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転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます  作者: 謙虚なサークル


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生徒会に呼び出されました

 ◇


「やぁロイド君、すまないね。急に呼びつけて」


 俺の目の前、立派な机に座り書類を片付けているのは先日あったばかりの生徒会長――ノアだ。


「まずは自己紹介をした方がいいかな。私はノア=ボルドー。この学園の生徒会長を任されている。まぁ学園内の面倒ごとを処理する、雑用係のまとめ役とでも言ったところか。故に畏まる必要は全くないよ。気軽にノアと呼び捨ててくれても構わないさ。ははは」


 自己紹介の後、冗談めかして笑うノア。

 ――その前に何故こんなことになっているのか説明しよう。

 楽しい楽しい魔術の授業を終えた俺が次の教室へ移動しようとすると、いきなり現れた白制服の男たちに捕まり、気づけばこの生徒会長室へと連行されたのである。

 面白そうだから敢えて抵抗はしなかったが……それにしても転入してきたばかりの俺に一体何の用だろうか。


「学園の偉い奴に呼ばれたってことは、なんかやらかしたんじゃないんですかい?」


 グリモはそう言うが、何もやらかした記憶はないぞ。

 試験も地味にクリアしたし、ノアとガゼルのバトルに介入した時だってバレないように手は尽くした。

 呼び出される理由はないはずである。


「それがバレていたのではないでしょうか。それで怒っているとか」


 うっ、確かにそうかも。

 隠蔽工作はしたもののノアは優秀そうだし、よく見れば気づかれる可能性はあるよな。


「……ほう、聡いな。どうやら呼び出した理由にもう気づいたようだ。如何にも、君が私と愚弟との戯れに割って入ったのには気づいていたよ」


 俺の隠蔽工作をあっさり見破るとは……うーむやるなノア。流石学園筆頭である。


「ロイド様は結構雑な性格だし、隠すの得意じゃねぇっすからね……」

「ノアは弟と仲が悪い様子。喧嘩にチャチャを入れられて怒っているに違いありません」


 うーん、やはりそうだよな。

 俺だって実験相手を他の奴に横取りされたら、怒るだろう。

 ここは謝っておくべきか。そう考えて頭を下げようとした時である。


「いや、素晴らしい。大したものだよ君は」


 ノアはいきなり席を立ち、俺を拍手で称えてきた。


「突然始まった戦いにも躊躇なく飛び込み、他の生徒たちに被害が及ばぬよう止めようとしてくれていたのだね? 私と愚弟の間に入り、我々が放った魔術をほぼ相殺させたのは見事と言う他ないよ。しかも自らの手柄と明かさぬよう魔術で隠蔽しながらとは、純粋な正義の心の持ち主なのだな」


 うんうんと頷くノア。一部語弊もあるが、とりあえず責められている訳ではなさそうで一安心である。

 入って早々生徒会長に睨まれたら、とてもじゃないが平和な学園生活なんて望めないからな。


「君はサルームの王族だったね。故にあまり目立ちたくないのもあるのだろう。王族たるもの下手に目立てば国の威信をも汚す可能性がある。先日の君の行動、口外しないと誓おう」

「助かります。すごく」

「ふっ、気にするな。全ての生徒たちの為に行動するのが生徒会長である私の役目なのだからな。君が目立ち過ぎないよう、ある程度は生徒会でも取り計らおうじゃないか」


 どうなることかと思ったが話が通じる人でよかったな。俺は安堵の息を吐く。


「……ところで交換条件という訳でもないのだが、一つ君に頼みがあるのだが」

「何でしょう?」


 俺に疑問に、ノアは咳払いと共に言葉を返す。


「君に生徒会に入って貰いたい。ウチの生徒会は万年人手不足でね。君のような有能な人物に入って貰えるととても助かるんだよ」

「俺を生徒会に、ですか?」


 藪から棒に何を言い出すのだろうか。困惑する俺にノアは続ける。


「知っての通り我が校は才ある者なら誰でも歓迎している。子供も老人も、富める者も貧しき者も、ノロワレや別種族すら優秀なら入学を許されている程だ。しかしそれ故に生徒同士の諍いも絶えず、それを止める力がある者が圧倒的に足りない。もちろん私も尽力しているが、立場上動くのも難しくてね……ロイド君が生徒会に入ってくれれば、これほど心強いこともない」

「暴れる生徒たちを諌めるとか、そういう仕事ですか?」

「あぁ、まだ少年である君に荒事を頼むのは申し訳ないが……」


 ノアの言葉に、俺は即座に頷いた。


「やります!」

「おお! 引き受けてくれるか! それはとても助かる!」


 ノアが差し出してきた手を取り、握手を結ぶ。

 色々言ったけど、つまりは大手を振って学園で魔術を使えるってことだろう。

 断る理由などあるはずがない。


「つーかロイド様、そんな仕事してたら目立っちまうんじゃねーんですかい?」

「そうですよ。先程目立たぬよう気を付けると誓ったばかりなのではありませんか」

「多少は目立つだろうが、こんな面白そうな誘いをスルーできるわけないだろう」


 生徒会に入ればノアの近くで魔術を見られる機会もあるだろうし、暴れる生徒たちだってきっとすごい魔術を使うに違いない。

 そんな環境に身を置けるなんて、最高じゃないか。


「ふっ、上手く仲間に引きこめたか。本気でないとはいえ私と愚弟の戦いについて来られた魔術センスは大したもの。すぐに頭角を表してくるでしょう。その前に彼を生徒会に入れられてよかった。まぁ若干青田買いの面はありましたが……弟に先んじられるよりはマシ」


 ノアが何やらブツブツ言っていたかと思うと、不意に真剣な表情で目を細める。


「全てはそう、来たるべき戦いの為に」


 何やら一人の世界に入っているようだ。

 ま、何でもいいか。用も済んだようだし、そろそろ次の授業が始まる。俺は生徒会長室を後にするのだった。

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