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春の始まり その1

初めて筆を取る、もとい文章を打つので優しい目で見てもらえたら幸いです。

 人生にプロットがあるのならその人生は面白い人生になるのだろうか?

ただ決められた道を歩くだけの人生に果たして意義があるのだろうか?

少なくとも未来が決まっているのなら、それは面白いとは言えないのだろう。

「起きろ!」


不意に、大きい声がした。


「ここはどこ、私は誰?」


「はぁ、ふざけるのも大概にしろ。」

 

 俺が嘲笑されている中、目の前には、現国教師の松本葵が呆れた顔をして立っていた。


「お前って奴は、まぁいいお前は放課後に生徒指導室に来るように。」


「え、何故」


「はぁ、わからんのか。授業中に寝るのはこれで何度目だ?」


「えっと...1回目?」


てへぺろすれば許されるか?


「いや今年度入ってから私の授業だけでもう3回目だ。そして、他の授業でも寝てたみたいだな。少なくとも2人の先生から連絡が来てるぞ。理由はこれで十分か?」


逆効果だったみたいだ。口調が強くなってる。


「いや、春って暖かくて眠くなりませんか...あはは。」


「?」


目が笑ってない。怖すぎだろ。


「いや、はい...すみません。」


「わかったならそれでよろしい。では授業を再開する。」

 クッ、周りの視線が痛いこれがスターか。違った、ただの痛いやつだった。公開処刑をされた俺は、その現国の授業の板書を取りながら奥歯で眠気を殺し先生の話に耳を傾けたのだった。

――――――――――――――――――――――

 俺が通うこの高校は偏差値は上の下ほどのなんちゃって進学校だ。俺はこの学校で一年ほど過ごしているが校則も厳しくなく過ごしやすいというのは感じるが、それ以外は他の学校とあまり変わらない。と思う、ぶっちゃけ他の学校とか通ったことないしわからないけど。


 それで俺が今何をしてるかって、生徒指導室に向かっているのだ。しかし実際に生徒指導室とか使うことあるんだな。あんなのアニメの中でしか見たことないぞ。「放課後に生徒指導室に来なさい」とか、薄い本よろしく何か始まるんじゃないかって希望すら湧いてきちゃう。冗談はこれぐらいにして、実際授業中に寝てるやつなんてまぁまぁ居るのに、俺だけが呼び出されるって俺なんかやったっけ?何も思いつかないんだけど。とか考えていたら着いてしまった。いや今から帰ろうかな、どうしよ。


「おい。」


扉の前で硬直しているといきなり声をかけられた。


「うわっ...何だ松本先生ですか。」


「何だとは何だ失礼なやつだな。まぁいいよく来たな高階、もし来なかったら明日酷い目に合うところだったぞ。」


「それは...良かったです。」


「よかったな。はははは」


何が面白いんだよ。怖いよ。


「とりあえず教室に入るぞ。」


「はい。」


 生徒指導室は2人でいるには少し広く、南を向いた窓からは夕日というには少し早い太陽の灯りが入っている。


「それで今日は何で呼ばれたんですか?居眠りしてるやつなんていっぱい居るでしょ。何で俺だけなんですか?」


 俺は目の前の松本葵を見る。名前だけを見ると男のように感じるが、女教師だ。今の時代名前や、見た目での判断は危険になってきているが、目の前の教師は正真正銘大人の女性だった。正直に言って見た目だけなら綺麗と言わざるを得ない。しかしこの教師はその男まさりな言動や行動からわかる通り、色恋沙汰とは無縁だ。本人は結婚したいと言っているが行動と思考が一致していない。正直、一生独身なんじゃと思ってしまう。


「おい、なんか失礼なこと考えてないか」


こわ〜い。声には出てなかったよね。


「いや、そんなこと考えてないですよ。言いがかりはやめてください。大体なんですか失礼なことって。」


「コホン、まぁいい君を今日ここに呼んだのは他でもない。単刀直入に言おう、君には生徒会の手伝いをしてもらいたい。」


「え、嫌ですけど。」


「まぁまぁ、聞きたまえ。君は成績は少しばかり優秀だが授業態度はあまり良くないし、何なら新学期に少し学校を休んでいたじゃないか。このボランティアはメリットの方が多いと思うのだがね。」


「いや、メリットって何ですか。そもそも授業態度が少し悪くたって卒業はできますよ。」


「はぁ、授業態度を直す気はないと。それを教師の私の前で言うとは良い度胸じゃないか。」


「いやいやいやいや、直さないとは言ってないですよ。」


だから手をポキポキするのヤメテー


「で...メリットって何なんですか?」


「友達ができるかもしれないぞ。」


「は?」


こいつ今なんて言った?え、どういうこと?困惑している俺を置いて先生は喋り始める。


「いや高階、お前は確かに成績も良いし、普通にしていても卒業ならば余裕だろう。しかし、私は君が友達といるのを見たことがない。」


「ちょっと待ってくださいよ。何ですか、生徒の交友関係にまで口を挟むとか。」


「でも君には交友関係などないんじゃないか?」


何でいきなり言葉のナイフで刺されてるの?


「そもそも友達がいなくて困ったことなんてないですよ。それに先生だってまだ独し」


「ん、何だって?」


先生が臨戦体制に入る。その笑ってるけど、目が笑ってないのやめてくれよ。拳も掲げないでー怖いよ。


「聞こえなかったな、もう一度お願いできるかな?」


「なな、なんでもないです。でも俺は友達がいないんじゃなくて作ってないだけですよ。」


「まぁそういうことにしといてやるか。」


 なんだよその目、さっきと打って変わった目しやがって、べ、別に恥ずかしくなんかないんだから。まぁこんなこと考えてる時点で恥ずかしいし、冷静じゃない。一旦落ち着け、そう深呼吸、ふぅーふぅー。


「で、先生が提示したメリット以外には何もメリットが無いんですか?」


「まぁそんなかっかするなよ。さっきのは半分本気半分冗談、いや4分の3本気4分の1冗談だよ。」


ひどくなってるじゃねぇーか。


「で、結局他にはあるんですか。メリット。」


「そうだなまず、君が生徒会を手伝った実績が残る。これは就職、進学に有利になるよう私がうまく調整してやろう。次に内心が上がる。これは確定ではなく、私が君が寝ていた教科の担任に君を頑張っていると売ってやる。こんなところでどうだ?」


「まぁ言いたいこともわかりましたけど、なぜ俺なんですか?」


「正直君じゃなくてもよかったんだがね。君に対して悪い思いをしている教師もいるので、生徒指導のついでに罰、もとい君に名誉を挽回するチャンスを与えたのだよ。」


「そうですか。」


 正直いつも暇を持て余している俺は行ってやっても良かったのだが、この人の言う通りに動くのも少し癪だなと思い、断ろうとした。そのとき、松本先生と目が合う。え、なんかその顔やめて、ここで手伝うって言わなかったら○すぞって顔やめて。くそ、


「わかりました手伝えば良いんですよね。わかりましたやりますよ。」


「本当か!」


 ほぼ強制だったじゃねぇか。何でそんなに嬉しそうにできるんだよ。


「では着いてきたまえ。」


 松本葵は教室を出て歩き出す。俺はその後を追うのだった。

 部屋に入っていた光はいつのまにか白からオレンジへと変わっていた。



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