第九節 ここは精神病棟
第九節 ここは精神病棟
(ガ〇ジの群れ……‼)
シゲミに衝撃が走る。そこに、畳み掛ける様にカメレオン立野母が現れた。
立野母は、無印の『松本』に現れた患者で、『コンコンコーン』とよく鳴いている。
その立野母は最近、目がおかしくなり、カメレオンの様に両目が独立して動いている。
「コンコンコーン!」
「ピピピッ」
『コンコンコーン』
例の、音が出る玩具も一緒である。
(もう無理かも知れない……)
シゲミはホールに居るコトを諦めた。
「睡眠担当大臣か⁉」
「⁉」
廊下に移動したシゲミ。しかし次々と刺客は現れる。
「睡眠担当大臣か⁉」
何の事であろうか? よく分からないオッサンは謎の言葉を大声で言っていた。
そして――、
「お前さん、何でここに居るん?」
爺さんが現れた。
「は⁉」
爺さんはシゲミに話し掛けた。
「病状はどうなん?」
「くぅん……最近良くなりつつあります」
シゲミは答える。
「良くなったん」
「くぅん」
「それならここから出てけ!」
「‼」
爺さんはシゲミを突き放す言葉を言い放った。
「どうしてここへ来た⁉」
「‼ ……前科が10犯あって……」
シゲミは返す。
「! そうか、ちょっと来い」
シゲミは爺さんの促されるままにとある部屋に連れてかれた。ベッドの下を漁る爺さん。
「ほれ」
爺さんがシゲミに見せたのはエロ本だった!
「! ! ‼」
顔真っ赤になるシゲミ。
「コレは……」
「お前にやる」
虚を突かれたシゲミに爺さんは返す。
「持って行け……」
「くぅん」
シゲミはエロ本を手に入れた!
自室に帰るシゲミ。
(ど……どうしよう……?)
シゲミはそのエロ本の使い道に迷っていた。
すると、イタチが現れた。イタチは何かそわそわしていた。そこでシゲミはエロ本をイタチに見せた。
「あのぅ、これ……」
すると、目の輝きを取り戻すイタチ。
「お前さんは21世紀のボスよ」
「は?」
虚を突かれるシゲミ。
「21世紀のボスよ」
イタチは暫くエロ本をたしなんでから帰って行った。
「ボス……」
グッと拳を握るシゲミ(何故だ)。
すると、次の瞬間――、
「ガッシャン‼‼‼」
ホールの方で物凄い音がした。
ホールへ急ぎ足のシゲミ。辿り着いた先には、イス一つでナースステーションを突破しようとしている実松が居た。
「コラァ‼」
「何をしているんだぁ⁉」
看護師さん達が実松を取り押さえる。
「見たんだよ、嘘じゃないよ。見たんだよ」
謎の供述を繰り返す実松。
「さァ隔離室入るよ?」
看護師さんも力が入る。
「居たんだよ、見たんだよ」
実松は看護師さん二人がかりで隔離室に入れられた。
(大丈夫だったのかのぅ……)
シゲミは看護師さん達の身を案ずる。
ふと、ナースステーションの方を見る。なんと! 強化ガラスにヒビが入っていた‼
実松は、本気でイス一つで突破しようとしていたのだ。シゲミは実松を恐ろしく思う。
(あの男、只者では無かったか……)
「おかーさーん」
「!」
不意に、タケモトが現れた。
「お母さん見限った!」
(やはり、亡くなったのでは無く、見限られただけか……)
シゲミは、タケモト母の安否を確認する。
続けざまに――、
「お兄ちゃんよ」
イタチが再び現れた。
「21世紀のボスよ」
「⁉ また見たいの?」
シゲミは問う。
「……!」
イタチは顔を赤らめる。
「お兄ちゃんよ……」
結局、イタチはエロ本を見ずに帰って行った。
(お兄ちゃんとは……)
疑問は尽きない。
更には――、
「流石大卒」
流石大卒厨が現れた。実は、以前隔離解除前の部分開放時間にも、流石大卒厨はシゲミに『流石大卒』と、言い放っていた。
(⁉ 何でワシが大卒と知っているの?)
