生徒会の秘密 その2
なかなか更新しなくて申し訳ないです。
そんなことを考えていた日の、次の日俺は松本先生に呼び出された。思い当たる理由はあるし、行きたくはなかったが、行かなかったらどうなるかは分かっていた。
授業終わった後に急に「生徒指導室に来い。」とかびっくりしちゃうだろ。心臓に悪いわ。周りからは、「こいつまたなんかやったのか」みたいな目で見られたし、これで俺の評判下がったらどうすんだマジで。あ、元から底辺か、自分で言ってて悲しくなってきた。そんなことを考えているともう生徒指導室の前に着いていた。
...コンコン
「どうぞ。」
「失礼します。」
松本先生は前と同じ位置に座って待っていた。
「今日俺は何で呼ばれたんですか。」
「何でだと思う。」
「分かりません。」
「高階、分からないものがある時、そういうときは自分のできるすべての方法で考え試す。答えを聞くのはそれからでも遅くない。」
「そうですかね、そうかもしれないですね。確かに。で何で呼ばれたんですか?」
「はぁ、君には何か心当たりはあるかな?」
「ありません。」
「そうか、ところで君は生徒会についてどう思う。」
「まぁ別に何とも。まぁでも仕事は俺が居なくとも何とかなると思いますけどね。」
「そうか、では工藤については?」
「工藤はまぁ1人にしては頑張ってると思いますよ。ただ上から目線の高飛車な態度が玉に瑕ですかね。彼女の言うことがどんなに正しくてもあんな言い方じゃ誰も聞いてくれないんじゃないんですかね。でもやっぱり頑張ってるんじゃないですかね。」
「そうか。」
「で結局、今日呼んだ理由は何だったんですか?」
「姫路雛についてだ。」
「昨日言ってた..最近あまり登校していない生徒会の副会長さんですか?」
「そうだ。」
「で、その姫路さんについてで、何で俺が呼ばれないといけないんですか?呼ぶなら工藤でしょう。」
「簡単にいうならば、感だ。」
「はぁ?」
「おそらく姫路が休んでいる遠因に工藤が絡んでいると思うんだ。だから工藤と一緒に姫路を説得して欲しい。」
「工藤がですか。」
「そうだ。」
「ですけど、工藤が何かその姫路さんが不登校になるようなことをするとは思えませんけどね。」
「そうなんだよな。だから確証はない。だから確かめてくれ。」
「そういうことですか。それなら心配要らないですよ。あんな風に言って、工藤にああいう決断を取らせてしまった身として責任はしっかり取るつもりですよ。」
「そうか、ありがとう。しかし少し意外だったな。君はこういうのを面倒くさがると思っていたが。」
「いやボランティアなんてのはごめんですけどね。今回は俺に責任があると思いますし。それにどんなお願いされても見返りがあれば頑張れますよ。」
「ふふっ、君は現金なやつだな。まぁ良いやでは頼んだぞ。」
笑った松本先生は綺麗だった。
これがギャップ萌えってやつなのか。ずっとああいう顔をしてれば良いのにと思ってしまった。
――――――――――――――――――――――
「あら、今日はてっきりもう来ないと思っていたけど来たのね。」
「先生に呼ばれたんだよ。」
「今日は何をやったのかしら。」
「別に何もやってねぇよ。」
「そんなこと隠さなくて良いのよ。すでに君がダメな人間なのは分かっているわ。」
「隠してねぇよ。」
「ダメな人間なのは否定しないのね。」
「違う、それは言葉の綾ってやつだ。」
「間違っているのは貴方よ、高階君。」
「何がだよ。」
「言葉の綾の使い方、それ誤用よ。本来言葉の綾は巧みな言い回しを表すときに使う言葉よ。まぁ最近では言葉のすれ違いを指すときに使われる場合の方が多いけどね。」
「へぇー。」
何も言い返せねぇ。そういう意味だったのかよ、なんか今までずっと誤用してきたと思うと恥ずかしいというかなんか
「目から鱗の気分だ。」
「正確には目から鱗が落ちる、ね。まぁ良いわ。それより何をしでかして先生に呼ばれてたの?」
「しでかしたのは確定かよ。ていうか違くて、姫路さんについてのことだよ。」
「どういうこと。」
「いや、もし本当に姫路さんを連れてくるなら、どうせ今後一緒に活動するんだから工藤と一緒に説得してこい。ってさ。」
