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90 リューコとお茶の香り


~前回までのあらすじ~

 

 うっかり前世のオカルトサブカル集団の名前を出したら、周囲の食い付きが半端なかった。

 

~あらすじ終わり~

 

 

 ……というのは冗談だが、過去最高のキラキラビームを食らって私はたじろいだ。

 その中でも、様子のおかしい人が二人。

 

「……す、す、すすす」

「ヴィ、ヴィル兄様?」

「さ、さ、さささ」

「ヨハン?!」

 

 壊れたロボットのように単音を繰り返した兄様とヨハンにびびって後ずさると、んばっ!!と仰け反った二人が「素ん晴らしいっ!!」「最高だっ!!」と叫んだ。

 

「正しくアリスの率いる団体に相応しい……!! 可愛らしいまん丸の瞳の、蜜のような金色は夜明けの太陽の色。それに重ねるのは我らに明日をもたらす啓蒙活動、それを表す夜明け……更に個人的な理由を付け加えるならばっ!オルリス兄上の助けになり、我が家に平穏を取り戻したアリスはまさしく夜明けの象徴……!!黄金の夜明け団……っ こ れ だ!!!!」

 

 ひぇっ……。

 

 ヴィル兄様が最近うちのお父様に似てきている謎の現象に名前をつけたい。

 その謎の勢いにビビる暇もなく、続けて天を向いたヨハンが叫ぶ。

 

「聖堂騎士団に円卓騎士団……!!物語に登場する、憧れの“なんとか団”に、ついに、ついに……!! しかも尊敬する主人が団長で、しかもしかも、名前がカッッコイイ!!!!」

 

 oh……。こちらはやっぱり、憧れの○ーパー戦隊の一員に!というノリらしい。そうだね秘密の集団に憧れるお年頃だよね。

 おめでとう、君は今日からスー○ー戦隊のブルーだ。

 

 男子2人のそれぞれ振り切ってるテンションに一時圧倒されたものの、他のメンバーもはしゃぎ始めた。

 意外なことに、女子メンツにも好評なようである。

 

「黄金の夜明け団。アリス様と私たちに相応しい響き……!」

「ですねですね!なんだかキレイな響きですぅ!」

 

 ああぁ、やばい。今更「名前の由来はぶっ飛び変態サブカル集団だからやめとこ?」とか言えないしそもそもどこの集団かと言われると答えられないし!?

 

「黄金の夜明け団……うん、とても良いと思います!我らの一族でも夜明けは尊いものとされていますし、縁起が良さそうです」

「フレッジの言う通りです!その名前ならカッコい……堂々と名乗れます!!!!」

 

 フレッジ様とイヴァン様も耳やしっぽをピンと立てたりぶんぶん振ったり。ケモっ子達も「よあけ!」「おうごん!」ときゃいきゃいはしゃいで肯定的だ。

 もはや決定の流れに焦っていると、ユセフ様とレギオン様に肩ポンされた。

 

「決まり、ですね」

「思うところがおありのようですが……ああなった獣人のチビ共は止められないですよ」

 

「はぐぅ……」

 

 NOと言えないなんとやらな私は、こうして自分のうっかり発言の責任を取ることになったのだった。

 

 

 ◇

 

 

 そんな怒涛の流れを思い出して白目を向いていると、部屋のドアがコンコンとノックされた。

 

 その音と、同時に運ばれてきた良い香りにちびっ子達の視線が一斉にそちらを向いた。

 

 そんな視線の集中砲火を浴びながら、失礼しますという声とともに入室してきたのは。

 

 くすんだ金髪に、優しいブラウンの瞳。牧歌的な癒しのオーラに、可愛らしいそばかす。

 

 そして、ふにゃっとした笑みが最高に可愛い、我が家の……。

 

「コニーちゃん!」

「コニーちゃんだー!!」


 そう。

 

 わぁっと駆け寄った白猫双子、その他食いしん坊なケモっ子をよしよしとあやしながら入室してきた大人気の人物は、我が専属メイド・コニーちゃんだったのである!

 

「今日の試食は、アリーセリューコのふんわり揚げとシンラ・ティーですよぉ! さ、席に座ってください皆様~!」

 

 そう言って素晴らしい手さばきでちびっ子達を座らせ、勉強道具をさっと片付けさせているコニー。

 

 実は少し前。お屋敷で留守を守るだけでは暇を持て余しすぎ、かつ寂しかったらしいコニーが、なんと学園へと突撃してきたのだ。 

 

「お嬢様ぁぁ!コニーは、コニーはぁぁ!」

 

 校庭で魔術の練習に励んでいた私へタックルする勢いで飛び込んだコニーは、ふびゅぅと鼻水や涙を垂れ流しておいおい泣いていた。

 なんとか落ち着かせて話を聞いたところ、最初の週末に帰ったきりほとんどお屋敷に顔を出していなかったのが相当堪えたらしい。

 

 いや私もめっちゃさみしかったんだけどね、問題がてんこ盛りでねごめんね……と宥めるも縋り付いて離れず、どうしたもんかと頭を悩ませていたところに通りかかったのが。

 

 学園長(ロリババァ)……、だったのだ。(お察し)

 

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