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第八節 下着ドロボー

第八節 下着ドロボー




ある日――、






「アタイの下着が……無い!」


イブキは愕然とした。




「まさか……」




後ろを振り返る。そこには昼寝を決め込んでいる松本が。








「マツモーン!」








腹にダイブする。




「ぐはっ」




無防備な状態で、30kgオーバーの重さのモノが腹に入ったので、流石の松本も悶絶した。


「な……何だ? てめぇ……」


辛うじて声を出す松本。




「アタイの下着が、2つ無くなった! イィーン」




泣き声を上げるイブキ。


「欲求不満だからといって、アタイの下着に欲情するとはー‼」


「ま、待て。何の事だ?」


「! マツモンじゃ、無い⁉」




「ヒラリ」




そこで玄関から一枚の手紙が。




「!」




それを手に取る松本。




「『イブキの下着は預かった。返して欲しくば××工場地帯に来い』だと……?」


「マツモン!」


イブキも顔を覗かせる。




「がんばってー」


尻を掻きながら、横になってポテチを食べ始めるイブキ。




(うっわぁ、殺してやりてえ)


怒りを抑える松本。


「フ――、××工場地帯……か。行ってくる」




「は――い」


「パリパリ」




顔も合わせないイブキであった。








「ザッ」


××工場地帯に着いた。




「――来たな?」


そこに立っていたのは延安だった。






「お前は……」


「ふっふっふ」






「死んだんじゃあなかったのか? たしか『宙を舞い、果てた』と書いてあったぞ?」


「黙れ、メタ発言は止せ。イブキの下着が欲しければ、俺と勝負しな! ただし俺は、コイツを使うぜ?」


延安は右手にスパナを持っていた。


「! 面白い。やってやろうじゃあねぇか」


松本は挑発に乗ってしまった。




「行くぜぇ⁉」


「ダッ」




突進してくる延安。






「ぐわっ」






スパナを振りかざす。それを――、






「サッ」




左に避ける。




そして――、






「ゴッ‼」




顔面に一撃!






「ゴホッ」






延安は辛うじて意識を保っていた。松本は口を開く。




「! てめぇ、殴打を喰らう中で、耐久力を上げやがったな?」


「お生憎様、それだけじゃあないぜ」




「!」




延安は続ける。


「俺はお前との戦いの中で、殴打を喰らい続けた。殴打を喰らう最中、目をそむけずにお前の拳を見ていた為、動体視力が上がった。その為今は、致命傷を負わない様に『避ける』事が出来るようになったんだ! 数発程度じゃあ、俺はお前に負けないぜ」






「ほう……」






「!」




松本は返す。


「それじゃあ」


ズイっと前に出る。


「何発喰らえば倒れるのか、試させてもらうぜ!」


間合いを詰める松本。




「オラァああ‼」


「ゴッ‼」


「がはぁ!」




顔面に二発目。




「ラァアああ‼」


「ドッ‼」


「おふっ‼」




腹部に一撃。




「もう一発‼」


「ドッ‼」


「ゴホッ‼」




腹部に二発目。




最早どっちが悪役なのか分からない。




「更にいっぱぁ……」


「ま、待ってくれ」






「!」






延安の一声に、殴打を止める松本。




「し……下着の在り処を言う、それで勘弁してくれ。流石に痛い」


「ほう……それはどこだ?」




延安に問う松本。


「あ……あっちだ!」


延安の指差す方向へ松本は目をやる。




「あ、あの手前から3つ目の建物の、入って右側の地面に隠しておいた! こ……これで許してくれ……」


「分かった」


松本の一声に安堵する延安。


しかし――、






「ゴッ‼」




殴打を繰り出す松本。


「コレで勘弁してやるよ……」


宙を舞う延安――。






延安、死す!!!






