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12/28

レベルアップ

 ブレイブフォームへと変身した勇希、神琴、真名。

 三人は回復の泉があった広間を出ると、通路をしばらく進んでいく。


 すると、やがて別の広間へと行き当たった。


 広間には大型のモンスターが二体いた。

 その姿を見て、魔法使いの格好をした真名が、早速嫌そうな顔をする。


「……出た、オーク……」


 そこにいたのは、豚のような顔をした人型モンスターだった。


 お相撲さんのようなでっぷりとした巨体で、不気味な緑色の肌をしており、手には木製の大きな棍棒を持っている。


「おーく……? この間のゴブリンの親戚か何か? やっぱりゲームとか漫画の有名人なの?」


「……だいたい合ってるような、だいぶ違うような。……ちょっと待って、識別する」


 真名は勇希にそう答えつつ、【モンスター識別】のスキルを使用する。

 すると真名の視界には、こんなデータが表示された。



 ***



名前  オーク(精霊擬態)

レベル 5

HP  26/26

MP  6/6

攻撃力 27

防御力 12

魔力  4

魔防  8

素早さ 8

特殊能力

 なし

弱点・耐性

 ×:-

 △:石/死

 〇:炎/氷/雷

 ◎:眠/目/痺/乱/封



 ***



「……5レベル。……また格上とか。……でも、ステータスはそうでもない? ……むしろ全然弱い、勇希の半分ぐらいのステータス。……頭数もこっちが勝ってる。……これなら」


 真名は口元に手をあて、ぶつくさと考察を始める。

 だがその間にも、広間の二体のオークたちは三人に気付いていた。


「グォオオオオオッ!」


 モンスターたちは、真名たちのいる通路の方へ、巨体を揺らして迫り寄ってくる。

 その動きは、図体から想像するほどに遅くはない。


「来るぞ──真名!」


「……あ、うん。……でも、そんなに緊張するような相手でも、ないかも」


「そうなの? 確かにモーモーさんみたいなプレッシャーは全然感じないけど」


「……うん、多分、大丈夫。……でも、油断はしないで」


「分かった!」


「了解だ」


 勇希と神琴の二人は、それぞれ一体のオークに向かって駆けていく。


 オークの動きも遅くはないが、二人の少女のほうが段違いに速い。


 特に剣士である勇希は、例の迅雷の動きであっという間にオークの懐に潜り込んだ。


「いっくよーっ!」


 勇希の剣に一瞬のスキル発動の輝き、そして一拍も待たずに剣閃。


 ──キィンッ!

 閃光のように奔った一撃は、勇希に対峙したオークに何ひとつ仕事をさせることなく、あっという間にその巨体を、キラキラとした光の粒にして消滅させていた。


 一方、その勇希の隣に、わずかに遅れて滑り込んできた神琴。


「──はっ!」


 彼女は迫りくるオークのどてっ腹に向け、正拳突きを叩き込んだ。


 ──ドン!

 重たい打撃音が響き渡ったが、こちらは一撃というわけにはいかない。


 オークはダメージに構わず、その手の棍棒を神琴に向かって振り下ろそうとするが──


「……させない。……フレイムアロー」


 ボッ、ボッ、ボッ。

 真名が掲げた杖の周囲に三つの火の玉が生み出され、それらが瞬く間にオークに直撃した。


 それで神琴の前のオークは炎上し、光の粒となって消滅する。


 戦闘終了。

 三人はホッと息をつく。


「……ふぅ。……まあ、普通はこんなもんだよね……」


「勝ててよかったーって感じだよね。もうあれだよ、モーモーさんのあれがトラウマになっちゃってるよ」


「この修行で、あの牛男にどれだけ太刀打ちできるようになるのか、だな。……今の戦いを終えて、どこか力が湧いてくるような感覚はあるが」


「……そうだ、レベル。……勇希と神琴も、ちょっと変身解いてみてくれる?」


 三人はブレイブフォームを解いて、元の制服姿になる。

 そしてカードの見せ合いっこをした。



 ***



名前  勇希

職業  剣士

性別  女

年齢  14歳

レベル 5(+2)

HP  68/68(+12)

MP  18/21(+3)

攻撃力 52(+5)

防御力 28(+2)

魔力  9(+1)

魔防  15(+1)

素早さ 20(+3)

残りスキルポイント 2(+2)

スキル

 ソードマスタリーⅠ

 攻撃力アップ

 スマッシュ

呪文

 なし

装備

 鉄の剣

 鉄の胸当て

 鉄の小手

所有ジェム 19

ブレイブチャージ 97%



***



名前  神琴

職業  神官

性別  女

年齢  14歳

レベル 5(+2)

HP  44/44(+7)

MP  38/38(+7)

攻撃力 38(+4)

防御力 18(+1)

魔力  30(+4)

魔防  19(+1)

素早さ 16(+2)

残りスキルポイント 2(+2)

スキル

 フィストマスタリーⅠ

呪文

 ヒール

 キュアポイズン

装備

 神官のローブ

 神官の聖印

所有ジェム 19

ブレイブチャージ 97%



***



名前  真名

職業  魔法使い

性別  女

年齢  14歳

レベル 5(+2)

HP  38/38(+6)

MP  40/43(+8)

攻撃力 10(+1)

防御力 12(+1)

魔力  46(+6)

魔防  20(+1)

素早さ 12(+2)

残りスキルポイント 2(+2)

スキル

 モンスター識別

呪文

 フレイムアロー

 フリーズアロー

装備

 魔法使いの杖

 魔法使いのローブ

 魔法使いの帽子

所有ジェム 19

ブレイブチャージ 97%



***



「……2レベルアップ。……経験値倍増キャンペーン中にしては、地味……? ……でも、このペースだと、ひょっとして……」


 全員分のカードを見て、また考え込む真名。

 その様子を、勇希が興味深そうにのぞき込む。


「で、結局どうなの、真名? 何とかなりそう?」


「……うん、まだ分からないけど、ひょっとすると……」


「ひょっとすると?」


 そう聞かれた真名は、思考をひとまず中断し、顔を上げる。


 そして、勇希と神琴に向かって、いつものやる気のなさそうな表情で言った。


「……ひょっとすると、これ、結構すごいことになるかも」


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