合コントロール
イケメンエルフの友人に誘われ、合コンに参加することになった。
エルフの友人がオーガの俺を誘ったって時点でわかるが、当然異種族合コンだ。
異種族合コンは最近この王都で流行ってるスタイルで、俺も何度か参加したことがある。その名の通り、参加する同性が全て異種族で構成されてるのが特徴だ。
このスタイルのメリットはライバルが存在しないところにある。
見た目の話だけなら確かにエルフは人気がある。でもだからと言ってヒューマンやホビットがエルフと結婚するわけじゃない。別種族婚は無いわけでもないが、寿命も違うし文化も違う。一般的にはたいていそれぞれ同じ種族同士でくっつくもんだ。
ただ種族に関わらず普遍的に「エルフは美しい」って風潮があるのは確かだ。そんなエルフと酒が飲めるならってんでエルフが幹事をやるなら参加したがるやつは多い。だが実際にくっつくのは結局同種同士。
つまり男女の種族を被りなしで揃えてやれば、合コンの体裁を使った事実上のお見合いみたいな席が出来上がる。
2人より当然盛り上がるし、同種族あるあるネタなんかで仲も深まりやすい。
結局誰も損しないこのスタイルは、多様な種族が暮らす王都じゃあスタンダードになりつつあった。
俺は別に女に不自由してない。そもそもオーガは種族的に家族をあんまり持たない生態だ。だから本来だったら合コンに参加する旨味は薄い。ただそれだけにワンナイトな関係ってもんには慣れてるし、異種族相手でもそれほど忌避感はない。
今回も適当な相手と一晩楽しめればいいかってつもりで参加することにした。
もちろんウマが合わないようならそれでもいい。その場合はいいだけ食っていいだけ飲んで帰って寝るだけだ。
しかし、それは俺がオーガだからだ。
ヒューマンやドワーフはむしろ結婚や家庭を大事にする。
当然合コンには気合を入れる。
だというのに、これは無いだろう。
エルフに誘われてやってきたドワーフ、ヒューマンの男連中はみんな肩を落としていた。
そしてそれは向こうが連れてきたホビット、オーク、トロールの女の子たちも同じだった。
一斉に幹事のエルフカップルを睨む。
愛想笑いを浮かべて逃げ出すエルフたちの後ろ姿に呪詛の言葉を投げつけ、俺たちは開き直って6人で楽しく飲むことにした。
結局、せっかくだしってんで、ヒューマンはホビット、ドワーフはオークの女の子をお持ち帰りした。
俺は朝までトロールの子と飲んでいた。
連絡先は交換した。