「...そう。」
「だから、もし差し支えなければ何だが教えてくれないか?」
「何を?」
「本当は何で休んでるのか知ってるんじゃないのか。」
「本当に聞きたいの?面白くもないし気分悪くなるわよ。」
「それでも良いよ。」
「はぁ、確証はなけれど、でもほとんど確定だと思う理由があるわ。」
「何だよ。」
「いじめ」
それはどこで起こっていてもおかしくない、有り体にいえば何処にでもあるイジメの話だった。
「雛って元々男女ともに人気だったの。男子人気はもちろん高かったし、顔も可愛くて。でも勉強は出来なかったけど。それで去年度の冬休みくらいに去年卒業したイケメンの先輩が雛に告白して、雛はその人のこと振っちゃったのよ。それでその噂が流れてから、先輩のことを好きだった女子生徒が彼女をいじめ始めたわ。教科書を取ったり、雨の日に傘を隠したり、陰口をちょっと聞こえるくらいの声で言ったり。先輩を振る前は仲が良かった友達とかも一緒になって虐めたりしていたわ。でも、私は雛を助けられなかった。知らなかったわ、雛がそんなことになってるなんて。」
「気づかなかったのか?」
「えぇ、雛とは別クラスだったし、。私こう見えても友達が全然居ないの。だから気づいたのは雛が学校を休み始めてから。」
結構見たまんまだけどな。むしろどう見られてると思っているんだろう。
「悔しかったわ...」
彼女はひどく顔を歪めていた。怒っているようで憎んでいるようで、それでいて悲しそうな顔で続ける。
「私は雛のこと友達だと思ってたし、何でも話せると思ってた。私は雛のことを理解してて、雛のことなら何でも知ってると思ってた。今となっては思い上がりも甚だしいわ。私は雛のことなんて何にも知らなかったんだから。今になって思うの、あの時もっと話してたら、あの時一緒にいてあげたら...そしたら何か変わってたのかなって。」
「そんなのどうしようもないだろ。」
「いいえ、どうしようもなくないわ。」
「知らなかったんだろ。じゃあしょうがない。」
「そうかもしれないわね。でも何かできたんじゃないかそう思わずにはいられない。」
「工藤、お前は姫路が休んだことがお前のせいだと思ってるのか?」
「えぇ。」
そういうことだったのだ。姫路の不登校の遠因が工藤だったのでは無く、工藤がただ姫路が不登校になった遠因だと自身を決めつけていた。そういう意味では、松本先生の言っていたことは当たらずさも遠からずだ。でも松本先生も、そして工藤も間違えている。
「工藤、お前のその考え方は少しばかり自惚れがすぎる。」
「...そう。聞かせてそれはどうしてなの。」
「社会は、お前が思っているほど簡単じゃない。今回の場合で言ったら、お前が姫路の状況に気付いて助けようとする、そうすれば今の状況が変わっていたかと言われればNOだろう。せいぜい、いじめのターゲットにおまえが追加されるだけだ。人間が自身の手で救える人の数なんて限られている。どころか1人だって救えないかもしれない。」
「それでも、私は...私は雛を助けるべきだった。」
「まったく話を最後まで聞けよ。つまりだな考えるベクトルを変えるんだよ。」
「どういうこと。」
「その前に1つ言っておこう。」
「何?」
「今からいうことに反論すんなよ。反論してちゃただの水掛け論になっちまう。」
「...わかったわ。」
「そうだな、んと。」
「何なの?」
「お前は悪くない。姫路雛が不登校になったのはお前のせいじゃない、いじめた奴のせいだ。だからお前が
姫路雛のことで何か後ろめたい思いをする必要はないということだ。わかったか?」
「...」
「何も言わないんだな。」
「私は約束を反故にしないの。」
工藤は、姫路を助けられなかった罪悪感で、ありもしない責任をでっちあげ、その責任を負うことで姫路に近づかない理由を作って、今の現状から目を逸らしていた。もしかしたら工藤も心のどこかでわかっていたのかもしれない、目を逸らしているだけでは事態が何も進展しないことに。
それでも工藤は目をそらした。現実に向き合うのは辛いから。でも今は向き合ってもらわないといけない。
「それで、結局ベクトルを変えるっていうのは何?」
「それは」