松本は延安の示した、手前から3つ目の建物に入った。入って右手を確認する。地面には、ご丁寧に『イブキの下着』と書かれた、置手紙の様なモノと一緒に、下着が置いてあった。


「コレか……」


イブキの下着を手に取る松本。




「……(イブキの……下着)」




次第に恥ずかしくなってくる松本。すると――、






「スキャンダルの臭いがしたぜ!」


「あー、あー、下着ドロボー!」






パパラッチャーバカアキとイブキが現れた。


「ち、違う! コレは……」




「パシャパシャパシャ」




一眼レフで下着を手に取る松本を映すバカアキ。






「このっ!」


「ゴッ‼」






堪らず殴打を繰り出す松本。








「ゴシャーン‼」








一眼レフは大破した。






「ああー!!! AIBO‼‼‼」






一眼レフを失い、泣き叫ぶバカアキ。




「うるせぇよ」


「ゴッ‼」




バカアキにも一撃入れる。








「ぶへらっ‼」








気を失うバカアキ。そして遠くでケータイを持ち出すイブキ。


「もしもし、ポリスメン? アタイの下着をドロボーした奴が……」






「!」






「ダッ‼」


ダッシュでイブキに近付く松本。




「バッ」




イブキのケータイを奪う。




「もしもし、違うんです! これには深いワケが……‼」




携帯は通信しておらず、ホーム画面になっていた。


「てめぇ……」


イブキを見る松本。


「まっつもーん、今日もありがとね」


イブキは笑顔で言った。


「! さっきのは……?」


問う松本。


「ちょっと遊んじゃったー☆」


「……殴っていいか?」




今回の戦い。得たモノ:無し。


失ったモノ:松本とイブキの信頼関係。


出来上がったモノ:二つの死体。


因みに、経験値は入っていない。






そして物語の舞台は精神病棟へと移転する。


シゲミの診察の日が来た!


「まっ、いいでしょう。隔離解除で……」


シゲミの隔離生活、終了‼‼


「す――大部屋へ移って頂きます」


(す……相撲部屋⁉)


やはり発音が悪い今井、シゲミに診察の内容は伝わっていない。


「診察は以上、移動してもらうよ」


シゲミ、大部屋へ‼






大部屋――、


大胸筋矯正サポーターを付けた男、ひたすら眠っている男、呪いの文字を書き続けている男などが居る。


「こ……これは何なの?」


シゲミが溢す。


「ハイハイ、これじゃないでしょ? ここで今夜から一緒に眠るんだからね?」


怒り気味に看護婦さんは言う。口をすぼめるシゲミ。




(日中、こやつらと一緒に居たら、気が狂ってしまう……‼ 出来るだけ日中は外に居よう!)




シゲミはホールに出た。


ホールには畳のスペースがあり、更にはナースステーションも隣接していた。


(ここなら何かあってもすぐに助けを呼べる……)






「ピーターパン4つ!」






「!」




タケモトが現れた。タケモトも隔離室から出られた様だった。


「何を言おうるいう事もにゃあ」


広島弁が現れた。


「ピンクランドセル‼」


「何にゃあそりゃあ⁉」


「ベシッ」


広島弁に頭を小突かれるタケモト。


「痛い。嫌だ」


その割には逃げようともしないタケモト。只々、ゆっくりと歩いていた。


(こ……これは看護師さん達はどうするの?)


看護師さん達は昼休みで食事を摂っていた。






「! ! ‼ ⁉」






シゲミは病院の現状を知っていたたまれなくなった。




ふと、畳のスペースに目をやる。すると、ハタがスリッパを履いて上がっていた。他の人はスリッパを脱いで座っている。


「! あれはいいの?」


シゲミは興味本位でハタに話し掛けた。


「あのぅ、スリッパを……」


すると、


「ぎゃふ――、ぐぅうう――‼」


ハタはスリッパを脱いで畳のスペースから降りた。そのまま裸足でホール、廊下と走って行く。


(ぎ……逆土足……‼‼‼)


シゲミは驚きを隠せずにいた。




次々と刺客は現れる。




車イスに乗ったデヴが現れた。


「1……6……3……7……1……4……」


そのデヴはガンツのどっかの国で数式を言いまくって親父らにヒントを与えようったBBAにそっくりだった。




(ガ〇ジの群れ……‼)




シゲミは言葉を失った。

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