生徒会の秘密
読み返したら読みづらいですね。読みやすさを意識します。
「どうぞ。」
工藤がそう言うと、扉が開いて松本先生が入ってきた。
「仲良くやっているかな?」
「いや全然。」
「いいえ、少しも。」
2人は同時に答える。
「そうか、仲が良さそうで何よりだな。」
「どこを見てそんな結論が出てるんですか?」
思わず聞いてしまった。
「今日私が来たのは、君たちが仲良くしているかを見に来たのももちろんあるが、生徒会メンバーについての話をお前たちに話すためだ。」
無視された。てか生徒会メンバーについてってどういうことだ。
「工藤がどうしたんですか?」
「わからないのか。生徒会って組織が1人で務まるわけなかろう。生徒会には工藤の他に2人の生徒がいる。1人目は副会長の姫路雛。2人目は会計の神山くるみだ。」
「そうなんですね。でその2人は今なんでいないんですか?」
「神山はどうせ何処かで遊んでるだろう。あいつは良くも悪くも適当だ。仕事をこなしてはいるから、放課後にわざわざ生徒会にくる必要はないとでも思っているんだろう。それより問題は姫路の方だ。」
「問題って何ですか。その...姫路さん?はどこにいるんですか?」
「それなんだがな。」
ここに来て工藤が今まで閉ざしていた口を開いた。
「彼女なら、最近学校には来てないわ。」
「何でだよ。」
「...知らないわよ。」
「そうですか。で、先生その姫路さんは何の問題を起こしてるんですか?」
「いやな、姫路がこれ以上生徒会、ひいては学校に来ないなら、彼女を生徒会のメンバーから除名しようと思ってな。」
「何故ですか?」
工藤が聞き返す。その声は平静のように聞こえたが、表情には先ほどまで見えていなかった微かな焦りが見えた。
「彼女が学校に来るか来ないかなんてのは正直どうでもいいんだがな、生徒会の席をこのまま開けたままにしておくのは、生徒会としては余りいいとはいえないからだ。」
「生徒会の仕事はつつがなく進んでいるように思いますが。」
「そうだな。だが周りはそんなことはわからない。生徒会は、不登校の生徒でもなることの出来る。そう思われるのは心外だ。それに生徒会には意欲のある生徒が進んでやるべきだと私は思う。」
「じゃあ俺やめて良いですか?」
睨まれた。何でだよ。松本先生は工藤に視線を戻す。
「ですが、彼女は意欲がありました。きっとあと少しでも待ったら、きっと...」
「そうだな、工藤、君は待てるだろう。姫路がなぜ休んでいるか、姫路は教えてくれなかったが君なら彼女を信頼して待つことができるだろう。だが時間は待ってくれない。時間は誰しもに平等に、そして誰のことも思いやらずに進んでいく。私たちはそんな社会で生きている。つまり私たちは、彼女を待てない。」
「それでも...」
「はぁ」
思わずため息を吐いてしまった俺に2人の視線が刺さる。
「おい工藤。」
「なによ。」
彼女の表情はいつの間にか、いつもの澄ましたような凛とした表情ではなくなっていた。彼女は自身の無力を呪い、自身の思い通りにならない現実に怒っているように見えた。
「お前はその姫路とかいうやつに、生徒会をやめて欲しいのか?」
「いいえ。」
「そうか。ならやるべきことは一つしかないんじゃないか。」
「どういうこと。」
「お前がその姫路を学校に連れてくるんだよ。」
「でも...彼女は、彼女の意思で学校を休んでいるのよ。そこに干渉する余地なんて。」
「やる前から諦めるのか?少なくとも彼女が何で休んでいるかどうかだけでも知るべきだ。そうじゃないと、お前はこの先ずっと後悔するぞ。何よりお前はそんなに相手を思いやるやつじゃないだろ。」
「会ったばかりなのに私について語らないでちょうだい。それに私は思いやりはあるわ。貴方だけに無いだけ。」
「おいそれはどうなんだよ。」
工藤は気づいたら、いつもの顔に戻っていた。
「松本先生、雛はいつ除名されるんですか?」
「今週末のつもりだが。」
「では1週間だけ待ってくださいませんか。その間に彼女を連れてきます。」
「そうか。では1週間だけ伸ばしてやろう。頑張れよ。」
伝えることを伝え終わると先生は満足そうに教室から出て行った。
「私も今日は帰らせてもらうわ。」
「そうですか。」
「そうよ。それと...ありがとう。」
「何がだよ。俺は何もしてないし、これからの方が大変だろ。知らんけど。」
「えぇ、そうかもしれないわね。」
工藤も教室から出て行ってしまった。この教室には俺1人が残った。
あーあ、今になって恥ずかしくなってきちゃった。何で俺あんな格好つけちゃったの?やばい、マジ死にたくなってきた。ていうか、なんかちょっとやばい。言葉にならないけどめっちゃ恥ずい。落ち着け俺。落ち着いたらさらに恥ずかしくなってきた。くそ、何なのほんとに。
実際何故あんなことを言ってしまったのだろうか。あんなに思ってもないことを。俺は諦めることは人生で必ず訪れるし、やらなかった後悔はやってしまった後悔よりも楽なのも知っている。何かを諦めずに挑戦すること、後悔をしないために行動することが何よりも難しく、苦痛を伴う事もわかっている。いつだって、諦めるのは簡単で、手を伸ばすのは痛いのだ。それでも俺は、彼女にその道を進めてしまった。彼女ならこうするべきだと思ってしまった。
何も知らないのに。
思想が好きな作家によっちゃってて不快な人もあるかもしれないですが読んでもらえたら嬉しいです。




