表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

鏡の男

作者: 奥田 繭

鏡にうつる男がほほえみ こんにちはと挨拶をする

僕は返事もなしに顔を洗って ちらりとそいつに視線を投げる

したたり落ちる無害な筋は 涙なのか水なのか

その男の顔はほほえんだまま 1㎜の狂いもない


おまえはどうして笑っているのだ この日もあの日も同じ顔で

おまえはどうして付きまとうのだ 僕には何の力もないのに

僕の疑問に男が答える 俺と君は同じなのだと


いつの日か おまえは本当の涙を流すだろう

僕の世界に色がつき 温かな吐息が満ち満ちるときに

いつの日か おまえも消えてしまうだろう

そのほほえみにゆがみが起きて 道化の仮面がはがれるときに


鏡のなかで男が手招き いい天気ですねと挨拶をする

僕は窓を開けて空を眺め 落ちくる雨を顔で受ける

したたり落ちる無害な筋は 涙なのか水なのか

その男の顔はほほえんだまま 1㎜の狂いもない

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