「流石大卒」
流石大卒厨は去って行った。
(以前と同じで、すれ違う度に言われるの?)
シゲミの予想は今後的中する。
極度の緊張状態から抜け出そうとしたシゲミはホールでテレビを見る事とした。すると、N村鬼殺しがおかあさ〇といっしょを見ていた。
「あのぅ、チャンネルを変えたいのですが……」
シゲミはへりくだった様子で懇願した。それに対しN村鬼殺しは、
「た……例えば!」
リモコンを覆うように机にうつ伏せになって、リモコンを渡すまいといった態度をとった。
(! こ……こやつ)
「パンダ! うさぎ! コアラ!」
テレビから幼稚な歌が聞こえる。口をすぼめるシゲミ。ナースステーションに直談判する。
「あの……あの人が、リモコンを……!」
「ハイハーイ」
看護婦さんが出て来た。
「N村さん。皆、他の番組を見たがってるよ?」
「例えば……例えば……!」
うつ伏せたままのN村鬼殺し。
「ちょっとぉ、N村さん⁉」
「た、例えば……」
N村鬼殺しは依然動こうとしない。
「ダメみたいね。ごめんなさい、直接相手に危害を加えているわけじゃないからこれ以上は何もできないわ」
「! ! ‼ ⁉」
シゲミは驚愕した。
「じゃあね」
ナースステーションに帰って行く看護婦さん。
(む……無能が……‼)
同時にシゲミはひどく憤慨した。
そして――、
「流石大卒」
流石大卒厨が現れた!
「! ! !」
シゲミは完全に意表を突かれた。
「サッ」
手を差し伸べる。そして――、
「流石大卒」
「! ⁉」
流石大卒厨は、いつもの様にすれ違う度に言うのであった。流石大卒厨は去って行った。
(い……いつまで言うつもりなの……?)
混乱するシゲミであった。
暫くして、ホールを見渡すシゲミ。
よく見ると、畳のスペースにもう一台のテレビがあった。しめしめとテレビに近付くシゲミ。すると、逆土足のハタが、スリッパを履いた状態で畳のスペースに上がり、テレビのリモコンを奪って電源を入れた。
「!」
またしても意表を突かれるシゲミ。ハタは音量調整ボタに手を掛ける。そして――、
「……‼‼‼」
細かい作業が全くできないハタ、音を大きくし過ぎた。
「何だ何だ?」
「るっせぇぞ‼」
次第に騒がしくなるホール内。
「!」
ハタは恐怖を感じたのか、今度は音量を小さくしようとする。そして――、
「‼‼‼ …………」
今度もボタンを押し過ぎて、音量を小さくし過ぎた。音量は0になったのである。
「流石大卒」
「21世紀のボスよ」
「た……例えば!」
「コンコンコーン」
「……」
(ろくな連中が居らん……)
シゲミはうずくまってしまった。
舞台は変わり、とある平日の朝――、
松本は、いつもの様に学校に登校していた。
そこへ――、
「ザンッ」
後ろ美人、Kが立ち塞がる。
「! ……」
身構える松本。しかし、様子がおかしい。髪の毛、制服などがボロボロになっていて、後ろ美人ですらないKになっていた。
「まつほとさんン! らすけてくらはいぃいい!」
「何⁉」
松本はKの言葉に耳を疑う。
「わちしてぃち、しっちれ! しっちれ‼」
「……嘘だな」
「‼」
松本の言葉に、驚愕するK。
「私達と言っているが、必死なのはお前だけだ……それに」
「!」
「お前はそこまで必死ではない」
冷たく言い放つ松本。
「れ! れすー! れ! れれれれれれれれ‼」
錯乱状態に陥るK。
「そうでもないぜ?」
「!」
松本はその一声に振り向く。そこにはケガをしたセキズを中心とする、○△□×高校の生徒が居た。セキズは包帯を巻き、フタエは松葉杖を突いており、他の生徒達も何かしらのケガを負っていた。松本は事態を重く見て口を開く。
「お前ら、何があった⁉」