ゲームおっさん団
少年よ。未来ある少年よ。
がむしゃらに走り回っているだろうか? 白球を追いかけているだろうか?
中には『スポーツ少年団』なるものに所属している者も多くいるのだろう。
我々は君たちと対極に位置する者だ。すなわち、『ゲームおっさん団』である。
『ゲームおっさん団』とは毎日毎日働きもせずにゲームばっかりやっているおっさんおばはんたちの団である。
テレビゲームをする者もいるだろう。ネットゲームに貼り付いている者もいるだろう。ボードゲームを嗜む者もいるかもしれない。
どうだ?うらやましいだろう?
実際はそうでもない。
君たちは世間体に守られている。
我々にはあんなにも厳しく、昼も夜もなく襲いかかるゲリラ兵のような世間体が、なぜか君たちにはあんなにも優しい。
君たちだって労働もせずにスポーツにうつつを抜かしているではないか。いや、仕事にあたるものは勉学かも知れないが、それもどうせたいして励んではいるまい。
君たちが世間体に守られながらも対戦相手や過去の自分と戦っているとき、ゲームおっさん団は対戦相手や過去の自分と戦いながらも世間体とも戦っている事を忘れないでほしい。
敵が多いということはそれだけプレイングも上手いと言えるだろう。
ただ、生き方が下手なことは認めざるをえない。
いいだろう。ほんの一部分だけを切り取った観点のなかでは弱者であることは認めよう。
まあ実質はイーブンだと思ってはいるが、ここは敢えて弱者だと定義してみようではないか。
『弱ければ群れれば良い。心の平穏はそこにある。』
そんな感じの言葉がゲームおっさん団の存在理由だったような気がする。が、特に助け合ったりすることはない。これは実際には我々が弱者ではないことの証明でもある。
そんな固い結束の我々だが、出会いもあれば別れもある。このところ退団者が続いているのだ。
社会復帰というやつだ。嬉しくもあり悲しくもある。
おっさんよ。経験あるおっさんよ。
がむしゃらに働き詰めているだろうか? 程々に休んでいるだろうか?
中には『株式会社』なるものに所属している者も多くいるのだろう。
我々は君たちと対極に位置する者だ。すなわち、『ゲームおっさん団』である。
我々は君たちの帰ってくる場所ではないことを努々忘れてはならない。
いざとなれば話は別だが。