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39 お誕生日会その②


 振舞った斬新な肉料理やお菓子達はバッチリと貴族達の胃袋を掴み、そのうちのいくつかの家とは商業的な契約を結ぶことになったようだ。

 お父様とアルフォンスさんがホクホクした顔で対応している。

 

 それを良かったな~と眺めていると、私に声がかかった。

 

「アリス様、アリス様」

 

振り返ると、そこにはお誕生日会の前に知り合った側近候補が三人並んでいた。

 

 先程挨拶マシーンになっていた時にすでに挨拶しているが、恐らく今この瞬間が私たちの関係のお披露目となる。

 私と同い年の三人はそれぞれカーテシーや騎士の礼をとり、私は姿勢を正した。

 

「アリス様、本日から側近としてお側に侍ることをお許しください」

「許します、マチルダ」

 

 真っ先に側近の礼をしてくれたこの子の名前はマチルダ・アウエンミュラー。

 赤茶の髪に綺麗な緑の瞳が印象的な女の子だ。

 伯爵家の四女である。

 

「アリス様、私も身命を賭してお側に侍りたく存じます。どうかお許しくださいませ」

「許します、ユレーナ」

 

 ちょっと弱気に、だが丁寧に礼をしてくれたのはユレーナ・リリエンタール。

 長いウェーブの金髪に青い瞳というお人形さんカラーな女の子だ。

 この子は男爵家の子供である。

 

「アリス様。本日この時より御身をお守りしたく存じます。どうかお許しを」

「許します、ヨハン」

 

 そう言って胸元に手を当てる騎士の礼をしたのは、ヨハン・デュカー。

 上級騎士一族の子で、サラサラの青い髪に黒い瞳の男の子だ。

 デュカー家は正確には貴族ではない、準貴族と呼ばれる騎士階級だ。

 しかし、その中でも武勲で一代限りの男爵を何人も輩出した騎士の名門一族であるらしい。その五男である。

 

 全員が挨拶を終えたところで、フレシアおば様と商談に明け暮れていたヴィル兄様がひょっこりと顔を出した。

 

 そしてさっと跪く。

実は、ヴィル兄様も私の側近になることが決まっていたのだ。

 

「アリス様、私も側近としてこの命をお預けしたく存じます。どうかお許しを」

「許します、ヴィルヘルム。……ちょ、兄様おやめ下さい恥ずかしいですーっ?!」

 

 いかにも騎士らしく私の右手を取り、手の甲に口付けた兄様にうっかり素で返してしまった。

 

「ふふ、本物のお嬢様ならそこは平然と受けなきゃ。まだまだ訓練が必要だね?」

 

 そう余裕で言ったお兄様に、ユレーナがポッと頬を染めた。

 まぁわかる、お兄様けっこうイケメンだもんね。年上なだけあって騎士らしさもある。

 

 ユレーナと対照的に、真面目なヨハンはヴィル兄様の親しげな態度に眉をひそめた。マチルダは何やらニヤニヤしてふ~ん、と言っている。

 こら、何を妄想してるんだマチルダ。

 

 そんな風にして側近メンツでわちゃわちゃしていたら、更に私を呼ぶ声があった。

 

「アリス様、楽しそうですわね」

 

 そう言いながらこちらに歩いてきたのは、つい最近お友達になったローリエ様。

 

 エインズシュット辺境伯家の長女で、紫の髪に薄桃の瞳、やや長身な女の子だ。

 

 一週間前に開かれた同い年の子を集めたお茶会は、いかにも女の子って感じの子が多かった。

 その中で、六歳児にしては大人びた雰囲気だったのがローリエ様だ。それがアラサー的に話しやすかったので、真っ先に話しかけてお友達になった。

 

「アリス様はすでに側近を決められたのですね」

「はい、私にはもったいない位の人が集まって。ローリエ様も素敵な側近が決まると良いですね」

 

幼女にしてはクールな微笑みでそう話しかけてくれたので、私も微笑んで返す。

 この人生初のお友達なので大事にしたいな。

 

 私はローリエ様が手を繋いでいる女の子に視線を移した。

 

「あの、そちらの方は?」

 

そう問いかけると、ピンク髪のぽっちゃりした女の子は自ら口を開いた。

 

「レティシア・ロレンスです!よろしくお願いします、アリス様~!」

「よ、よろしくお願いいたします」

 

 ふんにゃり微笑みながら繋いだ手をふりふりしてそう名乗ったレティシア様を、ローリエ様がやれやれとたしなめる。

 

「レティシア様、こういう時は私がレティシア様をアリス様にご紹介してから、アリス様をあなたに紹介するのが正しい流れですよ」

「あっ、そうでしたぁ。はう、ごめんなさい……」

「いえ、気にしないでください。これから仲良くしてくださいませ?」

「はい!」

 

 どうやら天然娘なレティシア様とツッコミのローリエ様、的な関係らしい。もしくは擬似姉妹?

 

 聞いてみると、お菓子パンを気に入ったレティシア様がローリエ様に自分を紹介して欲しいとせがんだのだそうだ。

 

「気に入って頂けて嬉しいです。お茶会などでも出しますから、ぜひ遊びましょうね」

「ふわぁ!そうなのですね!遊びましょうー!」

 

 キラキラした瞳のレティシア様。どうやら食べることが大好きらしい。

 

ローリエ様曰く、レティシア様はうちと同じ侯爵家の子で第三子らしいけど……、こんなふわふわで大丈夫なのだろうか。

 なんとなく、私も面倒を見てあげることになる未来が見えたぞ。

 

 こんな感じで新たなお友達もゲットしたところで、アルフォンスさんの声が会場に響いた。

 

「これより、催し物を始めます。まずは決闘です!」


 

 ……え。

 

 

 決闘?! 

 


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