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「お前はさ、お前らしく、そのまま、やっていけばいいじゃないかな?
友達や、弟と自分を比べる必要なんて俺は全然ないと思うぜ!
…でもさ、俺たち三兄弟も、もう随分な大人に、なったと言えばなったんだよな……
…あのさ、今だから話すけど、
昔、俺が子供の時、外出しようって時に、父さんは、その時いなくて母さんが、俺に『ちょっと、見てて』って、本当に幼かった、お前は一人でベビーカーに乗ってて、お前を子供の俺に任せて家に戻っていったんよ。
俺は、生返事をして、お前が乗ったベビーカーをイイカゲンに片手で扱っていたら、地面に傾斜があってな…俺のアヤフヤな扱いでベビーカーが見事にひっくり返って、お前は、地面に落ちた。
お前、そりゃ、泣いたよ。
泣きに泣いて、母さんが跳んできて、母さんの腕の中でも泣いて泣いてさ…俺は、めちゃくちゃ、母さんに叱られたのは同然だったけど、お前は、かすり傷1つ負わなかったって話。」
そう言い、苦笑いをする兄に、僕は、
「そんなことがあったんだ、全然、覚えてないや…」と呟き、
そんな僕に兄は、続けた。




