイゴという男のようだ。


「穿て!火球!」


と思い切り大声をあげた後バスケボールサイズの火の玉が俺に向かって飛んでくる。

俺はそれに左の腕を伸ばし手のひらを向け受けてみる。



ドカーン!!!


「さすがダイゴだ!いい威力だぜ!俺も魔法使いだったらよかったんだけどな!」

「このくらい余裕だ!」


などとのんきに話しているが実際のところ俺にはほとんどダメージがないんだけどな。

俺は砂ぼこりの中から声をかける。


「これで終わりってことでいいか?」

「な、なに!?」

「聞いてないだと!?こいつはレベル6じゃないのか!?」


「まぁ、いいか。『支配の魔眼』でも試してみるか。」

俺はそうつぶやき重力を支配してみる。


そうすると男たちは一瞬で膝をつきだんだんその場で這いつくばる。


「なんだこれ!体がっ...動かねぇ!」

「こんなもんでいいかマスター。」

「う、うん。ありがとう。あら...ノワール。」


お礼を言った後彼女は男に近づき、


「私にまた前と同じようなことしたらノワールがまた同じ目に合わせるから。」


と、笑顔を向け言い放つ。男たちは声を出すのもしんどいみたいなので重力支配を少し緩める。


「わ、わかった!おまえにも悪魔にも手を出さねえから!」


その言葉を聞いた後茜は俺に目配せをしたので俺は支配を解いた。


そこで安心したのか茜は「夏美」と呼んでいた少女に向かって駆ける。


「夏美...!」

「茜...!」


二人は抱き合いながら涙を浮かべる。

まぁ、こんな世界でまた再会できるかもわからない世界で出会えたんだからそうもなるか。


「あ、あの...ノワールさん。人も集めてきたのでフードコートでご飯を出すのお願いしてもいいですか...?」


と空気を読まずユウキが声をかけてくる。


「あぁ、行こうかマスター。」

「うん...!行きましょう!」


茜は涙をぬぐい、倒れている男たちを尻目に二階にあるらしいフードコートに向かった。

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