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犯人達は、そのままの鉄格子付きの馬車で王城の牢屋へ、これから事件解決への取り調べが始まる。


ルイ殿下は自分の剣も持っていたにも関わらず、使わなかった。帰りに聞いてみたら『弱そうだったから素手でいけると判断した』そうだ。

たしかに返り血を浴びる程、ボコボコに殴り倒していたもんなあ


「犯人に1つだけ個人的に聞きたいことがあります」

「個人的に?まあ、いいよ」

「ありがとうございます、何故私の事を処女だと分かったのですか?」


ー『ブッ』と吹き出した横にいるロイ殿下の顔は見なくてもどんな顔をしているか大体想像つく。


「.....ブレスレットしただろ?それが装着出来るのは処女だけってわけ」

「なるほ...ど......」


『ありがとうございました、宜しくお願いします』と、お手間を取らせた王城の騎士と、ロイ殿下にお礼を伝え委ねる。


私を探し出せたのは、隠れていたが、なけなしの護衛が一応は付いていたらしく、軽くは目撃されていたらしい。

まあ、護衛対象者はルイ殿下なので護衛が目を離したすきにあらよっと攫われてしまったのだけども。

それからは街全体の警備隊と力を合わせて、検問所をつくり、怪しい馬車をしらみつぶしに探したらしい。

よく出国寸前で捕まえてくれたと感謝する、本当に危なかった。


犯人達の供述の元、担当の騎士達が派遣され奴隷市場もそのうち解体となった。


----------


次の日、ルイ殿下の執務室へ行くと、机に向かう殿下の姿があった。


「ルイ殿下......!私は今、感動しています!!!」

「約束は約束だしね!でもお願いはあと一つ残ってるからね?」


『あと、いま2人きりなんだけどなぁ』と殿下は上へ伸びをしながら言う。

この殿下は本当にやれば出来るのだ、普段やらないだけで何でもそつなくこなしてしまうタイプ。


「この書類だけ手伝ってくれない?」

「3つ目のお願いでしょうか?」

「....これはノーカウントにして欲しい」


たまに手伝わされる書類仕事も、これからはマリアの仕事になるかもしれないから慣れて行った方がいい、といつも訳わからない理由を付けて手伝わせてくるので、だんだんと慣れてきてしまった。

この辺は本来、王妃の仕事だが、ルイ殿下は婚約者さえまだいないので仕方ない事なのかもしれないが。

婚約者問題も、ルイ殿下が上手くのらりくらりとかわしているだけで、実際はかなり陛下につつかれている問題だと思う。


「殿下!終わ....」

「る・い、呼んでくれるまで返事しなーい」

「る、ルイ殿下....」


デスクを立ち、私の座るソファまで移動して来て隣に座ったルイ殿下は、『まぁギリギリ合格』と言い私の膝を枕にし、ソファに寝転んだー.....



------



「あ、来週サイラス公爵家でパーティがあるんだけど、マリアも頼むね、俺のパートナー役」

「は?」

「女の子連れてかないと、何かと面倒な事になりそうなんだよねー!

宝石なんかは適当に選んで送り届けとくし、当日の支度も侍女を送る」


この男は当たり前な顔で言ってくる。

こないだ頼んできた、マザーのドレスも届いていて着るものには困らないのだけど。


身体を動かしたいから付き合ってと言われ、訓練場で木刀をルイ殿下と撃ち合い、侍女が持って来てくれたサンドウィッチを摘む昼下がりの午後。


「マリアお疲れー!.......ちょっとお願いがあるんだ...けどさっ!」

「?なんでしょう?」

「今度の休みにオペラでも....あっ..やっぱいいわ忘れて」


殿下がお手洗いで席を立っている間に話しかけてきた同僚の騎士は、慌てた様子で馬小屋の方へとかけて行った。すると、すぐルイ殿下が戻ってきて座っている私の背後に回り込む


「ワッ!」

「き、きゃーー...(棒読み)」

「チッ、気付いていたか......やるな」


本当に少しも目を離せないなぁ、なんて言いながら私の隣に座った。

私は何度かルイ殿下と撃ち合いをしたことがあるが、一度も報いたことは無い。底の見えぬ強さがあるお方である。


「公爵家のパーティにはなぜ私も?」

「MYって薬知ってる?」


それは最近裏の社会で流行っているという薬だった。

なんでも、その薬は幸せな気持ちになれたり、ご飯がとても美味しく感じたり、体の痛みが無くなったり、凄く感覚が研ぎ澄まされたりする効果があると言われているが、とても身体に悪くて依存性も高いらしい。


「どうやらサイラス公爵家があやしくて」


聞かれたら絶対に不味いので、私の耳に出来るだけ口を近付けて話す。


「しっかり働かせて頂きます!」


敬礼をし、姿勢を正すと『あはは、頼もしいなぁ』なんて言う殿下

仕事だったことに少しだけがっかりした自分には気付かないふりをした。



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